10月31日（日） 2010 J2リーグ戦 第32節
東京Ｖ 0 - 1 大分　（16:04／味スタ／4,519人）
得点者：50' 河原和寿（大分）
スカパー！再放送 Ch185 11/1（月）後05:30〜
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大分の鉄壁の陣の前に、東京Vはなすすべも無く敗れた。
試合後、勝った皇甫官監督は「日本の若い子の言葉で言えば、『超嬉しい！』ですね」と話したが、東京Vにとっては、まさに『超悔しい!!』としか言いようのない結果となった。

勝てるチャンスは、あった。
「序盤は良い入り方をしていた」と、川勝良一監督が話したように、前半は東京Vが主導権っていた。
特に１０分過ぎあたりまでは、ワンタッチの素早いつなぎ、前線で張る平本一樹へ当ててからの崩しなど、意図する攻撃ができており、平本、河野広貴の惜しいシュートなど、得点の気配を漂わせていた。

だが、「徐々に攻撃のスピードアップができなくなって、そのうち少し慎重になりすぎて、停滞しだした」（川勝監督）。守勢に回った大分がDFに人数をかけてきたことで、トーンダウンを余儀なくされていった。
逆に大分は、立ち上がりこそ東京Vのパスワークに押され気味だったが、前半１６分、カウンターから作ったファーストチャンスでキム・ボギョンが決定的なシュートを放つと、次第に落ち着きを取り戻し、自分たちの戦い方を繰り広げていく。

「まず守備から」を徹底した大分と、カウンターを警戒しながら慎重に進めた東京V。互いに相手を探りながらのゲーム展開が動いたのは、後半に入って間もない５分だった。

宮沢正史からのスルーパスを受けた河原和寿は、前目にポジションをとっていたGK土肥洋一の位置、寄せにこない相手DFを見て、「シュートレンジではないのでゴールに向かおうと思ったのですが、シュートに切り替えました」。瞬時に判断し、放った技ありのループシュートが決まった。
そして結局、この１点が決勝点となる。

公式記録としてカウントされた大分の後半のシュート数は１。そのたった１本でやられてしまっただけに、東京Vとしては非常に悔やまれる失点だった。
ただ、90分間を通してのシュート数も、大分の5本に対して東京Vは倍の10本を放ち、ボールも保持はしたものの、「ボールは持てたけど、相手のDFを裏返して、後ろ向きにプレーさせることができなかった。前を向いてアプローチに来れるので、しっかりと対応されてしまった」と、飯尾一慶が白旗を挙げたように、攻撃に手詰まり感があったのも事実だろう。平本一樹も「どうやって点を取るのか、その形が見えなかった」と、１点が遠かったことを認めざるを得なかった。

前節の鳥栖戦で出た課題に対し、修正を加えて挑んだ今節だったが、それぞれの運動量はクリアされたものの、相手に守りを固められ、スペースのないところをどうやって崩すのか。連続した攻撃。についての改善は、残念ながら持ち越しとなったようだ。

ついに残り5試合となった。「作ってきたパスサッカーを最後まで崩さず再現して、可能性がある限りチャレンジしたい」。東京Vができることは、全幅の信頼を寄せる指揮官とともに、目の前の1戦1戦をがむしゃらに戦い続けるのみだろう。

先制し、思い通りの勝ちパターンに持ち込んだ大分は、これで３試合連続の完封勝利となった。
この急成長は、第29節ｖｓ北九州戦での苦い経験が大きな要因だと、藤田義明は語る。「北九州戦では、最後の最後に失点し、追いつかれてしまった。二度とそれを繰り返さないように、みんなが90分間、本当に最後まで集中を切らさなくなりました」。教訓からの学びから、成果をもたらしているようだ。
それでも、プラン通りの勝利にも「欲を言えば、追加点が欲しい」とも藤田。「僕たちは、J１昇格の目標を達成できなかった。でも、僕たちのサッカー、今季のサッカーはまだ続いています。また来年上がれるチャンスを得るためにも、希望の光をみせてかなければいけない」という河原の言葉にもあるように、来季につなげるためにも、見え始めた自分たちのサッカーを積み上げていきたい。

ところで大分は、第34節に現在３位の福岡との対戦を残している。熾烈さを増す３位争いを、さらに盛り上げてくれる存在になってくれることを、大いに期待している。

以上

2010.11.01 Reported by 上岡真里江