9月23日(木) 2010 J2リーグ戦 第27節
熊本 0 - 2 横浜FC (15:02/熊本/12,036人)
得点者:3' 難波宏明(横浜FC)、34' カイオ(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch183 9/24(金)後00:00〜
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この試合の2日前、高木琢也監督はこう話していた。
「初めて見に来る人たちにリピーターになってもらえるよう、勝つゲームを見せないといけない」。
後半途中に発表された入場者数は、他の会場で天候の影響があったとは言え、ベストアメニティスタジアムで行なわれた鳥栖対福岡の11,077人を凌ぎ、今節のJ2では最多となる12,036人。このうち初めて観戦に訪れた人がどれくらいいたかは分からないが、「次も見に来たい」と思わせる試合ができたかと言えば、残念ながら否定せざるを得ない。熊本は横浜FCに0−2で敗れ、東京Vに抜かれて6位に後退した。
前節、福岡に逆転負けを喫した横浜FCは、出場停止のホベルトの位置に高地系治を置き、左サイドにはエデル、そして右には熊本が警戒していた寺田紳一ではなく武岡優斗を先発で起用。さらにGKに関憲太郎、CBに渡邊将基と、前節から大きくスタメンを入れ替えてきた。
一方の熊本も、福王忠世の出場停止を受けて矢野大輔とチョ ソンジンがCBのコンビを組み、ボランチには吉井孝輔が復帰。甲府戦で貴重な同点ゴールを決めたファビオを松橋章太と組ませることで宇留野純を右サイドに移し、左には西弘則と、前節から一部入れ替えた布陣でキックオフを迎える。
だが開始からわずか3分、横浜FCがあっさりと先制する。武岡のクロスの跳ね返りを柳沢将之が拾って再びクロスを送ると、カイオが潰れたところに詰めた難波宏明が左足で沈めたのである。
「立ち上りは前から来るので、最初の10〜15分は注意しないといけない」と高木監督も話していた通り、守備でペースを作るのが熊本の狙いだった。だがあまりに早すぎる失点で、そのプランは早々に崩壊。失点した焦りや今季のホーム記録となる多数の観客、そして積極的な横浜FCのプレス等、複数のイレギュラーな条件も絡んで慌てる場面が目立ち、落ち着いてボールを動かせない。逆に横浜FCは、先制ゴールを決めた難波がキレのあるプレーでうまくボールを収めて起点となり、10分、17分、18分と、主に右サイドから立て続けに熊本陣内に攻め込む形を作る。
では対面する熊本の左サイドはどうだったか。タッチライン際で優位に立てなくなった要因としては、西がやや中央よりのポジションを取っていたこと、そして攻撃に重心が乗った堤俊輔の裏にスペースができたことが挙げられる。さらにその元を辿れば、「2列目から入ってくる選手とか、ボールに対して誰が行くのか、ちょっとずれていた部分があったかもしれない」と吉井が話すように、難波が落ちたり流れたりしたところにカイオと武岡がポジションチェンジしながら、あるいは後方からは柳沢や高地が入り込むという、タテと横とが組合わさった横浜FCの動きを、熊本の中盤がうまくつかまえられなかったことが影響している。そうした微妙なズレは少しずつ積み重なり、横浜FCが逆のサイドへ展開するまでには、修復できない大きさにまで広がっていくことになる。
それでも20分前後からは少し流れを引き戻したが、宇留野がスペースを狙ってファビオを走らせシュートまで持ち込んだ27分の場面も枠を捉えきれず。全体的に中に絞っていたことで、ボールを奪って攻撃に転じてもワイドな展開ができず、中央で引っかかって詰まるという悪循環。加えて「ボールへの執着心とか執念という部分で劣ってしまった」(高木監督)となれば、セカンドボールもうまく拾えず、リズムが悪くなるのも必然。果たして34分、再び左から高地にフリーでクロスを入れさせ、カイオに追加点を許した。
後半に入ると熊本は宇留野を下げ、「落ち着きを作りたい」(高木監督)という狙いで藤田俊哉をピッチへ。だが、「守備になったら1対1から1対2、数的優位を作る。(そのための)運動量とか、ボールへの強い気持ちが今日はあった」と岸野靖之監督が振り返った通り、横浜FCはボールへのアプローチが非常に早く、かつ最終ラインのバランスも崩さない。
熊本は68分にカレン・ロバート、73分に片山奨典を投入。特に片山が入った左では押し戻し、88分のカイオのシュート以外は決定的な場面を作らせなかったほど、ボールも保持して攻め立てた。しかし、きっちりと揃った横浜FCの守備を崩すことはできずに、シュートも前半より少ないわずか3本。80分にはチョが一発レッドを受けて10人になるなど、半ば自滅するような形で重要なゲームを落とした。
横浜FCは3試合ぶりの無失点ゲームで順位を1つ上げる結果に。立ち上りの先制点が精神的にも余裕をもたらしたと言えるが、ラインコントロールも含めた組織的な守備で、あえて熊本にボールを握らせ、その後の試合運びでも良さを出させない戦いぶりは素晴らしかった。久々に先発出場した選手もうまくフィットしたことと合わせ、残りの試合に向けて大きな手応えを得たはず。8位以上のチームとの勝点差も詰め、上位に進出するために加速したい。
熊本はこれで7敗目となり、3位福岡との勝点差は10に開いて昇格争いにおいては厳しい状況になったが、高木監督が言うように「チャレンジャーの気持ちで臨んでいくしかない」。奇しくも、岸野監督が前節の結果を受けて語った言葉を借りれば、「ヘタるのか、違う姿を見せられるのか」が、今後の全てのゲームで問われる。だからもう一度、思い出し、ピッチで見せ、感じさせなくてはならないのは、今年のスローガンにもある、上がるんだという「Strong Will」である。
以上
2010.09.24 Reported by 井芹貴志
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