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秋分の日の第27節、岡山は大雨のピッチで水戸と戦った。後半のいい時間（69分）に、FW白谷建人のJ初ゴールで先制するが、ゲーム終了間際（88分）、水戸・吉原宏太の巧みなゴールで1点を返され、結果はドローに終わった。4連敗（第21節・横浜FC戦0-2、第22節・徳島戦1-2、第24節・千葉戦0-4、第25節・愛媛戦1-2）後の、2ゲーム連続引き分け。これからシーズン終了までの戦い方を占う上で、ポイントとなるのが、このゲーム。Jデビューイヤーの昨季のように、シーズン終了までの15試合でわずか1勝しか出来なかった鬱屈とした日々を繰り返すわけには、いかない。
9月の岡山の収穫は、さまざまな「初もの」だ。4月に岡山に加入したFW李東明は、天皇杯2回戦で来日後、初の公式戦ゴールをマーク。今年、ケガに悩まされた喜山康平は、前々節・北九州戦の後半開始直後、自らインターセプトして得たボールを鮮やかに決めて、今季初ゴール。ともに「イメージどおりだった」と振り返ったいいゴールだった。しかし当人たちが自覚するように、もっと早い時期に、この初ものはいただきたかった。また前節・水戸戦では、白谷建人が期限付き移籍で半年間在籍した古巣に対して、J初ゴール。水戸戦の前日、練習後に大きな声を出しながらシュート練習をする白谷を見て、（こんな明るい選手だったの…）と呟いていると、「そう、建人クンは、練習帰りにジーパンじゃなく、短パンを履くようになった時点で、岡山の人になったの！」と、サポーターから教えられた。
北九州戦がJデビュー戦となったのは、GKの廣永遼太郎。国際経験も豊かな20歳が、自分のデビューがどうのより、勝点３だけを頭と心と身体に置いて戦ったことは、誰もが知っている。「純粋に勝点３が欲しかった。皆、カバーしてくれてると思う。自分が後ろから引っ張ることが出来るようにならないと」。廣永について喜山は北九州戦後、「デビュー戦はサッカー人生で思い出になる試合だから、勝たせてあげたかった。積極的にやっていると思う」と話した。
岡山の「初もの」は、きっと時間をかけておいしくなる。李も喜山も白谷も廣永も、彼らの「初」は勝利を得ていないから、今から見せ場を迎える。
Catch Mike,if you can. これは8月末の甲府側のプレビュータイトルだ。得点ランキング1位を走るハーフナー・マイクを擁する甲府は、前節・富山戦にパウリーニョ、マラニョンの3トップで臨み、それぞれが1ゴールを挙げて完封勝利を果たした。マイクひとりを捕まえたって、簡単には抑えきれない態勢で、甲府は足場固めの最終段階に入っている。「良いゲームをしても勝ちきれないことがあったが、リードしても安心せず、完封したいという思いが選手から出てきた」（甲府・内田一夫監督）。
この連戦と３日前の雨中決戦の疲労は、岡山に無心をもたらすはずだ。完封勝利を狙いに来る甲府に対して、岡山は、DNAに組み込まれた戦う本能を浮かび上がらせるだけ。第28節は、岡山が登るべき、また、甲府にとっても制覇すべき、頂のひとつ。深い内容が期待できそうだ。
以上
2010.09.25 Reported by 尾原千明
