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【J2:第28節 札幌 vs 岐阜】レポート:前節の大敗を糧に球際で戦った札幌。敵地で勝点1を得て「一歩前進した」岐阜。スコアレスながらも、収穫のあるドローゲームに。(10.09.27)

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9月26日(日) 2010 J2リーグ戦 第28節
札幌 0 - 0 岐阜 (13:03/札幌厚別/5,429人)
スカパー!再放送 Ch183 9/28(火)後07:00〜
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立ち上がりから札幌が主導権を握る展開となった。開始2分過ぎに岡本賢明が単独で持ち込む。5分には西嶋弘之から前線の内村圭宏にクサビのパスが入り、そこから左サイドへと展開。17分には最終ラインの石川直樹がピンポイントで内村へ好パスを。25分過ぎには西嶋が低い弾道で縦に真っすぐのスルーパスを高木純平に通して、これはオフサイドの判定となってしまったが、最終的ゴールネットを揺らしている。札幌は単独突破と、最終ラインからのフィードという二つのプレーを中心に、シンプルなゲーム運びをしていた。その理由は、厚別競技場の芝がまだまだ万全なものではなかったからだろう。志向する、グラウンダーのパスを動かすスタイルを実行するのは難しかったはずだ。

対する岐阜は、前半のシュート数が0本。立ち上がりから札幌の攻撃を受ける時間帯が多かった。しかし、マイボールになれば押谷祐樹、西川優大の左右サイドハーフが高い位置まで張り出し、同時に、秋田秀義を中心に最終ラインが積極的にラインを押し上げ、全体をコンパクトに保つことでホームチームに対抗。惜しむらくはコンパクトに保った陣形がボールサイドへ寄りすぎるため、サイドチェンジをされると相手選手に簡単にフリーでボールを持たれてしまったこと。そして、高い位置に進出させた187センチの長身MF西川にハイボールが届かなかったことだろう。中盤でうまくボールをつなげない状況が続いていたこともあって、ハイボールを上手く利用できなかったのは痛かった。

そうした攻防のなかで目についたのは、札幌のボールへのアプローチだ。セカンドボールはもちろん、相手ボール保持者に対して常に複数の選手がアプローチを仕掛け、完全に奪えないまでも相手に自由なプレーを許さない。球際での頑張りが感じ取れた。前節は柏に1−5のスコアで大敗しており、「柏戦からの少ない日数で気持ちを持って戦ってくれたと思います」と石崎信弘監督が評し、多くの選手が「みんな気持ちが出ていた」と振り返ったように、大敗がチームのメンタルを良い方向に引き締めてくれたようである。「守備はあまり得意ではない」と自ら明かす内村も、ボールを奪われるとすぐに奪い返しに走るなど、当たり前のプレーではあるが、継続するのは意外と難しいプレーを札幌は90分を通じて実行していた。敵地で勝点1を得た自チームを岐阜の倉田安治監督は「一歩前進した」と評価したが、なかなか結果を出せないでいる札幌も、停滞している状況から一歩前進したと言っていいだろう。そういった意味では、どちらにも収穫はあった試合だということか。

最終的な結果は0−0のドローで、どちらも勝点1を手にしている。ただし、厳しい見方をするならば、サッカーというのはやはり得点数を競うスポーツ。スコアレスの引き分けが必ずしも悪いとは思わないが、札幌も岐阜も、ここから順位を上げていこうと思ったならばやはり勝点3を取らなければいけない。そして、勝点3を得ようと思ったならば得点を取らなければいけない。札幌に主導権を握られながらもオフサイドをいくつも取るなど粘り強い守備で無失点だった岐阜、センターバックの石川が抜群の安定感を見せて相手をシャットアウトした札幌。どちらもディフェンスに関してはある程度の整備が感じ取れるだけに、やはり得点力の向上が急務だろう。

得点力の向上について、石崎監督は「トレーニングをしていくしかない」と話す。そう、得点力の向上というのは短い時間で達成できるものではない。どうしても短時間での向上をしたいのであれば、強力なストライカーを補強するのが一番だが、それは資金的に簡単ではないだろうし、そもそも今季の追加登録期間はすでに終了している。やはり、トレーニングを重ねて技術を上げていくほかない。
ただし、アタッキングサードに顔を出す人数をより増やせるような、戦術的な部分に変化をつけてみるだとか、流れのなかでのフィニッシュ精度を短期間で高めるのは難しいわけだから、セットプレーにバリエーションをつけるというのも一策なはず。双方の指揮官が今後、トレーニング以外にどういった方法で得点力向上に着手していくのかという部分には注目したい。

以上

2010.09.27 Reported by 斉藤宏則
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