9月23日（木） 2010 J2リーグ戦 第27節
岐阜 2 - 0 大分　（13:04／長良川球／2,006人）
得点者：11' 押谷祐樹（岐阜）、41' 押谷祐樹（岐阜）
スカパー！再放送 Ch183 9/25（土）前05:30〜
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大分はこの試合、MFキム・ボギョン、FWチェ・ジョンハンの2人をベンチに置き、MF東慶悟がベンチ外という状況で挑むこととなった。要因は３人の体調不良で、東は試合当日の朝に体調不良を理由に、岐阜まで帯同しながらも、急遽ベンチを外れることとなった。スタメンにはMF梅田高志が入り、CBもチャン・ギョンジンと藤田義明のコンビを置いた。

スクランブル状態の影響と、雨でスリッピーなピッチに苦しんでか、大分はミスを連発。キックミス、トラップミスで思うように攻撃を構築出来ない。こうなってくると、出足が良かった岐阜が付け入る隙はどんどん増えていく。
「思った以上にボール転がって、雨の日のサッカーになると思った。こういう戦い方になると、リスタートの瞬間や、ペナルティエリア周辺の攻防が鍵となる。サイドバックの裏を、先手を取って、仕掛けていくことが大事になる」と倉田安治監督が語ったように、岐阜はピッチ状況を見て、リスクのあるパスサッカーを避け、バイタルエリアではショートパスを多用せず、仕掛けることと裏へのボールを多くすることを狙いとして、大分守備陣に襲い掛かった。

すると10分、まさに狙い通りの形で結果を掴む。シンプルなパス回しから、MF押谷祐樹が右サイドでボールを持つと、そのままDFの間隙を突いて、斜めに仕掛けて、一気にペナルティエリア内に侵入。体を張ってブロックに行ったDF土岐田洸平に対しても、押谷は構わず前に突き進んだことで、相手のハンドを誘発し、PKを獲得。これを押谷自らが決め、岐阜が先制に成功した。

思うようにペースが掴めない大分を尻目に、その後も倉田監督の指示通りシンプルにプレーをし続けた岐阜が終始ペースを握ると、41分にはビューティフルゴールが生まれる。右サイドタッチライン付近でDF野垣内俊がタメを作ると、DFを引き付けてから、平行に走ってきたMF菅和範へパス。菅はダイレクトで野垣内によって引き付けられたサイドバックの裏のスペースに鋭い縦パスを送り込む。そこにオフサイドとラップをかいくぐって、絶妙な飛び出しを見せたMF西川優大が抜け出すと、スリッピーなピッチを利用して、芝に滑らすようなマイナスのグラウンダーのセンタリング。ここに逆サイドから走りこんだ押谷がダイレクトで、ゴール右隅に豪快に蹴りこんだ。スリッピーなピッチをものともせず、逆に利用した素晴らしいコンビネーションプレーで、岐阜がこれまでの試合でもなかなか取れなかった2点目を奪った。

後半、「DFラインの裏へ抜け出せる選手にした」と皇甫官監督が語ったように、ポストプレーやタメを作るパワーストライカーの森島康仁に代え、チェ・ジョンハンを投入。しかし、大分は前半からクサビが入らずに苦しんでいた。岐阜の田中秀人と秋田英義の２人のセンターバックと、ボランチの池上礼一のトライアングルが絶妙なコンビネーションを見せ、うまく周囲を生かしながら、２トップを強固なブロックで、彼らにはいるクサビを遮断した。ゆえに、裏への飛び出しを狙っても、その前の展開で引っかかり、攻撃のてこ入れまでには至らなかった。それでも55分には右サイドの展開から、DF益山司のシュートに反応したMF河原和寿がダイビングヘッドを放つが、これはJデビューとなったGK村尾龍矢のファインセーブに阻まれる。すると、63分にはロングボールから抜け出した押谷を、チャン・ギョンジンが倒し、一発レッドカード。大分は10人となり、万事休す。

その後、岐阜の猛攻に耐え、試合終盤には2度の決定機を作り出す意地を見せたものの、ゴールは遠く、そのままタイムアップ。岐阜は2-0という結果以上に、内容でも相手を凌駕し、勝点3を掴んだ。
「今日の試合は、誰が試合に出てきても、しっかりと戦えることが出来たし、今日は全員が良くバトルしてくれました」と倉田監督が語ったように、岐阜の選手から勝利に対する気迫が見えたし、GK野田恭平、DF吉本一謙の出場停止を受けて、出場した村尾と田中が素晴らしい活躍を見せ、最近はサブに甘んじていた菅も躍動した。これは岐阜にとって明るい光となるし、これからにつなげなければならない。
「これを続けること、アウェイで勝点３を取ることをやっていきたい」（倉田監督）。勝率の悪いアウェイでの勝利を。次はこれを達成してこそ、岐阜にとって幸せな連鎖が続いていくはずだ。

以上

2010.09.24 Reported by 安藤隆人