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【J1:第28節 名古屋 vs C大阪】レポート:冷静に、そしてしたたかに。主力の不在を感じさせない強さを見せつけた首位・名古屋が、4位・C大阪との上位対決を制する。(10.10.31)

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10月30日(土) 2010 J1リーグ戦 第28節
名古屋 1 - 0 C大阪 (13:03/豊田ス/24,061人)
得点者:28' ケネディ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch183 11/1(月)後02:00〜
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台風の接近により屋外でのイベントや飲食店舗がすべて中止になり、構造上の問題により豊田スタジアムの屋根は空いたまま。一時は開催すら危ぶまれた一戦はしかし、フタを開けてみれば何事もなく進行した。前夜に降り出した雨はキックオフまでには止み、風も強くない。さすがにピッチは濡れていたが、それ以外は特に悪コンディションというわけでもなかった。唯一、急激な寒さがスタジアムを包んでいたが、選手にとってはむしろ走りやすいというもの。拍子抜けするほど“普通”の環境の中、上位の直接対決はキックオフの時を迎えた。

負傷で田中マルクス闘莉王と金崎夢生を欠く名古屋は、その代役に千代反田充と小川佳純を同ポジションで起用。しかし布陣は通常の4-3-3ではなく4-2-3-1を選択し、バイタルエリアの守備力を重視する戦術を採ってきた。狙いはもちろんC大阪自慢の3シャドー対策だ。「乾や家長はスペースを与えると恐ろしい存在だから、スペースを消す必要があった」とはストイコビッチ監督の言。ダニルソンと中村直志がDFライン前の門番となり、攻撃はトップ下のマギヌンとケネディ、玉田圭司、小川の3トップに託された。

対するC大阪は出場停止のマルチネスの代役に守備力の高い羽田憲司を起用してきた。中盤のゲームメイクはアマラウを中心に、家長昭博が広範囲にわたってボールを引き出すことでカバー。攻撃の点火役はサイドハーフの乾貴士と清武弘嗣、そして高橋大輔、丸橋祐介の両サイドバックが主に担う。

試合は開始早々から激しく動いた。名古屋が3トップの流動的なアタッキングでチャンスを作れば、C大阪は3シャドーの細かいパスワークとドリブルでゴール前を崩しにかかる。守備でも互いの意地がぶつかり合うような激しいボール奪取や空中戦が頻発し、ピッチ内は時間を追うごとにヒートアップ。特に名古屋のダニルソンとC大阪のアマラウ、そして名古屋のケネディとC大阪の茂庭照幸、上本大海のマッチアップは凄まじい気迫を伴って展開された。

激しさとテクニック、スピードあふれる攻防が繰り返される中で、均衡を破ったのはホームの名古屋だ。28分、左サイドからのクロスに合わせに行ったケネディがペナルティエリア内で倒されPKを獲得。これをケネディがきっちりと決め、今季16得点目をゲットした。温厚なストライカーには珍しいほど力のこもったガッツポーズには、この試合にかける名古屋の意気込みが凝縮されていた。C大阪も失点後はリズムをつかみ反撃に出たが、36分と42分の決定機はGK楢崎正剛の好セーブとDFの粘り強い守備の前に跳ね返され、ゴールはならず。名古屋リードのままで前半は終了した。

ハーフタイムが明けると、1点を追うC大阪はリスクを負って前に出た。アドリアーノと羽田に代わり、播戸竜二と小松塁を後半開始から投入。控えFW2枚を同時に入れる積極策で、戦況の打開を図ってきた。これが功を奏し、後半はC大阪が支配することになる。ツートップとし、「アドリアーノとは、特に小松の動きが違った」(名古屋・増川隆洋)こともあり、名古屋DF陣の対応が遅れる中で2分、3分といきなりチャンスメイク。10分には玉田がフリーのシュートを外す幸運にも恵まれ、勢いはさらに増していった。

しかしC大阪の攻撃陣の前に、再び名古屋の守護神が立ちはだかる。12分にはフリーとなった小松の至近距離のシュートをストップし、22分には丸橋の強烈なミドルシュートを横っ飛びでセーブ。37分の乾のミドルシュートはバーに助けられたが、「今日は名古屋のGKのパフォーマンスが非常に良かった」と敵将に言わしめる好セーブを連発し、C大阪の攻撃をシャットアウトした。一方で名古屋の攻撃陣は後半は沈黙。20分に玉田が負傷交代したことも影響したか、名古屋の後半のシュート数はわずかに2本。ほぼ守勢に回った45分間だったが、その状況を高い集中力で耐え抜けるのが今季の名古屋だ。しぶとく、したたかに戦い、4位の挑戦を退けてみせた。

「サッカーの内容を見れば、セレッソが勝利に値していた」
C大阪のレヴィークルピ監督は自負心を持って試合を振り返った。確かに守備陣は名古屋の攻撃をPKによる1点に封じ込め、攻撃では美しい突破を披露していた。しかし、そこに落とし穴があったと名古屋の守備陣は語る。アタッキングサードではボールをつながれながらも「ミドルシュートもそれほど狙っている感じではなかったし、裏をケアしておけば、中盤が戻り(ボールを)奪えた」(名古屋・阿部翔平)、「完璧に崩したいというのが向こうのイメージ。いい能力を持つ乾や家長、清武にもっと怖さがあればとは感じた。僕たちにとっては助かるポイントだった」(名古屋・増川)
スタンドから見ていてもわかったのは、C大阪の攻撃は崩すところでアイデアが終わっていた。得点への道筋が見えない攻撃は、シュートを打たれる怖さがない。もちろん楢崎の好セーブがなければ3点は入っていたので結果論に過ぎないが、名古屋のDFたちが極めて冷静に対応し、振り返っていたことは無視できないだろう。その冷静さは逆に言えば、名古屋の充実ぶりと地力の向上を表すものでもある。

これで名古屋は他チームに先んじて勝点を60台に乗せた。したたかに勝点3を手にする戦いぶりには、王者の風格すら漂ってきた。しかしそれを指揮官は否定する。
「我々はまだ“王者”ではない。“王者”になるために戦っているところ。もちろん“王者”になる準備はできているし、“王者”にはなりたいが、まだ達してはいない」
自信はあっても慢心はしない。名古屋は過去の経験からそれが禁物だということを学んでいる。次節は今季の大一番となるアウェイでの鹿島戦。闘莉王ら主力欠場の中での勝点3は、決戦へ向けての何よりの追い風となるだろう。「次も勝つ!!」と24061人の観客に宣言した守護神の言葉が、その証拠である。

以上

2010.10.31 Reported by 今井雄一朗
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