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ほんの数年前であれば、浦和と大宮の間には大きな差があった。大宮からみれば浦和は隣町にありながら全国に名を轟かすビッグクラブ。規模も違えば、選手たちの知名度、そして当然ながら成績も違う。優勝争いの常連である彼らはまぶしくもあった。一方大宮がＪ１を戦うのは０５年からとまだ日も浅い。埼玉県所沢市で育ち、Ｊ２時代の大宮の下部組織にも所属した渡部大輔は「浦和レッズなら知ってるけど大宮アルディージャって？」と学生時代、周囲から言われ悔しい思いをすることもあったのだとか。
だが、今年はなんだか様相が違って見える。現在のところ浦和は勝点３５で８位、大宮は同２７で１４位。大宮から見た浦和は、もはや手の届かないところにいる相手ではないのだ。そしてなんといってもダービー戦績、過去３年のリーグ戦を振り返っても０９年は１勝１分、０８年１分１敗、０７年１勝１分。現在のところ２連勝中でもあるのだ。もはや「さいたまダービーなんて大宮だけが燃えているだけ」などと浦和としても言っていられない、そんなところまできているはずだ。
そんな中迎える今季２度目のダービー。前回の対戦では退場者を出し、苦しみながらも勝利を手にした大宮だが、クラブ内の表情は、冷静沈着な表情を見せる者から、早くも闘志を見せる者まで実に様々だ。冷静な表情を見せる代表格は当然、鈴木淳監督。「今回もたんたんとやるだけです。大事な試合ではあるけれど冷静に」と普段どおりのにこやかさで対応する。一方前出の渡部や、福田俊介といった県内出身者は熱い。F東京戦での完封勝利に自信をつかみ、３戦連続での先発となりそうな福田は「浦和が憧れだった時期もある。でも、その相手を倒すチャンスだと思うと燃える」と気合を見せる。
大宮の陣容は前節とは大きく変わらない。鈴木規郎が出場停止のため、渡部が右サイドバックとして先発出場することになりそうなことと、ボランチは金澤慎と青木拓矢が組むことになりそうではあるが、他は前節と同様だろう。いつも通りじっくりと守り、機を見てカウンターで攻めることになるだろう。「自分たちのやり方だけではだめ。相手は実力があるので、相手のストロングポイントを消し、ウィークポイントを突く戦い方をしたい」と慎重な言葉で指揮官はゲームのイメージを伝える。
対する浦和はここ６戦で負けなしと、調子を上げてきている。鈴木監督は「（メンバーの）予測がつかない」と話しており、負傷者の復帰具合やシステムなど読めないところばかりなのだと漏らす。それでも警戒するポイントは「エジミウソンが好調みたいであることと、田中達也が復帰してきているところが怖い」と明確だ。試合２日前の紅白戦では、高崎寛之とエジミウソンの２トップを予想した紅白戦を行っていた。また、ポンテの出場停止が試合にどう響くだろうか。
大宮としては、何がなんでも勝利したいダービーであるのと同時に、やはり一刻も早く下位争いから抜けだしのびのびと順位を上げる戦いに専念したいところ。前節F東京戦での戦いを見る限り「攻められても慌てず勝点１を確実に奪いつつ、さらに上を目指す」戦いは大宮にとってはお手の物であるように見える。チーム状態も上昇しつつあり「こんな順位だけど、雰囲気はなかなか良い。上位にいてももっと雰囲気の悪いチームもあるだろうなと思うと不思議な感じ」と北野貴之。今季のなかでも、良い状態に仕上がりつつある今、後半戦への勢いをつけるためにこのダービーはうってつけの試合となりそうだ。
以上
