11月14日(日) 2010 J2リーグ戦 第34節
熊本 1 - 1 富山 (13:04/熊本/5,086人)
得点者:3' 関原凌河(富山)、61' 宇留野純(熊本)
スカパー!再放送 Ch183 11/16(火)前11:00〜
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プレビューで触れたこのゲームのポイントは2つ。1つは、相手のプレッシャーをはがすために細かくボールを動かせるかどうか。そしてもう1つは、選手達も口にしていた、今シーズンのベースの部分。すなわち、球際のタイトさや切り替えのスピード、セカンドボールをしっかり拾う、といったことだった。だが結果的には、それらの部分で相手を凌駕することができなかった。
富山は前節と同じ3-3-3-1という布陣ながら、1トップに入った永冨裕也、アンカーの長山一也、そして2列目左の関原凌河と、九州出身の選手を含めて前節から5人を入れ替えた先発メンバーでキックオフを迎える。そうした選手達のアピールしたい気持ちもあってか、2分には熊本のパスミスをさらって鋭いカウンターで攻め込むなど、立ち上りから前への圧力全開。その勢いが、早々にゴールに結びつく。
3分、左の谷田悠介がゴール前へ送った球足の速いクロスを、熊本DF矢野大輔が一度はクリア。しかしながらゴール方向へ戻りながらの体勢だったために中途半端な格好となり、逆サイドの平野甲斐が拾って中央へ折り返すと、2列目から走り込んできた関原は全くのフリー。落ち着いて右足で決めた先制点は、関原にとってのJリーグ初ゴールとなった。
このゴールに対して富山の安間貴義監督は「しっかりと2列目から長い距離を走って、やるべきことをやった結果」だと述べているが、逆に熊本にしてみれば、「立ち上りは監督からも言われていたし、皆も気をつけていた」(松橋章太)にも関わらず、やるべきことをやらなかった失点。時間はまだ87分残っていたが、あまりにも早い時間の失点で「プランが崩れてしまった」(福王忠世)。加えて、高木琢也監督が「指をくわえているシーンが多かった」と表現したように、セカンドボールの争いでも優位に立てないばかりか、切り替えの早い富山のカウンターを警戒して全体のラインを押し上げられず、特に前半は時間が過ぎてもボールをつなげない展開に陥ってしまう。
後半に入ると、22℃まで上がった気温の影響もあって富山の選手達の足が止まり始め、熊本も徐々にボールを動かせるようにはなった。だがやはり前線と中盤の距離が遠く、ペナルティエリア付近までボールを運んでもサポートが遅いため攻撃がトーンダウン。57分に松橋に代えてファビオを入れたことでターゲットが増え、61分に筑城和人のクロスから宇留野純が頭で決めて1点を返したが、その後もボールは支配しながら、なかなかいい形は作れない。
66分に吉井孝輔に代わって入った西弘則がドリブルで仕掛けたり、片山奨典が中へ入って行く動きを見せたりと、決して攻撃が単調だったわけではない。それでもこの試合では前に運ぶ途中でのミスが目立ち、83分には交代で入った黒部光昭と苔口卓也のスピードでゴール前まで持って行かれ、87分にも苔口の折り返しから朝日大輔に決定的なシュートを許す等、逆に追加点を奪われてもおかしくなかった。
安間監督が「大きな勝点1」と話した通り、追いつかれて勝ちこそ逃したが、フレッシュな選手を起用しても現在取り組んでいる新たなシステムがうまく機能したという点で、富山にとって少なくない手応えをつかんだ試合だったと言える。来シーズンにつながる土台となるべく、残り試合でどこまで深められるかに注目したい。
熊本にとっては痛い引分けであることは間違いない。3位福岡との勝点差は12のまま詰まらず、残り4試合でひっくり返すのは依然厳しい状況にある。しかしそのことよりもむしろ、立ち上がりやアディショナルタイムなど、注意すべき時間帯であっさりと失点し勝点をこぼしたゲームは今シーズン初めてのことではなく、そうした部分がいまだ改善されていないことが問題。攻撃に関して効果的な形が作れていないこともあるが、「まずはボールの所で何ができたかというのが、今日のゲームでは重要だった」と高木監督も振り返っている。
「結局取りこぼしているからこういう順位にいる。そういうので勝点2を失っているのが、上にいるチームとの差」というGK南雄太の言葉を、選手達自身がどれだけ理解し、記憶に刻み込めるか。それを表現するのは、ラスト4試合のピッチしかない。
以上
2010.11.15 Reported by 井芹貴志
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