9月25日(土) 2010 J1リーグ戦 第24節
清水 1 - 5 名古屋 (15:04/アウスタ/19,496人)
得点者:47' 枝村匠馬(清水)、50' 玉田圭司(名古屋)、58' ケネディ(名古屋)、62' 玉田圭司(名古屋)、71' 玉田圭司(名古屋)、83' ケネディ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch180 9/27(月)後01:00〜
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5-1という点差ほど力の差があったわけではない。実際、後半2分に先制するまでは、清水が優位に試合を進めていた。しかし、名古屋には後半有利になる要素があり、選手たちもそのことをよくわかっていた。それが見事にはまり、清水が悪循環に陥った結果が、予想外の大差となって表われた。
キックオフ前になって強い日射しが雲にさえぎられ、気温22.9度、湿度60%、無風という絶好のコンディション。立ち上がりは、いきなり清水が鋭い出足でアグレッシブに仕掛け、自分たちのリズムを作っていった。この大一番にかける気合いのほどが、誰の目にもはっきりと伝わる最高のスタートだった。
もちろん名古屋のほうも気持ちは十分に入っていて、球際の競り合いは非常に激しくなったが、出足の良さやパスワークでわずかに上回った清水がペースをつかんでいく。12分には太田宏介の左クロスから岡崎慎司が惜しいダイビングヘッドを放ち、18分にはフローデ・ヨンセンがリフティングから意表をついたミドルシュート。18分にも兵働昭弘の左クロスに岡崎が飛び込み、きわどい場面を作った。
それに対して名古屋のほうは思うようにボールを前に運ぶことができず、決定機もほとんどなく、我慢の前半となった。だが、それは「前半は清水がガツガツ来ると思ったし、ああいう形になるのも予想できたので、やはり後半が勝負になると思っていた」(金崎夢生)と想定の範囲内。守備では非常に固いところを見せ、清水に先制点を与えないまま後半に折り返した。
そう考えると、後半は予想以上に早く試合が動いた。後半開始2分、カウンターからうまくつないで岡崎が左の裏に飛び出し、ヨンセンを狙うと見せかけてマイナスのクロス。このボールに、藤本淳吾の負傷(右太もも)により前半25分から出場していた枝村匠馬が飛び込んでスライディングシュートを放ち、見事に右ポストぎりぎりに流し込む。後半も良い入り方をした清水が、枝村の勝負強さを生かした素晴らしい形で待望の先制点を奪い、その時点では試合はますます清水の流れになるかに見えた。
しかし、そう思えたのも3分間だけ。その後は、名古屋がサイドから厚い攻めを見せ、5分に左CKを獲得。マギヌンが入れたボールは、中央でこぼれ球となり、いち早く反応した玉田圭司が左足のハイキックでゴール右に蹴り込み、あっさりと名古屋が同点に追いつくことに成功した。
セットプレーの守備が今季の大きな課題となっている清水にとっては、この失点は精神的にも大きな痛手となったのだろう。その後は、徐々に清水イレブンが冷静さを欠いていく。とくにその影響がはっきりと表われたのはカウンターへの対応だ。前半の清水は、ボールを奪われてカウンターを受けそうになっても、その起点に素早くプレッシャーをかけて攻撃を遅らせ、効果的なカウンターを許さない守りができていた。
しかし、1-1になった後は「ホームで勝たなければいけない、優勝するために攻めに行かなければいけないという気持ちがより強くなって、その時間バランスが崩れたんじゃないかと思う」(長谷川監督)という状況に陥り、カウンターへの対応が「後手後手になってしまった」(平岡康裕)。それが次の失点につながってしまう。
後半13分、中盤の左でボールを奪った名古屋が、そのままノープレッシャーで右につないでいき、右サイドバックの田中隼磨が上がってフリーでクロスを入れる。これが絶妙な軌道を描き、後方からDFの前にうまく飛び込んだケネディが頭で押し込んで、名古屋が逆転に成功した。
しかし、清水にも流れを取り戻すチャンスは一度だけあった。後半16分の攻撃で、センターバックの岩下敬輔がスルスルと前線に上がっていき、平岡の右クロスから高さを生かした決定的なヘッドを放つが、これはGK楢崎正剛が横っ飛びでスーパーセーブ。ここで2-2になれば、清水にもまだ可能性はあっただけに、これも試合結果を大きく左右するビッグプレーとなった。
逆にその直後の名古屋の攻撃で、ケネディへのロングボールのこぼれを拾った金崎がドリブルで仕掛け、マギヌンを経由して左につなぐ。これでフリーになった玉田が精度の高いシュートを右隅に決め、名古屋が3点目をゲット(後半17分)。これで清水が前に焦る気持ちはさらに強くなった。
そうなると名古屋のカウンターはさらに効いてくる。後半24分のカウンターで金崎が裏に抜け出し、これを後ろからのスライディングで倒した岩下が一発退場。そこで得たFKを玉田が直接決めて、ハットトリックを達成した。清水にとっては、まさに「泣きっ面に蜂」という状況になってしまった。
だが、それは名古屋にとっては思惑通りの展開でもある。「後半は多少間延びするというか、スペースも空いてくるので、その状況になればこっちに優位な選手が多い。そういう意味で後半は自信を持って入った」(金崎)。中盤にスペースができて、清水のプレッシャーが緩めば、個で打開する力では上回る前線のタレントが生きてくる。2点目、3点目と、岩下が退場になった場面は、まさにその通りの形だった。
その後は、数的優位になった名古屋が冷静にゲームをコントロールし、後半38分にはケネディが2点目を決めて5-1。後続チームを突き放すアウェーでの大きな勝点3をつかんだ。玉田とケネディが、2人合わせてシュート7本で5得点と素晴らしい決定力を発揮したことも、この大一番で本当に大きかった。
逆に清水のほうは、残り10試合で首位・名古屋と勝点11差に開き、優勝戦線から大きく後退。誰も想像しなかった大敗に関しては、すべてを賭けていた分、悪いほうに転がったときの反動も大きかったということだろう。したがって今後は、この結果を引きずることなく、前半のようなサッカーを継続できるかどうかが重要になってくる。
チームとして大きな関門をひとつクリアした名古屋。ストイコビッチ監督は、そのことを「選手たちは進級試験にパスした」と表現をした。たしかに両者の実力は拮抗していたが、お互いに気持ちが入っていた中でのちょっとした心の“ゆとり”や、試合運びの冷静さという意味では、名古屋のほうが明らかに上回っていたことは否定できないだろう。
以上
2010.09.26 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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