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【J2:第38節 栃木 vs 鳥栖】レポート:ピッチとスタンドが混然一体となって掴んだ逆転勝利。松田体制2年目の栃木は10位でフィニッシュ。鳥栖は豊田のゴールを活かせず(10.12.05)

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12月4日(土) 2010 J2リーグ戦 第38節
栃木 2 - 1 鳥栖 (12:33/栃木グ/3,722人)
得点者:6' 豊田陽平(鳥栖)、67' 崔根植(栃木)、72' 水沼宏太(栃木)
スカパー!再放送 Ch183 12/6(月)後05:00〜
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栃木SCサポーターは何度も何度も、力強く拳を突き上げ、声を轟かせ、選手の背中を押した。
「ここはグリスタ 俺達のホーム やるしかないさ 今立ち上がれ」
ホームで勝てなくてどうする。叱咤激励に選手は奮起した。イージーミスで前半に喫した失点を必死に取り返し、後半に2点を挙げて勝利。連敗を2で、ホームで続いた敗戦も3で止めた。今季最終戦を逆転勝利で飾れたのは、ピッチもスタンドもハードワークしたからに他ならない。勝利に値する雰囲気がスタジアムには充満していた。チーム哲学の「一枚岩」で栃木は今季14個目の勝星を手に入れ、ホームでの勝ち越しを決めた。2010年の通算成績は14勝8分14敗の勝点50。昨季の17位から大きく前進した、10位でのフィニッシュだった。
 
開始6分、労せずに先制点を得たのはサガン鳥栖。栃木のGK柴崎邦博が芝に足を取られ、ゴールキックが豊田陽平の足元に収まり、冷静に1対1を制して先手を奪う。一気に畳み掛けたかった鳥栖だが、テンポは上がるどころか次第に下がって行く。「前から行こうと言っていたが、上手くいかず受け身になった」(飯尾和也)。ハイプレスが機能せず、ゆるやかに形勢は逆転する。失点のダメージを引きずらなかった栃木は、23分に崔根植と廣瀬浩二が立て続けにゴールを脅かす。ゴールは割れず、攻守のスピードに乏しかったが、鳥栖の低調な試合運びに救われ、水沼宏太のボールタッチ数が増え始めるとリズムが生じた。
 
後半の序盤はピンチを招くこともあったが鳥栖のオフサイドや決定力不足に助けられ、落合正幸と宇佐美宏和の2センターバックが辛抱強く守ったことで、迎えた67分に同点に追い付く。交代出場の岡田佑樹の右クロスを木谷公亮が一旦はクリアするも、宙に浮いたボールを木谷が処理するのか、それともGK室拓哉がキャッチするのか躊躇したところに、崔が頭から飛び込んだ。バックヘッドがゴールネットを揺らす。
勢い付いた栃木は「とにかく勝ちたくて仕方がない」と勝利への飢えを口にしていた水沼が、27分、那須川将大からの精度の高いパスに反応し、質の高いダイアゴナルランでDFラインをスパッと切り裂くと、右足トラップから左足一閃。ゴールネットを激しく揺さぶった。「自分が決めてやろうと思っていた」と水沼。リカルド・ロボ不在の穴を、宣言通りに見事に埋め、逆転勝利に貢献。アジアを制し“持っている”男は違う、というところを見せ付けた。

「先制してから少し余裕が出てくるのか、アグレッシブさに欠けた。そういうところは今後の課題にしないといけない」(豊田)
早々に得点が転がり込んできたことが、ここ数試合とは異なりマイナスに作用した。鳥栖本来の球際の強さ、切り替えの速さは鳴りを潜めた。豊田という強烈な個性を活かしきれなかったし、プレスのはまりが悪かったことで連動した守備も見られなかった。攻守に精彩を欠いたが、栃木戦以前の5試合ではようやくチームの目指す形が見えただけに、「今年のチームは来年に繋がる。来年に期待を持ってもらいたい」と松本育夫監督。主力がごっそりと抜けスタートした今季はJ1昇格を目指したものの、昨季の5位を下回る9位。思うような結果は残せなかった。しかし経験を積んだ1年であることも確か。苦い思いをした選手が来季逞しく成長したならば、今季は決して無駄でなかったと言えるはずだ。鳥栖史上最強のチームを作り、来季こそ悲願のJ1昇格を果たしたい。
 
今季の栃木でロボの存在感はあまりにも大きかった。松田浩監督は昨季との差異を「得点力」と言ったが、それはロボの有無とイコールだ。エースが点を取るから守備陣は安心して守れる。点が取れる安心感と雰囲気が循環を良くした。攻守においてロボの影響力は絶大だった。離脱後の失速は必然だったが、ロボ依存からの脱却は来季の課題に挙がる。それはチーム力アップに加え、戦力補強ということになるが、絶対的フィニッシャーの残留が前提。流出は回避したい。
 
今季はリスペクトされる試合が増えた。主導権を握れるようになったが、前掛かりになり集中力が途切れたわずかな隙に手痛い失点を食らった。典型的な例は24節のロアッソ熊本戦( /jsgoal_archive/game/2010/20100200030120100828.html )。確実に支配したゲームを取るために、「失点しない仕組みや個人の強さを持っていないといけない」と松田監督。全体がよりアラートにならないといけなし、厳しい局面をなんとかしてしまうDFの獲得も視野に入れないといけないだろう。
「いい守備からのいい攻撃」という松田イズムは確実に浸透し、2年で土台はほぼ出来上がった。「3歩前進、2歩後退の繰り返しだったが、3歩で2歩なので1歩ずつは前進してきた」(松田監督)。今季は4位という未体験ゾーンでのプレッシャーも味わえた。引退する佐藤悠介と今季限りで栃木を去る米山篤志が残してくれた貴重な財産を、松田体制“勝負の3年目”に活かさなければいけない。

36試合は、あっという間に終了。サッカーと寄り添っていると、時の経過があまりにも早すぎると感じるこの頃。しばらく栃木SCのない寂しい週末が続きますが、冬を越え春が連れてくるサッカーシーズンに備え、エネルギーを蓄えましょう。そして来年もグリスタを、栃木県を盛り上げるために頑張りましょう。今年もありがとうございました。

以上


2010.12.05 Reported by 大塚秀毅
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