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【J1:第24節 広島 vs 鹿島】プレビュー:広島の誇り=森崎和幸の復帰は、満身創痍の広島にとって最大の朗報。王者鹿島に対し、若い力を最大限にぶつける。(10.09.24)

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9月25日(土)J1 第24節 広島 vs 鹿島(15:00KICK OFF/広島ビチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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森崎和幸が、戻ってくる。
広島の選手たちは、そしてサポーターも心待ちにしていた。「俺たちの誇り」と称されたボランチの復帰を。
例えば、広島独特のフォーメーション。攻撃時にはボランチがストヤノフの側に降りてきて、両ストッパーがワイドに開いて攻撃に出る形。これは、ペトロヴィッチ監督の「後ろから数的優位をつくるサッカー」というコンセプトを森崎和幸が消化し、ストヤノフと共に発想したものだ。
例えば、2008年のJ2時代第1クール。広島は水戸・岐阜と負けに等しい内容で引き分け、甲府には逆転負けを喫するなど厳しい闘いが続いていた。だが、第10節の徳島戦以降、広島は圧倒的な強さを見せつける。その理由の一つは、徳島戦から採用した3-4-2-1のフォーメイションが完璧に機能したこと。そしてもう一つは、その前の試合からグロインペイン症候群から復帰した森崎和が、強いリーダーシップを発揮した効果である。

徳島戦の朝の散歩時、彼は選手たち一人一人に声をかけ、「試合開始の10分間、前に出よう」と提案した。キャプテンの佐藤寿人にも相談し、ミーティングで同じ内容の言葉を語ってもらった。その上で、中盤の底の守備をほぼ一人でやりきり、攻撃好きな広島のタレントたちを前に押し出した。今の広島サッカーのルーツはこの徳島戦にあり、その中心には背番号8が存在したのだ。

ペトロヴィッチ監督は、いつもこんな言葉を吐く。
「カズが特別なプレーをする必要はない。彼の存在そのものが、他の選手たちのいいところを引き出してくれる」
決して、派手な選手ではない。華麗なスルーパスを出すわけでもなく、強烈なミドルを持っているわけでもない。だが、ストヤノフが「日本でベスト3に入るボランチ」と言いきり、青山敏弘が「カズさんがいると安心する」と語るなど、選手間では絶対的な信頼を勝ち取っている。それは森崎和幸の攻守両面にわたる高い能力はもとより、試合の流れを読み、ストーリーを創り上げるサッカー・インテリジェンスがずば抜けているからだ。周囲は、森崎和を信じて走る。自分の力が試合の中で思い切り引き出され、ピッチで躍動することができるエッセンスを、彼が与えてくれるのである。

ただ、昨年も今年も、森崎和は長期にわたる離脱を余儀なくされてしまった。慢性疲労症候群という難病との闘いのためだ。
今年は4月13日のACL山東魯能戦前日から離脱。5月5日の対磐田戦で復帰したものの、結果的には時期尚早だった。病状は悪化し、6月のオーストリアキャンプも参加できない。7月に入り、ようやく別メニューながら練習に復帰できたものの、チーム練習合流を果たしたのは先週のことだった。
9月19日、鳥取との練習試合に45分ながら出場を果たし、実戦復帰に向けての手応えを口にした背番号8。「先発かどうかは試合当日の朝まで考えるが、メンバーには入れる」とペトロヴィッチ監督は彼の復帰を明言した。佐藤寿人をはじめとして4人の負傷離脱者が存在し、さらに複数の主力が体調不良のため明日の出場が微妙な情勢となった。「本来ならカズにもう少し時間を与えたい」というのが指揮官の本音だが、危機的なチーム状況と森崎和の状態の前進ぶりを考えれば、先発の確率は高い。

鹿島にもまた、絶対的なピッチ上の指揮官がいる。小笠原満男である。力強い守備、試合全体を読み切り緩急のリズムを司る能力、決定的な仕事を実行してチームに勝利を導く創造性。昨年、文句なしのMVPに輝いた小笠原は、鹿島はもちろん、Jの宝でもあり、プライドでもある。
その小笠原は、前節の大宮戦では足の負傷のために前半でピッチを後にした。
だが幸いなことに負傷は軽傷。広島戦に向けて練習を重ね、出場に強い意欲を燃やしている。8月は1勝もできなかった王者だが、9月に入って公式戦4勝1敗と、首位名古屋に対して追撃態勢に入った。それだけに、対広島戦で小笠原の健在ぶりを示し、名古屋に強烈な圧力をかけたいところだ。

ほぼベストメンバーで臨んでくる鹿島に対し、広島のメンバー構成は苦しい。だが、森崎和幸という絶対的な広島の「サッカー・ストーリーテラー」が復帰し、李忠成や高柳一誠といった出場機会に飢えた選手たちが王者に向かって鋭い牙を剥く。広島ビッグアーチでの対鹿島戦の戦績(広島の7勝10敗)や鹿島の連続不敗記録を16試合でストップした実績などもあり、広島の若者たちは王者を怖れてはいない。

広島側の主役となる森崎和幸は昨日、報道陣の問いかけに笑顔で応え、しかし言葉は発せずにクラブハウスへと消えた。サッカーの世界に復帰する喜びと、強敵に相対する決意と。「俺たちの誇り」とサポーターに称せされた男は、その二つの想いを表情にみなぎらせていた。

以上

2010.09.24 Reported by 中野和也
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