今日の試合速報

ACLE MD2
ACLE MD2

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第25節 名古屋 vs 仙台】レポート:仙台のゲームプランを打ち砕いた必殺の“力技”。名古屋が2試合連続の逆転勝利を収め、2位との勝点差を9に広げた。(10.10.03)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月2日(土) 2010 J1リーグ戦 第25節
名古屋 2 - 1 仙台 (16:03/瑞穂陸/13,027人)
得点者:22' 梁勇基(仙台)、57' ケネディ(名古屋)、88' 小川佳純(名古屋)
スカパー!再放送 Ch308 10/4(月)後01:00〜
新機能/試合速報一覧はここをクリック!!
クラブサポーター対抗totoリーグ投票受付中!
----------
仙台にとってみれば、指揮官や選手の言葉を借りるまでもなく「もったいなかった」試合だった。あるいは勝点3を半ば強奪されたような気分でもあるだろう。試合の大部分をプラン通りに進めていたアウェーチームの目論見は、名古屋得意の“力技”で見る陰もなく粉砕されてしまったからだ。しかしこれが首位を独走するチームの強さ。最終的に勝利をものにする力において、名古屋はもはやJ最強のチームとなった感がある。

両チームともに現時点でのベストメンバーといえる11人を並べてきたこの日、まず試合の流れをつかんだのは仙台だった。攻め立てていたのは名古屋だったが、GK林卓人を中心に粘り強い守備で得点を許さない。ハーフラインを始点とした守備ブロックと、人に厳しいマーキングも功を奏し、寸での所で名古屋の攻撃をしのいでいた。もともとが勝点獲得を目指して乗り込んできたチームだけに、この展開は想定内のこと。攻めさせておいて相手陣にスペースを空けさせ、カウンターを狙っていた。名古屋は1分、17分、20分と好機を作り出したが、いずれも不発。ビルドアップの中心である田中マルクス闘莉王が珍しくパスミスを連発しリズムを崩すと、仙台が乾坤一擲の一撃を叩き込む。

22分、反撃に転じた仙台が右サイドで崩しにかかると、一度はクリアされたボールを富田晋伍が再び縦へ。抜け出した菅井直樹が折り返したボールを赤嶺真吾がスルーし、フリーの梁勇基がボレーで合わせる。シュートは当たり損ないだったものの、執念が乗り移ったかのようにボールは闘莉王に当たりゴール左隅へ飛び込んでいった。先制点を手にした仙台は、直後の23分にも左サイドバックの田村直也が強烈なミドルシュートをバーに当てるなどリズムに乗った。前半終了間際に名古屋は前線への圧力を高めてきたが、仙台はGK林がビッグセーブを連発。すくなくとも三度は決定機が訪れたが、いずれも仙台DF陣の気迫溢れるディフェンスに跳ね返された。

この様子ならば、仙台が勝つかもしれない。場内がアップセットの雰囲気に包まれる中でキックオフを迎えた後半だったが、首位の壁は文字通り高く、厚かった。悪い流れを変えるべく、ストイコビッチ監督は布陣を4−4−2に変更。ケネディと金崎夢生のツートップとし、サイドハーフには玉田圭司とマギヌンを配置した。狙いはケネディの高さを生かしたパワープレーだ。ケネディのフリックオンに対するフォローを金崎に任じ、まずは強引にでも相手を押し込む策に出た。これまで多くのチーム相手に成果を挙げてきた必殺技は少しずつ仙台を追い込み、わずか12分で実を結ぶ。後半11分、闘莉王のロングフィードをケネディがペナルティエリア内で競ると、仙台DFがたまらずファウルを犯しPKを獲得。これをケネディが落ち着いて決め、まずは同点としてみせた。

その後は一進一退の攻防へと発展。後半14分、18分、23分、27分と仙台が好機を生み出せば、名古屋も負けじと後半16分、20分、25分とやり返す。27分に仙台が千葉直樹を投入し4−3−3へと布陣を変更するとしばらくは仙台の時間帯が続いたが、ポゼッションで名古屋をいなすことはできてもゴールに迫ることはできなかった。そして迎えた終盤、名古屋が奥の手を繰り出す。後半31分にマギヌンに代えて小川佳純を投入していたストイコビッチ監督は、後半37分、2枚目のカードとして千代反田充を玉田に代えてピッチに送り込む。FWに代えてDFを入れる意図は言うまでもなく、闘莉王のFW起用である。その効果はてきめんで、後半開始直後のパワープレーと同じく、わずかな時間で最高の結果を出すことになった。

闘莉王が前線に上がって6分後、仙台が相手陣で不用意にボールを失うと、一本の縦パスから名古屋がカウンターを仕掛ける。パスを受けた小川がドリブルで持ち上がり、右サイドの闘莉王に送ると、試合終了間際の激走から繰り出されたとは思えない繊細なクロスが小川の元へ返ってきた。「決めるだけのボールが来ました」(小川)。頭で押し込んだ決勝点は、意外なことに小川にとって今季のリーグ初得点。苦悩のシーズンを送っていた背番号10が、土壇場で大きな仕事をしてみせた。

「しぶとく粘り強く」(仙台・手倉森誠監督)戦った仙台を上回るしぶとさで逆転勝利を収めた名古屋は、指揮官の策が二度も大当たりした戦術面もさることながら、劣勢を跳ね返すメンタルタフネスが際立った。「前節に続き逆転で勝てたことは、みんなの心が強くなっている証拠」と語ったのは闘莉王だ。玉田もまた「気持ちだと思う」と強さの秘訣を精神面の成長とした。逆転の要因は力技だったが、やれば成功するというものではない。勝利への執念と気迫が生む集中力、そして力強さがあってこその力技である。増川隆洋は「ウチの長所だと思う」と言ったが、今季の名古屋の一番の強みは実はそこなのかもしれない。どんな逆境もひっくり返せる武器ほど、頼れるものはない。

これで2位との勝点差は今季最大となる9にまで広がり、名古屋は悲願達成にまた一歩近づいた。残るは9試合。だが、これからの時期に勝ち星を伸ばせず、3位に終わった一昨シーズンのことを思えば油断は禁物だ。真の勝者になれるか否か、名古屋の戦いはここからが正念場である。

以上

2010.10.03 Reported by 今井雄一朗
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/10/07(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田Jリーグ全ゴールまとめ【1004-1006】