12月4日(土) 2010 J2リーグ戦 第38節
千葉 1 - 1 徳島 (12:33/フクアリ/9,934人)
得点者:53' 倉貫一毅(徳島)、90'+5 米倉恒貴(千葉)
スカパー!再放送 Ch183 12/6(月)後11:00〜
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千葉にとっては、試合後に江尻篤彦監督が話したように「試合内容は今季を象徴するような」ものだった。来季につながる収穫を多く得たかったが、それよりも来季こそはきちんと克服しなければならない課題が改めて浮き彫りになった一戦だった。
序盤は五分五分の展開だった。3分に千葉がFW林丈統の直接FKでゴールを脅かせば、6分に徳島は右サイドバックのDF橋内優也のクロスボールからチャンスを作る。15分に徳島のFW平繁龍一がパスを受けるとターンしてGK正面へシュートを打ち、16分には千葉のMF工藤浩平がこぼれ球に反応してゴールポストのわずか横へのシュートを打つ。だが、その後は千葉が徳島の前線からのプレスを受けながらもボールを動かし、セカンドボールの対応で徳島を上回って試合の主導権を握った。しかし、今季の千葉がJ1昇格を逃した原因の1つがまた顔をのぞかせる。徳島の守備網を破る効果的な仕掛けが少なく、ボールはなかなか縦に入らず、横に動くだけ。徳島にしてみれば「ボールを回させている」(徳島のMF青山隼)状態で、千葉は前述の工藤のシュート以降、決定機が作れなかった。
徳島は千葉に傾いた試合の流れを取り戻せず、前半は決定機を作れずに終わった。だが、後半は美濃部直彦監督のハーフタイムの指示の「相手のサイドのスペースを突く」ことで、得点機を作り出す。47分、平繁のパスを受けた橋内のクロスボールにMF倉貫一毅が飛び込んでダイレクトシュート。これはゴールポストの横に外れたが、その6分後、倉貫の先制ゴールが生まれる。MF六車拓也の左サイドからのクロスボールをファーサイドのFW佐藤晃大がヘディングシュート。ワンバウンドしたボールは左のゴールポストに当たってゴールの外にこぼれたが、倉貫が詰めてヘディングで押し込んだ。
試合の主導権を握りながらもフィニッシュの形をうまく作れず、点が取れないでいるうちに逆に相手に得点される。この展開は今季、千葉サポーターが悔しい思いをしながら何度も見てきたものだ。後半に入っても新たな決定機を作れない状況に江尻監督が動く。60分、MF米倉恒貴、特別指定選手のFW久保裕一を入れて打開を図った。交代直後は劇的な変化をもたらせなかった2人だが、「(ベンチで)シュートを打たなければ何も始まらないと思った」米倉の積極的にゴールを狙う姿勢もあって徐々に千葉が徳島を押し込み、後半だけで16本のシュートの猛攻を見せる。徳島の必死のディフェンスや千葉のシュートの精度不足もあって『1点』が遠いと思われたが、16本目のシュートは90+5分。MF山口慶のシュートが徳島の選手にブロックされたこぼれ球を拾った米倉が、迷わずに右足を振り抜く。豪快なシュートはゴールマウスの右上に突き刺さり、千葉が土壇場で追いついた。
徳島は、前半はディフェンスラインを高く保って前から激しくプレスをかけ、チーム全体をコンパクトにして戦えていた。修正を図った後半に先制したところまでは『してやったり』の展開だったはず。千葉の米倉の同点弾は、何度も好守を見せた徳島のGKオ・スンフンが一歩も動けなかったほど「素晴らしいシュート」(美濃部監督)だっただけに、徳島が先制してから強まった千葉の圧力を跳ね返して追加点を取れなかったのが痛かった。
今節もそうだが、今季の千葉はボールを保持していた時間やシュート数に比例する数のゴールが取れなかった。堅く守って『1点』を取って勝つスタイルは千葉には難しそうだ。相手に攻め勝つことを追求し、必要な術を磨いて、来季はJ1昇格を達成してほしい。
以上
2010.12.05 Reported by 赤沼圭子
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