9月23日（木） 2010 J2リーグ戦 第27節
徳島 2 - 3 東京Ｖ　（19:04／鳴門大塚／3,542人）
得点者：5' 高木善朗（東京Ｖ）、40' 高木善朗（東京Ｖ）、65' 高木俊幸（東京Ｖ）、73' 津田知宏（徳島）、76' 津田知宏（徳島）
スカパー！再放送 Ch183 9/24（金）後05:00〜
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確かにホームで意地は見せた。73分に津田知宏が東京V・土屋征夫のミスを見逃さず反撃の1点目を奪うと、その僅か3分後にも再び津田がゴール前のこぼれ球をプッシュして加点。一気にビハインドを1つにまで詰めて同点への期待も大いに感じさせたと言えるだろう。
しかし、前記のように終盤盛り返し、それによってスコアこそ僅差となったが、ゲーム全体の内容はそうでなかったように思われる。悔しくもこの一戦、徳島としてはほぼ完敗に近いものだったと言わざるを得ないのではないだろうか。

まず開始早々先制パンチを浴びた前半についてだが、徳島は幾度となく東京Vに混乱させられた。彼らの早い動き出しと正確かつスピーディーなボール回しに組織守備が振り回されたと言えよう。また、そうした展開から徳島はたびたびバイタルエリアにスペースを作り出され、そこを効果的に使われる。高木善朗に先制弾を決められた時もそうであったが、最もケアしていたはずの場所で多くの仕事をされてしまったのだ。すると、チームは必然の流れとして2失点目を喫することに。40分、そのバイタルエリア付近で許した繋ぎに選手たちが意識を集められると、その隙を突いて右タッチライン際を飛び出した菊岡拓朗に深くえぐられ、最後はまたも高木善朗にネットを揺らされた…。美濃部直彦監督は終了後会見で「相手の方が攻撃のアイデアが多く、技術も高かったなということを感じました」と話したが、徳島としてはまさにそれを正面から突きつけられた45分だったとしか言いようがない。

とは言え、迎えた後半はそのような徳島にもいくらか修正が加わる。指揮官の「相手が上手いのでかわされる場面があるかもしれないが、前にプレッシャーをかけに行ってボールに対して厳しくいくという守備をしっかりやろう」という指示を受けたチームは守りにおけるアタックを強め、東京Vのパスワークに対して前半にはなかった圧力をかけ始めた。そしてその守備の修正は攻撃にも活性を与え始めて、58分にはこのゲームで初めて形らしいサイド攻撃から決定機を生み出した。
が、それでもトップギアにまでは入っていかない。ボールを奪ってもその後のパスにミスが目立つ上、東京Vも繋ぎを分断される回数は増えたもののひとつひとつのプレー精度は継続。そのため徳島は膨らみかけていた勢いを掴み切るには至らなかった。しかも65分にはペ スンジンとGK上野秀章のマズい連携により3点目を献上してしまう。結果論と言ってしまえばそれまでだが、この失点があまりに痛かったのは間違いない。

いずれにしても、戦いの中身としては本当に厳しかったのが徳島の事実だ。自身の2ゴールも当然喜ぶことなく、「前線からの守備も含めて、もっとチームの勝利に貢献できるように頑張ります」と津田は気丈に語ったが、次の戦い・29節（徳島は26日開催の28節試合なし）までに組織としてのかなり大きな立て直しが必要となる。それだけに選手たちには「今我々に必要なのは一戦ずつしっかりと闘うこと（美濃部監督）」という意識をもう一度抱き直しての奮起を求めたい。

対してゲームをコントロールしアウェイでの勝点3を手にした東京Vであるが、これほどの戦いが続けられるなら今後昇格圏への割り込みも決して非現実的な話ではないだろう。この日の得点全てを叩き出した高木兄弟をはじめとして若い力の台頭もハッキリ見て取れるだけに、リーグ終盤戦では大暴れしそうな気配が漂う。「中2日ですぐにゲームがあるので、コンディションを維持してまたしっかりやりたいと思います」と川勝良一監督は冷静な口調で語っていたが、緑の名門はきっとここからの大逆転シナリオを描いているに違いない。

以上

2010.09.24 Reported by 松下英樹