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２６日に初雪が舞い、一気に冬の予感も漂いつつある札幌市内。この第３２節、札幌厚別公園競技場では、勝点３５で１３位につける札幌と、同３３で１６位の草津が対戦する。草津が勝てば順位が入れ替わるというお互いの立ち位置だ。
ホームの札幌は前節、敵地で富山を相手に２−０のスコアで勝利。「なかなか勝てない時期が続いていたが、試合内容はだんだんと向上している感じはしていた。勝ててよかった」と石崎信弘監督が振り返ったように、単なるひとつの勝利というだけでなく、思うような結果を出せずにいた札幌が遅まきながら熟しつつある、といったところなのだろうか。今季は序盤から、監督や選手たちが「チャンスは作れているのだけど、最後のところで決め切れない」という試合が多く、Ｊ１昇格を目指しながらも低調な戦いを続けてしまっていた。もちろん、その「最後のところ」というのは簡単に改善できるものではなく、指揮官も「トレーニングを続けていくしかない」と口にしていた。その成果が形になりつつあるということなのだろうが、やはり、それをしっかりと自分たちのものとする、あるいは周囲に証明するには勝利という結果を出すしかない。特に今季はなかなか連勝が果たせていないため、ホームで戦うこの試合で地元のファンに力を示したいところだ。
明るい材料もある。負傷でしばらく戦列を離れていた藤田征也、岩沼俊介がこの試合から出場ができそうな気配が出てきた。藤田はサイドからの鋭いクロス、岩沼は左サイドからの起点作りという武器があり、どちらもチームの主軸。今週はブラジル人ストライカーのキリノが負傷の治療に専念するために一時、ブラジルに帰国するという寂しいニュースもあったが、２人の復帰でチームに勢いを与えたい。
一方、気温が下がっている北海道に乗り込む草津の前節だが、ホームで水戸とスコアレスドロー。前半中ごろ、後半の終盤に相手に退場者が出て、試合終了間際まで２人多い状況で戦いながらのスコアレスだけに、ちょっと残念な結果と言えるかもしれない。そんな試合について、副島博志監督は「早い時間帯に数的優位になって心理的に難しい部分もあった」と言及する。なるほど、サッカーとは難しいもので、「数的優位それも早い時間帯で」というのは絶対的アドバンテージと見てしまいがち。しかし、タイスコアかつホームゲームというシチュエーションが心理的な難しさにつながったのだろう。相手はまずは守備をしっかりと整え、なかなか前には出てきてくれない。言うまでもなく、守備を整えている相手を崩すのは簡単ではなく、勝利が求められるホームゲーム、そして相手は人数が少ないという状況的有利は、心理的不利につながったということだ。
そして、心理的な部分を取り除けば、人数の少ない相手を崩し切れなかったという課題が明確に残る。「ゴール前での最後のひと工夫、アイデア、変化、泥臭さが必要だった」と副島監督。ＦＷ陣がなかなかいい形でフィニッシュができないでいるというここ最近の課題も、何とかここで払拭したいところだろう。
そうした状況を考えると、互いが積極的にチャンスメークをし合う試合展開になるのではないだろうか。札幌は攻撃の形が結果につながりつつあるし、草津のほうは相手を崩し切れなかった前節の流れを払拭すべく貪欲に相手ゴールへと迫るはず。
相手ゴール前でアイデアを出し、泥臭く迫ってでも、しっかりとシュートを決めきれるか？その問いかけに数字で答えを出したほうが、この試合の勝者となる。
以上
2010.10.29 Reported by 斉藤宏則
