スカパー！生中継 Ch181 後04:50〜
試合速報一覧 | クラブサポーター対抗totoリーグ
☆J2シーズン表彰 投票受付中！！
----------
☆甲府側プレビューはこちら
２００６年以来のＪ１復帰を目論見る、過去全敗のアビスパ福岡に、アウェイで殴り合いに持ち込まれても一歩も引かず、３‐２で競り勝った栃木ＳＣ。難題をクリアしたばかりだが、今節も厄介なテーマを突きつけられた。勝点３を手にすれば４シーズンぶりのＪ１昇格内定がもらえる、ヴァンフォーレ甲府を撃破しなければならないのだ。
「ホームだし、目の前での昇格は絶対に阻止したい」とは那須川将大。眼前で対戦相手の歓喜の瞬間を目にするのは気持ちがいいものではない。ジェフユナイテッド千葉と横浜ＦＣの結果次第では、他力で３位以内が確定する甲府だが、それは栃木にはどうすることもできないので、とにかく自力での昇格を断固阻止することに「コミットメント（懸ける気持ち）」を発揮するしかない。
メディアも選手も「断固！昇格阻止」が合言葉になっているが、松田浩監督は結果に囚われることを恐れる。
「昇格を目の前では見たくない、という思いは結果にこだわっている証拠。そんな発想は必要ない」
福岡戦の勝因を「うちは結果に囚われなかった」と話す松田監督。「勝たなければいけない」という意識が働いた福岡は、栃木が粘り強く戦ったこともあるが、確かに途中から歯車が狂い、前傾姿勢を取り過ぎて敗北を招いた。つまり、「〜しなければいけない」という“ｍｕｓｔ”の発想は心身を縛り、平常心を奪う。「昇格を阻止しなければいけない」という思いはモチベーションになるが、一方で気負いも生む。相手にプレッシャーを感じてもらうことで勝機を見出したい栃木にとって、逆にプレッシャーを背負っては勝率が低下するだけだ。
「『甲府の昇格を阻止したい』というよりも、『目の前の試合にただ勝ちたい』という気持ちの方が強い」（杉本真）
余計なことを考えて気張らずに、「ただ、強敵・甲府に勝ちたい」という思いだけで戦えるか。メンタルコントロールが勝敗を分ける最大のカギになりそうだ。
試合前々日の練習ではサブ組が仮想・甲府となり、レギュラー組は４‐３‐３への対策を練った。「ボールサイドに寄れ」、「ボールを失ったらすぐに取りに行け」。阪倉裕二ヘッドコーチからは細かな指示が飛び、より甲府に近い戦い方を控え組には求めた。松田監督もワンプレー毎に実戦でのイメージを抱きやすいアドバイスを送る念の入れよう。前からのプレスをかいくぐり、スムーズにフィニッシュまで持って行く攻撃パターンなどを何度も確認。また、福岡戦での２失点目がシュートブロックの甘さにあったことから、ラインコントロールしながらボールへの寄せを厳しく追求する作業にも時間を割いた。「４‐３‐３のチームとは対戦経験があるので、皆がやるべきことは分かっているはず」と那須川将大は自信を覗かせる。攻守における対甲府の準備は整ったと見ていいだろう。あとはどれだけ練習の成果を生かせるか。気力が充実すれば、戦術は機能するはずだ。
５戦６発とただいま絶好調の“ゴールゲッター”リカルド・ロボは、チームの年間最多得点記録（昨季の河原和寿の１３ゴール）を塗り替える１４ゴールをマークし、得点王に向けて量産態勢に入った。
「自分よりも得点ランクで上位にいる選手がゴールしないことを祈り、自分はたくさんのゴールを決めたい」
福岡戦後にロボはそう話したが、ハーフナー・マイクが前節ハットトリックを達成し、現在１９ゴールと差は縮まるどころか逆に広がった。ロボは何よりチームの勝利を願うが、チームが勝利するにはエースの一撃が必要不可欠なことは、これまでの試合で証明されている。以前、ロボはマイクを意識する発言をしている。マイクにゴール決められて３−４で敗れた第１クールの試合後に、ロボは今までにない落胆の表情を浮かべていただけに、直接対決には並々ならぬ思いがあるはずだ。マイクの前でゴールを決めてダメージを与え、勢いそのままに１試合多い残りゲームでの逆転得点王を狙うシナリオを描いているのは、想像に難くない。両エースのゴールは高い確率で勝点に結び付いている。勝点３を引き寄せるゴールを決めるのはロボか、それともマイクか。佳境を迎えた得点王レース。ストライカーのプライドを懸けたロボとマイクの直接対決からも目が離せない。
以上
2010.11.13 Reported by 大塚秀毅
