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残り11節―
残留争いがいよいよ本格化してきた。ここからは下位グループから抜け出せないチームにとってシビアな戦いが極まる。降格圏に沈むF東京（勝点２１・１６位）は、残留を争うチームとの三番勝負を迎える。今節はその第１戦、大宮（勝点２４・１４位）戦だ。試合は明日13時、味の素スタジアムでキックオフする。
F東京は19日、城福浩監督を解任し、大熊清監督の就任を発表した。大熊監督は、9年ぶりに古巣への復帰を果たした。「ひたむきに、最後まであきらめない姿勢」というクラブの源流を築いた初代F東京監督が帰還した。だが、感傷に浸る時間はまったくない。準備期間は、月曜日を休養日としたため、実質4日間しかなかった。新たなサッカーをチームに落とし込むまでの時間は限られていた。連日、夜遅くまでスタッフミーティングを重ね、この初陣に向けて準備を進めている。
「伝わったことかどうかは、ゲームをやってみないと分からない。時間はない。努力はした。あまりに長くやると疲れてしまう。緩くなってしまうと、表現できない。その微妙なバランスを考えながらやった。後は、試合でやれるかどうか。サッカーの本質というところは色んな要素が含まれている。球際であったり、切り替えだったりが抜けていると、絵に描いた餅になってしまう。不変なものは一つではない」（大熊監督）
就任から連日、強度の高い練習が繰り返されてきた。さらに梶山陽平が、右腓骨下端剥離骨折で全治約２〜３週間と診断を受けている。絶対的な存在を欠いたまま、少なくとも2試合を戦わなければいけない。限られた時間の中で、サッカーの本質を呼び起こせたかが今節からの戦いで明らかになっていくはずだ。「一瞬、一瞬のプレーに責任を持とう」（大熊監督）。全員攻撃、全員守備。そのサッカーは、誰かがサボれば、穴が開いてしまう。激しく攻守が入れ替わる中で、ワンプレー、ワンプレーに悔いを残さない戦いをしなければいけない。
「鈴木（淳）さんとは、協会でも一緒にやっていた。元々、中盤で上手い選手だった。中盤で動きながら、ボールを回しながら凄くいいサッカーをする。リスペクトしている、頑張るいいチームだと思う」（大熊清監督）
現在、F東京は、公式戦6連勝中と大宮には抜群に相性が良い。この戦績は、大宮のウィークポイントと、F東京が得意としていたビルドアップの方法がはまっていたからだろう。だが、大宮は、鈴木淳監督の下、組織的なスタイルに着手している。ラファエル、李天秀など、個性的な選手が組織の中で異彩を放っている。また、かつてF東京に所属した鈴木規郎がシーズン途中に加わった。味の素スタジアムを沸かせた弾丸FKもこの試合の見所となる。それに勝利に飢えているのは、互いに同じだ。激しい攻防が予想されるだろう。
「自分たちが逆に個性やいいところを出せるか」（大熊監督）
F東京の選手たちの個性を試合でいかに出せるか。互いに組織立ったチームを目指すのであれば、その差が生まれるのは選手個々の力でもある。組織の先にある個性を生かしたチームがこの厳しい一戦を制するだろう。
大熊東京は初陣を飾れるのか。試合は明日13時、味の素スタジアムでキックオフする。
以上
2010.09.24 Reported by 馬場康平
