11月7日(日) 2010 J1リーグ戦 第29節
鹿島 1 - 0 名古屋 (16:05/カシマ/27,969人)
得点者:59' マルキーニョス(鹿島)
スカパー!再放送 Ch182 11/9(火)前06:00〜
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試合は、名古屋のキックオフから始まった。と同時に、ボールに向かって猛然と襲いかかる選手が一人、小笠原満男だ。その勢いに中村直志が一瞬ひるむ。すかさずボールを奪い取った小笠原。フェリペ・ガブリエルのシュートは勢いの無いものに終わったが、かかった時間はわずか10秒。この試合にかける意気込みを周囲に伝えるには、十分だった。
前節、首位の名古屋はC大阪の前に苦戦しながらも、ケネディのPKで勝点3をもぎ取った。それに対し、2位の鹿島は後半アディショナルタイムの失点で新潟に惜敗。直接対決の大一番を前に、両チームの勝点差は11に開いていた。この差は1シーズン制になってから最大のもの。この直接対決で、もし鹿島が敗れれば勝点差は14まで離れる。独走を許した名古屋に対し、3連覇中の鹿島の意地を見せられる最後のチャンスだった。
ホイッスルと同時にプレスをかけた小笠原は言う。
「自分が行くことでみんなもやってくれると思った」
しかし、意地だけでは勝利を掴めない。勢いを持って試合に入った鹿島だが、それを受ける名古屋もさすがの安定感を見せた。守備面ではダニルソンがハードなコンタクトで最終ラインの前に防波堤をつくる。さらに、ダニルソンがボールにアタックすることでできたスペースは中村直志がカバー。CBの前までボールを運ぶことは許すものの、DFラインは崩れない。鹿島の選手たちはミドルシュートを放つことでしかチャンスをつくれず、崩しきるアイデアに物足りなさを感じさせた。
ただ、ミドルシュートで終わるのは悪い選択ではなかった。問題は、パスが繋がらずに奪われてしまった時。名古屋は3トップが守備に関与せず、高い位置を維持していた。特に右サイドの小川佳純にパスをまわし、ジウトンに対して徹底して圧力を加える狙いだったのは明白。ジウトンの粘り強い守備で、同サイドから崩されることはなかったが、どちらにとっても一進一退。鹿島が野沢拓也のミドルシュートでチャンスをつくれば、名古屋もケネディがあわやPKという突破を見せ、前半から首位決戦に相応しい、手に汗握る攻防が続いた。
ゲームが動いたのは後半だった。鹿島の2トップ、興梠慎三とマルキーニョスが完全に縦関係に移行。マルキーニョスがダニルソンの裏のスペースに立つことが再確認される。
「相手のボランチとセンターバックの前のスペースは監督からも言われたし、選手同士でも話していた」(小笠原)
これにより、両FWにスムーズにパスが入るようになり、野沢と後半から入った遠藤康が前を向いてプレーする機会が格段に増えた。
そして、59分。中田浩二のヘディングから興梠がボレーシュートを放つが、これは力なく楢崎正剛の手の中へ。しかし、すばやく攻めに転じようと、右サイドに開いたマギヌンにロングフィードを送ったところ、これをジウトンがいち早く察知。パスカットからドリブルで持ち上がると、名古屋の選手たちは初めて慌てた様子を見せた。
ジウトンが中央で待つマルキーニョスにパスを送ると、目の前には名古屋の選手たちが何人もいるがバランスが崩れている。右足を振り抜くと、ゴール左へ地を這うシュートを突き刺ささり、鹿島が待望の先制点をあげた。
1点を追う名古屋は、全体的に前がかりになる。それにより試合展開はよりめまぐるしいものとなった。
76分には、田中マルクス闘莉王とブルザノビッチを投入して高さを増す。鹿島も、青木剛、大岩剛を入れて対応。終了間際に小川佳純のダイビングヘッドを見舞ったが、今日は鹿島の集中力が切れなかった。終盤の猛攻も絶えしのぎ、直接対決を制した。
試合後、ストイコビッチ監督は負けを認めながらも「運命は私たちが決める。最後には我々が勝ちます」と宣言。「今日の結果がこういうものであっても、我々のするサッカーは変わりません」と、残り5試合も変わらず戦っていくと誓った。
それに対しオリヴェイラ監督は「勝点8はまだ追い付くことが可能であり、その光がある限り、全力で選手たちとともに取り組んでいきたいと思います」と静かに応じた。
次節までは1週間空くが、そのあとは天皇杯を含めて中二日の4連戦となる。
「試合だけじゃなく、その準備も大事になる」
終盤戦の戦い方を熟知するベテランの新井場徹は、どれだけ良い準備ができるかがポイントになると話す。いつものことながら、シーズン終盤戦は総力戦。チーム全体で一番力を持っているチームが優勝することになるだろう。
以上
2010.11.08 Reported by 田中滋
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