スカパー！生中継 Ch182 後01:50〜
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ACL出場圏内（3位以内）に入るという意味では崖っぷちに立つ清水と、J1残留という意味で本当にギリギリの崖っぷちに迫った湘南。必死さという面では湘南のほうが上回るだろうが、複雑な心理状態にある清水が、気迫で負けない戦いができるかどうか。ホームの意地も見せなければならないゲームであり、両者のプライドが激しく激突する本当に熱い戦いになることは間違いない。
11月1日（月）に長谷川監督が今季限りで退任するという公式発表がされたと同時に、立て続けに伊東輝悦、市川大祐、青山直晃、西部洋平らがチームを離れると報道され、チーム内外に大きな衝撃が走った清水。前節のC大阪戦でもその影響が感じられ、あと一歩のところでのパワーが不足していた印象は否めない。
もちろんどの選手も、6年間の恩がある指揮官やチームを離れる選手のためにも、最後に良い結果を残して終わりたいという気持ちは強い。ただ、来期以降を見据えて冷徹な決断を見せたチームに対する複雑な思いがあり、自分自身の契約が気になる部分もあって、気持ちを切り替えるのは難しい状況でもある。そのため長谷川監督は今週初めにミーティングを行ない、それぞれ立場は違っても、自分自身のために残り試合で全力を尽くそうという意識を確認。エースの岡崎慎司も「ここで頑張れない選手は、結局これからも頑張れないと思う」と、プロとしてのプライドを口にした。
その結果、今週の練習では、先週とは雰囲気も変わり、選手たちのシャープな動きやアグレッシブな姿勢が随所に見られた。長谷川監督も「今週は良い準備ができている」と語っており、チームとして気持ちをひとつにして戦うムードができつつある。
試合内容に関しても、「結果は出てないけど、内容自体は悪くない」（太田宏介）と、2連敗しているとはいえ、それほど悲観的な内容ではない。攻守ともにゴール前の細かい部分が改善されれば、結果も大きく変わってくるはずだ。とくに攻撃面では、アタッキングサードでの工夫や迫力がどれだけ出てくるかという部分が注目される。
一方、湘南のほうは、水曜日の大宮戦（延期されていた第28節）で敗れたことにより、残り5試合で15位・F東京との勝点差が13となり、この試合に敗れればJ2降格が決まるという瀬戸際に追い込まれた。同時刻にキックオフするゲームでF東京が勝ってしまえば、湘南が勝っても降格が決まることになるが、「可能性のある限り闘うのが我々の仕事であり、サポーターに対するレスポンス。どんな状況になろうと我々はプライドを持って闘うしかない」と反町監督は語る。本当に本当の崖っぷちに立ったところで、湘南の選手たちがプライドと踏ん張りを見せられるかという部分が、湘南サポーターにとって最大の注目点となる。
試合展開としては、球際で非常にアグレッシブにくる湘南に対して、清水がそれにひるむことなく主導権を握れるかという部分が、まず序盤のポイントになる。「相手の勢いに対して受けに回ってはいけない。自分たちがそれ以上にアグレッシブなスタートを切って、自分たちのサッカーをしたい」と市川が語るように、清水としては試合への入り方で気迫負けしないことが重要になる。
それができれば、清水がボールを支配して攻め、湘南がカウンターを狙うという展開になるだろう。そこで湘南が守りを固めたところを攻め崩し、先制点を取れるかどうかが第２のポイント。湘南のほうは、大宮戦で見せたように、清水対策を徹底してくることが予想され、システムもどんな形で来るのか未知数な部分が多い。そこで清水イレブンがどれだけ臨機応変に攻め方に変化をつけられるかという点も、大きな見どころとなる。
また、セットプレーの高さという意味でも、清水が優位に立つだろう。拮抗した展開になればなるほど、セットプレーで試合が決まる可能性は高くなるため、そこも清水にとっては大事な勝負所となる。
ただし、そうした戦力・戦術という面よりも、気持ちの部分にかかる比重が大きいゲームであることは言うまでもない。昨年の清水は、同じ状況に立つ大分に敗れてから5連敗という泥沼に陥った。今年は同じ失敗を繰り返すわけにはいかないし、逆にここで勝てば再び勢いに乗れる要素も十分にある。清水の選手たちが本当にプライドを見せられるかどうかというゲームだが、それは湘南にとっても同じ。ここ一番での男の意地を見せなければならない一戦が、アウスタを舞台にまもなく始まる。
以上
2010.11.13 Reported by 前島芳雄
