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【J2:第34節 東京V vs 千葉】レポート:2万5千人が熱視線!J1昇格へ一縷の望みをつなぐ東京Vと千葉の直接対決は、千葉に軍配。(10.11.15)

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11月14日(日) 2010 J2リーグ戦 第34節
東京V 1 - 2 千葉 (17:04/味スタ/25,110人)
得点者:7' 平本一樹(東京V)、60' アレックス(千葉)、71' 佐藤勇人(千葉)
スカパー!再放送 Ch183 11/16(火)後01:30〜
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2万5110人。
『SAVE OUR VERDY』と銘打ち、東京Vが長期間かけて集客活動を行ってきた成果により、これだけの大観衆が味の素スタジアムに足を運んだ。

4位東京Vと5位千葉のJ1昇格争い生き残りをかけた直接対決、という意味も当然あったが、東京Vにとってこの一戦は、クラブを挙げて告知し、必死で動員した幅広いファンに、「東京Vのサッカーは面白いから、また来たい!」と思ってもらうためにも、非常に重要な意味を持っていた。
だからこそ、是が非でも勝ちたかった。

当然、選手たちも「気持ちは入っていたし、『やらなきゃ』というのもわかっていた」(飯尾一慶)。前半7分に訪れた先制ゴールは、まさにその思いの強さが形になって表れたのではないだろうか。ペナルティエリア付近、平本一樹からのボールを柴崎晃誠が体を張ってキープし、小さく出したところに再び平本が走り込み、思いきり左足を振り抜いた。
決まった瞬間、一目散にベンチに走ったエースはユニフォームを捲り上げ、『24』と記されたアンダーシャツを誇示。負傷離脱中の高木俊幸の思いも乗せたゴールだったことを、2万5千人の前で大きくアピールした。
「泣きそうだったけど、まだ前半だったから・・・」スタンドから見守った高木俊も、嬉しさのあまり込み上げてくるものを必死に堪えたという。だが、残念なことに、その自制はある意味正しかったということになる。

先制後も、平本が充実した動きでボールを収め、そこに飯尾、柴崎晃らが絡んでいきチャンスを作り出せていた。
守備も、前線の選手にボールが入る前のビルドアップの時点でのカットがしっかりとできており、特に前半20分までは千葉のシュートは「0」。青木孝太、谷澤達也らFWに決定的な仕事をさせなかった。また、セカンドボールもよく拾えていた。

しかし、ハーフタイムに千葉・江尻篤彦監督が「我々に失うものは何もない。今週やってきた、シンプルに前に出ようということを思い切ってやればいい」と、指示を与えると、後半、戦況は一変した。

先制されている以上、後半は千葉が勝負に出てくることは、東京Vの全員が覚悟していた。にしても、「攻め込まれる時間が長すぎ」と、飯尾が言ったように、あまりにも守勢にまわる場面の増えた東京Vは、徐々にリズムを失っていく。セカンドボールも千葉の方が拾うようになると、前線で待つ平本にもボールがほとんど入らなくなり、意図する攻撃を展開することができない。

そんなフラストレーションが溜まり始め、さらに前半からのハイペースで体力的にも落ち、攻守の切り替えにも集中力が途切れつつあった後半15分だった。
「普通にゆるいボールを上げるよりも、相手DFが戻る前に速いボールでファーを狙った方が良いと思った」ショートコーナーを使った千葉は、佐藤勇人の狙い通りのクロスをアレックスが左足で決め、同点とする。
さらに同26分、「ファーストタッチでいいところへボールを運べたし、左に(青木)孝太がいたので、GK土肥(洋一/東京V)さんの重心が少し右にかかったように見えたので、ゴールの右へ向けてトーキックで蹴りました」同点弾を演出した佐藤勇が、今度は自分で決めてみせた。結局これが決勝点となり、大一番と位置付けたJ1昇格を巡る直接対決は、千葉に軍配が上がった。

東京Vはこの敗戦によって、現時点での自分たちの実力を今一度はっきりと認識したのではないだろうか。何人もの選手の口から、「ジェフレベルになると」という言葉が聞かれた。対戦相手によっては、ぼかすこともできてきたかもしれない課題は、J1仕様の千葉には通用しなかった。「完敗」と、平本も認めざるを得なかった。

ただ、ここで何か変えようとは、川勝良一監督も選手たちも微塵も思っていない。土屋征夫が常に言い続けているが、「崩すのは簡単」だという言葉だ。壁にぶつかりながらも、ひたすら続け、作り上げていく勇気を持っていることが、東京V最大の魅力と言えよう。「ポゼッションサッカーは、見た目はキレイで、華やかに見えるけど、そこには激しい運動量が欠かせない」と富澤清太郎は語る。この試合に訪れた2万5千人のうち、何人が東京Vのサッカーに心動かされただろうか。来場者に「また来たい」と思わせるためにも、これまで積み重ねてきたことを今後も貫くのみだ。

勝利した千葉にとっては、非常に意義ある勝利だった。この試合の後に行われたナイトゲームで福岡が引き分けているだけに、その価値はさらに高まったと言えよう。試合前、佐藤勇は「ヴェルディの選手と、現在の上位3チームがこのまま昇格しちゃったらつまらない。何とか千葉と東京Vで盛り上げよう。と話した」と明かしたが、その言葉をより自分たちに近付けたのは千葉だった。

前節札幌戦の反省を活かし、先制されても早い時間に追いつけたのは成長だろう。また、佳境に入ってから喫してしまっていた連敗を3で止められたこともまた、今後の戦いへ向けて大きな弾みになったに違いない。あとは、ラスト4試合に全勝し、周囲の動向を見守るしかない。

この勝利を誰よりも喜んだのは、江尻監督だろう。
前日に急逝なさった父へ捧ぐ、忘れがたき一勝となったに違いない。

最後にこの場を借りて、僭越ながら、江尻篤彦監督のお父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

以上

2010.11.15 Reported by 上岡真里江
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