9月26日(日) 2010 J2リーグ戦 第28節
横浜FC 4 - 1 富山 (13:03/国立/10,809人)
得点者:28' カイオ(横浜FC)、39' 難波宏明(横浜FC)、58' 渡邉将基(横浜FC)、74' 三浦知良(横浜FC)、85' 平野甲斐(富山)
スカパー!再放送 Ch182 9/28(火)後02:30〜
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この試合の勝敗を決するポイントは、「先制点がいつどちらに入るか」という点だったと言ってよい。前回の対戦において堅守からのカウンター攻撃で横浜FCから勝点3を奪った富山は、4連敗中ということもあり、先制点を奪って横浜FCの焦りを誘う展開に持ち込むことが勝利のための条件。かたや横浜FCは、先制点を奪うことで富山の戦意を奪い、追加点を取っていく「勝ちパターン」に持ち込むことを狙う。そして、先制点を奪い狙い通りの展開に持ち込んだのは横浜FCだった。
とはいえ、先制点までがすんなり進んだわけではなかった。3分に、武岡優斗とカイオのワンツーパスから武岡が放ったシュートがサイドネットに外れるなど、最初の15分は横浜FCが中盤のパスワークで圧倒するが、その後は「サイドハーフが中に絞りすぎていたが、そこを修正できた」(舩津徹也)というように、富山もポゼッションで五分の勝負に持ち込むようになる。横浜FCから見れば、ボールを持ちながらも膠着状態に陥る嫌な展開になりそうになるが、28分ついに横浜FCが先制点を手に入れる。右サイドを流れるようなパスワークで崩すと、中央でフリーとなったカイオが左足一閃。ミドルシュートをたたき込む。この先制点以降は、守備の寄せが甘い富山に対して横浜FCが完全に主導権を掌握。39分には、左サイドでフリーとなった八角剛史が、富山DFラインの裏に絶妙のパス。このパスを難波宏明が落ち着いて決めて待望の追加点を挙げる。天皇杯を含めると5回目のカイオと難波のアベックゴール。「この2人が点を取れば、100%勝てる」と岸野靖之監督が普段から宣言しているように、前半で試合をほぼ決めてしまう展開となった。
後半に入っても、試合は横浜FCペースのまま。58分の右CKの場面で、渡邉将基がうまくマークを振り切ってフリーとなり、ヘディングシュートをたたき込む。岸野監督が常々口にする「先制する、追加点を取る、ダメを押す」という勝ちパターン通りのゲーム展開に持ち込むことに成功。「意気消沈しているところもあった。1点返そうとメンツをいじった」(楚輪博監督)というように、富山も石田英之と平野甲斐を投入し挽回を図るが、一度削がれた意気を回復するまでには至らなかった。
そして、ゴールラッシュの最後を締めくくったのは、日本サッカーの聖地・国立競技場で数々の歴史を刻んできた千両役者・三浦知良。70分に投入されると74分、自分が受けたファールで得たFKを直接ゴール左隅にたたき込む。スタッフ、サポーターに捧げるカズダンスも見せて、この日10,809人が詰めかけたスタジアムの興奮は最高潮となった。富山も85分に平野がFKからのヘディングシュートを決めて一矢報いるが、反撃もそこまで。終始ゲームのペースを握り続けた横浜FCが4-1と快勝。順位も、J's Goalのトップページに表示される6位に浮上した。
派手な4得点に目を奪われがちだが、この試合の横浜FCで特筆すべきは守備のバランス。前節の熊本戦とこの富山戦では、守備のバランスが格段に向上している。中盤でのプレッシングだけでなく、ボールを奪われた後のグループでのリスクマネジメントが改善されたことが、ゲームを支配し、スムーズな攻撃を支える基礎となっている。「今日の試合の結果、内容は勝利に値する形だった」という岸野監督のコメントの通り、シーズン前に目指した形がはっきりと表現できた試合だったと言って良い。また怪我を抱える高地系治、寺田紳一を休ませることができたことも大きい。次節対戦する甲府は、是が非でもリベンジを果たさないといけない今シーズン最大の相手。その大一番に弾みとなるだろう。
一方の富山は、前半のシュートはなく、「前に空いている時にもパスを選択する」(楚輪監督)というように、ポゼッションを狙いつつも、攻撃で怖さを出すことはできなかった。前半、ポゼッションで五分が保てた時間でいかにフィニッシュに結びつけられるのか。ゴールを狙う怖さをチームで付けていくことが課題となるゲームとなった。
チームの完成度の差が結果に結びついたゲームだったが、横浜FCのプレーの進化、三浦知のゴールを目の当たりにして、普段の準備とその積み重ねの大事さを改めて感じるゲームだった。
以上
2010.09.27 Reported by 松尾真一郎
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