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【J2:第26節 甲府 vs 熊本】レポート:勝ちきれない甲府は引き分けキングの座を死守。熊本は活力に繋がる勝点1を集中力でもぎ取る。(10.09.20)

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9月19日(日) 2010 J2リーグ戦 第26節
甲府 3 - 3 熊本 (16:03/小瀬/12,750人)
得点者:33' 筑城和人(熊本)、35' パウリーニョ(甲府)、38' 秋本倫孝(甲府)、39' 宇留野純(熊本)、61' パウリーニョ(甲府)、77' ファビオ(熊本)
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ドラゴンボールを5つくらい集めた気分になっていたが何個か偽物を持っているのかもしれない。これで8月、9月の2ヶ月間ホーム小瀬で勝利無し(リーグ戦)となってしまった。これが週に6試合もやるプロ野球なら5位とゲーム差15の6位の勢いだが、この間のホームゲームは3試合で、まったく負けていない引き分けキングなだけの2位。2ヶ月間ホームで勝ちなしという表現はオーバーだし、4位・千葉との勝点差が8ポイントあるのでJ2優勝と2位を放棄すれば――あと何節持つかは分からないが――楽天的に振舞うことは出来る。でも、現実が見えないフリは出来ない。

前半のキックオフからの甲府は久しぶりに素晴らしく良かった。サイドを使って攻撃を組み立てていたし、ボールを失っても切り替えて奪いに行けていた。サッカーが前後半20分のゲームなら問題なかった。この日は次節アウェイで対戦する富山から3人のスカウティングが来ていたのだが、その3人が安間貴義コーチと舩津徹也と吉井直人の2選手。選手を連れてスカウティングに来るなんて画期的で意欲的。順位はともかくこれが今の富山のモチベーションと雰囲気なんだろう。そして、案の定、彼らは座る場所を間違えて記者席に座っていて、運良く目の前だった。メインスタンドの逆に関係者用の席があることは教えなかった。隣ではないが、向こう正面に解説の安間親方が座ったも同然だからだ。

甲府は、前節コンディションが良くなかった養父雄仁の復調がいい流れに繋がった。直接狙った27分のペナルティエリアすぐ外のFKはYABU2号(2本目のシュート)となって宇宙に飛んでいったが、養父、藤田健、秋本倫孝の中盤の3枚が揃って動いているうちは主導権を取ることが出来るし、他の選手も動く。解説の安間親方は、「養父の柔らかいFKのボールはヘッドで勝っても遠くに跳ね返せないから(セカンドボールを拾われる)嫌なボール」と評価。そのうちハーフナー マイクが決めるだろうという流れだった。しかし、32分にカウンターからサイドバックの筑城和人に決められてしまう。「甲府の27番(柏好文)は戻りながら守備をするのが苦手だと感じていた。ギャップでボールを受ければ裏に抜けられると思っていた」と、読み通りのカウンターだった。甲府の問題はこのときの守備の意思統一が出来ていたのかどうかという点。試合後、柏は「サイドバックが出てくるとサイドハーフが(マークに)付くコンセプト」と話したが、同サイドのサイドバック・吉田豊は柏がマークするべきだと思っていたように見えた。4-3-3の甲府のどこにサイドハーフがいるのか知らないが、主導権を取りながらもこうやって失点する原因は早く摘み取らないと口内炎や胃潰瘍が山梨の風土病になってしまう。柏は攻撃では運動量も多く、果敢に仕掛けており全体としては良かった。しかし、逆サイドのパウリーニョも同じで、こういう部分を明確に出来ないのは選手個人の問題ではなくチームの問題なのだ。

2分後に甲府は追いつき、38分にはCKから秋本がマークを受けならがらもそう長くはない右足を伸ばして素晴らしい逆転ゴールを決める。この時点では、「どうだい熊本君。甲府は強いだろう」なんて気分になっていたが、シュートシーンをメモしているうちに宇留野純に同点ゴールを決められてしまった。記者席も隙だらけだったが、ピッチも隙だらけ。後半は精度が低いのか、タイミングが合っていないのか、熊本のGK・南雄太にキャッチされるクロスが多い甲府だったが、解説の安間親方は「これだけクロスが上がれば、相手のディフェンスラインは下がる。そうなるとハーフナー マイクの登場になる」と期待を持てる話をしてくれた。すると、数分後にマイクが引き倒されて甲府にPKが転がり込んだ。それをパウリーニョが決めて、再び勝った気になった。

熊本はユニフォームの両袖が邪魔で仕方がないFW・ファビオを2分後に投入。2分後には山本英臣を背負ってボールを受けると身体を入れ替えてシュート。今節から先発に復帰した荻晃太がキャッチするが、一発で入れ替わられてしまった山本のコンディションが心配になった。そして、更に2分後、甲府の左サイドに流れてきたボールを内山俊彦が追うが、スピードスターの宇留野が猛然と追いかけてマイボールにする。そして、これが起点となってファビオが同点ゴールを決めてしまう。甲府の選手は何人かが足が止まっていたが、内山も残り20分になってガス欠気味だった。これも内山だけの問題ではない。マスコミは担当チームが思ったように勝てないときはその理由を1ダースでも2ダースでも思いつくことが出来るが、共通するのは「足が止まる」という点だろう。養父は「急には変える事が出来ない問題だから、今シーズンはそれに付き合っていくしかない。集中している時は崩されていないのだから、心の問題。リーダーシップでは(山本)英臣さんに頼りきっているから一人ひとりが代わる必要がある」と現実的な答えをくれる。2位という現実に自信を持って富山、岡山にアウェイで挑んでいくしかない。

熊本は主導権がない時間が長かったにも関わらず、前半はシュート3本で2ゴールと集中力で勝ち点1をもぎ取った。引き分け試合はMVPを決めるのが難しいが、この試合は宇留野だろう。昇格圏に入るにはこうやって2位のチームから勝点1をもぎ取ってチームの活力を右肩上がりにしていくことが重要になるだろう。だから勝っても負けても、引き分けても次の試合が大事になる。これは甲府も同じだ。

以上

2010.09.20 Reported by 松尾潤
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