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最近の柏対策の主流は3バックである。前々節大分、前節熊本ともに柏2トップに対してマンツーマンで対応する3バックを採用。柏のスペースを消し、そしてしっかり守ってからカウンターという徹底した狙いで戦ったことにより、大分は勝点3を、熊本は勝点1を手に入れた。そうした戦いを踏まえて、水戸はどのような戦いに出るのか。
だが、木山隆之監督は「今まで通りの4バックで行きますよ」と宣言。柏相手でも自分たちの戦いを貫く覚悟だという。それは水戸が勝点1ではなく、勝点3を狙っているからだ。「熊本のようにDFラインを下げるとラッキーがないと守れない。勝点1を取れるかもしれないけど、勝点3を取る可能性は低くなる。攻められるのは覚悟の上。その中で自分たちが勝つ可能性を探りたい」と木山監督は鋭い目で語るのであった。今週の練習でも、水戸は最終ラインを下げずに対応する戦い方を確認。柏に主導権を握られても、出来る限りDFラインを高く保って対応する意識を選手たちに植え付けた。
ここに来て、水戸のチーム力はグンと上がっている。その大きな理由はDFラインを高く保てていることにある。以前は相手にボールを持たれると、簡単にDFラインを下げて守ってしまっていたが、今は高く保つことができている。それにより、高い位置でボールを奪う機会が増え、さらにボールを奪った後に選手の距離が近いため、すぐに攻撃に転じることができているのだ。そして、2列目の選手がスペースに飛び出すことができ、攻撃に厚みがつくという攻守においての好循環が起きている。DF裏のスペースを狙われることも多いが、DF陣がしっかり戻って対応すればいい。それを繰り返すことこそ、今季の水戸が目指してきたサッカー。今節、勝点3を奪うために、積み上げてきた水戸のサッカーを柏にぶつけるだけなのである。
今節の水戸はたとえ相手が柏でも、勝点3だけを目指して戦わないといけない。それには理由がある。クラブはこの一戦を「1万人チャレンジDAY」と銘打ち、過去最大のプロモーションを行い、クラブ史上初となる1万人の動員を目指している。選手だけでなく、フロントもこの一戦に向け、並々ならぬ気合いを見せているのである。クラブの威信をかけた一戦で勝点1狙いの戦いはできないのだ。「柏といえども、J2のチーム。やれないことはない。それを選手も理解してくれている。とにかく思い切って戦うことが大事。一発狙えるチャンスはある」と木山監督は笑みを見せる。
ただ、そう簡単にはいかないだろう。これまで幾多のチームが同様の思いを込めて柏に挑み、そして玉砕してきた。今節水戸は大敗の可能性もある。それほど、柏は強い。前節、出場停止だった攻撃の要であるレアンドロ・ドミンゲスが先発に復帰予定。それにより確実に攻撃力は上がることだろう。そして前節、けがで戦列を離れていた大津祐樹が復帰。持ち前のダイナミックな動きを見せ、完全復活をアピール。いきなりフル出場を果たし、コンディションがかなり上がっていることを証明してみせた。今節は出身地である水戸での試合ということで、相当気合いを入れて臨んでくることが予想される。この「J2では群を抜いている」（木山監督）2人を中心に牙をむいて襲い掛かってくるに違いない。
そして、今節は柏にとって首位を独走するチームのプライドを見せなければならない一戦である。2試合連続無得点で勝利がないというのは、首位を独走しているチームにとって屈辱のはず。飢えた狼のごとく、試合開始から果敢にゴールに向かってくることだろう。ここでしっかり流れを断ち切ることができれば、J1昇格に向けて弾みがつくだけに、怒涛の攻撃を仕掛けて勝利を奪いに来るはずだ。
そんな首位チームに対して、気持ちで負けていては水戸に勝ち目はない。柏相手でも一歩も引かず、攻めに出ることこそ、水戸のアイデンティティーであり、木山監督が3年かけて築いてきたもの。あとはそれをピッチで表現するだけだ。保崎淳は言う。「誰もビビッている選手はいない」。木山サッカーのすべてをぶつけ、水戸の歴史に残る勝点3を奪いに行く。
以上
2010.10.30 Reported by 佐藤拓也
