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草津の進撃はまだ止まっていない。草津は前節、北九州を１対０で下して２連勝となった。23節大分、24節徳島でリーグ戦2連敗、さらに天皇杯2回戦で北九州に敗れて公式戦３連敗となったことで存在感が薄れてしまったが、チームは勢いを失ってはいない。今節は、その勢いを、そしてパワーを鳥栖へとぶつける。
Ｊ２中断明けの戦績を見ると、チームの成長が一目瞭然だ。草津は中断明けの９試合で６勝１分２敗の結果を残し、勝点１９を稼ぎ出している。ちなみに中断明けの首位は東京Ｖ（６勝２分２敗）と福岡（６勝２分１敗）で勝点２０。このクラブに続くのが草津（６勝１分２敗）、柏（５勝４分１敗）、甲府（５勝４分１敗）となっている。草津は現在の順位こそ１５位となっているが、最近２カ月では上位陣とそん色ない成績を残しているのだ（しかも草津は柏、甲府、東京Ｖより１試合少ない）。
草津は前節アウェイ北九州戦で、天皇杯２回戦で敗れた屈辱を晴らして、勝利を奪い取った。オウンゴールによる１点が決勝点となり、内容的には課題が残ったものの、勝利が求められた試合で結果を持ち帰ったことは評価できる。試合後、副島博志監督は「９０分間を通じてのゲーム運びができていた」と話したが、前半の悪い時間帯をきっちりと耐えて、後半に主導権を手繰り寄せることに成功した。
攻撃のアクセントとなっているのは、松下裕樹と熊林親吾のダブルボランチ。櫻田和樹が結膜炎で戦線離脱したことにより結成されたコンビだが、以心伝心のプレーでゲームを組み立てている。熊林が後方でゲームを作ることで松下が前に出る機会が増え、ミドルシュートを打つシーンも増えている。前々節岐阜戦ではチーム最多タイの５本、前節北九州戦でもチーム2位の３本のシュートを放ち、攻撃に幅を加えている。
さらに前節揃って先発出場した菊池大介と山田晃平の「ＫＹコンビ」が積極果敢なドリブルでアクセントとなっている。良い意味で“空気を読まず”に仕掛ける姿勢は、これまでの草津になかったもの。彼らが相手の守備陣を突き破ることで、草津のポゼッションサッカーはさらに効力を発揮する。山田は試合ごとにチームにフィットし始めていて今ゲームでは初ゴールも期待できる。またＵ１９日本代表に選出された菊池大介は鳥栖戦後にＵ１９アジア選手権（中国）へ旅立つため、ゴールという置き土産を残したいところだ。
正田スタへと乗り込んでくる鳥栖は前節のバトル・オブ・九州の宿敵福岡戦で相手に圧力をかけながらも１発に泣き、ホームで痛い星を残した。８月上旬までは昇格が狙える位置につけていたが、勝ちきれないゲームが続き１０位まで順位を落とした。松本育夫監督は「サポーターやクラブの期待を裏切ってしまい責任を感じている」と悲壮感漂うコメントを残しており、もはや草津戦は言い訳ができない。土俵際に追い詰められた鳥栖は決死の覚悟で草津へ向かってくるはずだ。
前回の対戦では、草津はエース・ラフィーニャを欠きながらも、攻守にスピーディなサッカーで戦い、スコアレスドローへと持ち込んだ。松本監督は「草津の選手に前向きな守備をさせてしまった。鳥栖の選手たちはもっと工夫しなければいけなかった」と話していたが、その反省を踏まえて今回は攻撃に変化をつけてくるはず。福岡戦同様に前線へロングボールを放り込んでくることも予想される。草津は臨機応変なプレーが要求される。
中断明けにリーグトップタイの６勝を挙げている草津だが、順位は思うように上がってはいない。中位クラブもじわじわと勝点を伸ばしているために追いつくことができないのだ。「連勝はしたが、まだ今の順位に満足はしていない」（菊池大介）。ここから先、順位を上げるには勝ち続けるしかない。草津は今季２度目の３連勝を果たすことで、中位進出へのクサビを打ち込む。
以上
2010.09.25 Reported by 伊藤寿学
