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４位の千葉が３位の福岡に勝点差１（Ｊ２リーグ戦第30節終了時）に迫って迎えた前節（第31節）横浜ＦＣ戦。千葉は「相手のサイドバックの裏を狙う」（ＤＦ鎌田翔雅）意図で、タッチライン際に立つＦＷネットへロングボールを入れた。だが、それは横浜ＦＣのセンターバックに跳ね返され続け、時には横浜ＦＣの２人の選手に挟まれたネットは自由にプレーできず、攻撃は効果を発揮しなかった。それでも千葉はその攻撃に終始し、前半を無駄使いして自滅。だが、後半開始早々に後半から交代出場したＭＦ谷澤達也のサイドを突くプレーからグラウンダーのパスをつなぎ、ゴールかと思われるシーン（実際はオフサイドでノーゴール）を作った。試合後、横浜ＦＣのＤＦ早川知伸が「足元でパスをつないでゴール前まで攻められるほうが嫌だったのに、単純なハイボールが多かったので守りやすかった」と語ったように、千葉は江尻篤彦監督の采配、選手の状況判断やプレーの選択などのミスもあり、０−１の敗戦。第31節北九州戦で勝った福岡との勝点差は４に開いた。
戦況を読んで柔軟に対応する適応力が問われる今節の千葉は、ＦＷネットが累積警告による出場停止（第33節札幌戦まで２試合）。公式戦の甲府戦の通算得点は、Ｊ初ゴールを含む３で、今季の千葉在籍選手の中で最多のＦＷ青木孝太に期待がかかる。甲府は前から激しくプレスをかける分、ディフェンスラインも高い位置に上げることが多い。千葉としては、「１試合に最低１点は取りたい」と話す青木孝のスペースへ飛び出す動きのうまさを生かしたい。連動性の高い攻撃で甲府のＤＦの背後を突いて、得点を狙いたいところだ。
２位の甲府は、第21節から11試合負けなし（４勝７分）だが、第29節横浜ＦＣ戦は０−０、第30節札幌戦は１−１（甲府の得点者はＦＷパウリーニョ）、そして、ＤＦダニエル、ＦＷ片桐淳至が負傷欠場の前節の愛媛戦は１−１と、３試合連続で引き分けと勝ちきれていない。特に、前節は１分にハーフナーマイクが先制点を奪ったものの、その後の得点機をモノにできない。結局、前半終了間際に喫した１失点も響いての引き分けとなった。
とはいえ、第31節終了時に16得点でリーグ最多得点者のハーフナーマイク、９得点のパウリーニョ、８得点のＦＷマラニョンが形成する３トップは個の力に優れ、破壊力は十分。千葉は脅威のある３トップをしっかりマークすることはもちろん、前節は甲府の狙いのサイド攻撃（右サイドバックのＤＦ吉田豊のクロスボールから）で先制点が生まれていることから、まずはサイドを制して３トップへのパスを寸断したい。また、前節の千葉は、失点シーンで得点者のＦＷ西田剛をマークしたのはボランチのＭＦ山口慶で、センターバックのＤＦ青木良太はフリーな状態と、守備でミスマッチの状態が発生。攻めこんだ時にボールの奪われ方が悪いとミスマッチが起こりやすいだけに、フィニッシュで終わる攻撃に加え、攻撃時こそリスクマネジメントを強く意識した連係とポジショニングが重要だ。
前回対戦（第17節）は、甲府が片桐、ＭＦ養父雄仁の得点で一時は２−０とリードしたが、千葉がＭＦ倉田秋、青木良の得点で追いつき、結局、２−２で引き分けた。千葉があの試合で得た勝点１をＪ１昇格へつなげるには、今節の勝点３獲得が必要不可欠だ。前節の試合後、選手が口にした悔しい思いは今節で勝ち、Ｊ１昇格を達成してこそ払拭できる。
以上
2010.10.30 Reported by 赤沼圭子
