9月23日(木) 2010 J2リーグ戦 第27節
栃木 1 - 0 愛媛 (13:23/栃木グ/1,913人)
得点者:26' 那須川将大(栃木)
スカパー!再放送 Ch183 9/24(金)深03:00〜
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4-4-2のゾーンディフェンス、鋭利なカウンター。互いに攻守の特長が似通ったチーム同士の対戦で、勝敗を分けたのはセットプレーだった。「我慢比べになるのかなと思っていたが、セットプレーで先制点を取れたことが一番大きかった」と栃木SC・松田浩監督が言えば、愛媛FC・バリバリッチ監督も「結局は前半の彼らのゴールが試合を決めた」と先制点の重さを強調した。前半26分、FKから先手を取った栃木が、J2参入後未勝利だった愛媛から初勝利を挙げ、5試合ぶりの歓喜に浸った。
雷雨の影響でキックオフ時間が20分遅れた一戦は、互いに堅守が持ち味だけに守備からリズムを整えながら、栃木はロングフィードを、愛媛はショートパスを主体に攻めた。6分に愛媛の大木勉が果敢にミドルを放てば、直後に栃木の水沼宏太もやり返すなど、リスクを冒すことを避けた前期の対戦とは異なり、ゴールへの意欲を感じさせた両者。だが、守備ブロックが機能したことで、前半のシュート数は意外に少なく、栃木2本に対し愛媛3本に終わる。
たった2本のシュートに終わった栃木だが、2本目のシュートがゴールをこじ開けた。「練習通りだった」と水沼が振り返るのはFKのサインプレー。水沼が蹴るふりをしてヒールで背後に流したボールを、豪快に左足で蹴り込んだのは那須川将大。得意の無回転シュートは、GKの手前でワンバウンドし、ゴールへと吸い込まれた。「とにかく枠に飛ばそうとしたことが良かった」と、那須川は嬉しいプロ初ゴールに興奮を隠しきれなかった。リードを奪った栃木は、「守りに入ったわけではないが慎重になった」(大久保裕樹)ことで、追加点を奪うような有効な攻撃は繰り出せなかった。しかし、ピンチを招くこともなく、1点のアドバンテージを持ってハーフタイムを迎えられた。
「後半はサイドチェンジからクロスを上げられたり、クサビからシュートの形はできていた」と赤井秀一。愛媛は連動しながらショートパスでの打開を図り、ゴールに迫る機会は目に見えて増えた。だが、ジョジマールが狙ったシュートはGK柴崎邦博の正面を突き、ポストプレーから赤井が打ったミドルは枠を逸れた。一方、一時的に受けに回った栃木は、盛り返すとカウンターから水沼とリカルド・ロボが決定機を迎える。結果的に追加点は得られなかったが、前に出てくる相手を逆手に取ったカウンターは脅威を与え続け、「攻撃は最大の防御」となり、愛媛の戦闘意欲を上手く殺いだ。
クラブ初の4連勝にチャレンジした愛媛だが、またしても失敗に終わった。それよりも順位の近かった栃木に負けたことを赤井は悔いた。セットプレー1本が重くのしかかり、久しぶりの敗戦で12位に後退した愛媛。だが、福田健二はポジティブだ。「3連勝していることでチームとしても凄く自信を持ってプレーしていた」。守備への意識の高さがブロックを強固にし、失点しても崩壊には至らなかった。短時間だったかもしれないが、取り組んでいるパスからの崩しは栃木を戸惑わせ苦しめた。次節も上位のロアッソ熊本との対戦が控える。せっかく作ったいい流れを断たないためにも、連敗は許されない。
「(追加点を)決めて楽に試合に勝つよりも、決めずに難しい課題を選手は選んだのかな」と、松田監督がシニカルな物言いができたのも勝ったからこそ。2点、3点とゴールを重ねられなかったが、1点でも十分に勝ち切れる雰囲気は感じ取れた。それは、本橋卓巳の言葉を借りれば、「集中して守る栃木のカラーが出せた」からだ。生命線の粘り強い守備を持続できたのは、東京ヴェルディを相手に前節無失点に抑えられたことが小さくない。追加点を取り切れなかったことを惜しむ声よりも、「1-0で勝ち切ったことでチームがひとつレベルアップできた」と水沼の言葉に同調する声の方が、選手の中では大きかった。その自信を大切にしたい。
未勝利の東京Vからの勝点1で「半歩前進」し、同じく未勝利の愛媛からの勝点3で「一歩前進」した栃木。勝利に見放されていた時期を乗り越え、上り調子で2日後のジェフユナイテッド千葉、翌週の柏レイソルと強豪に挑む。前期は千葉にも柏にもドロー。春先からどれだけ成長したのか。現在地を知るには千葉勢は最高の物差し。ここ最近のチームのキーワードである、「チャレンジ」することを恐れず、積極的に攻守両面で「アクション」を起こし、さらなる躍進を狙う。
以上
2010.09.24 Reported by 大塚秀毅
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