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【J1:第23節 広島 vs 神戸】レポート:李忠成、広島移籍後初のリーグ戦ゴールは執念の同点弾。新監督に率いられた神戸の堅守に苦しみつつも、勝点1を得る。(10.09.19)

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9月18日(土) 2010 J1リーグ戦 第23節
広島 1 - 1 神戸 (13:04/広島ビ/11,979人)
得点者:45'+2 ポポ(神戸)、76' 李忠成(広島)
スカパー!再放送 Ch183 9/20(月)後05:00〜
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緊急事態が広島を襲った。右足を傷めた中島浩司に続き、山崎雅人も左膝を負傷。前節のC大阪戦で左足ハムストリングス筋のケガを負ったミキッチに続き、1週間で3人もの選手が戦線を離脱してしまったのだ。
この緊急事態にペトロヴィッチ監督は、試合当日の朝になって左ふくらはぎ痛からチーム練習に参加したばかりの山岸智に先発を要請。さらに李忠成にもまた、試合当日の10時に先発を伝えた。
9月5日、天皇杯の対島根戦、李は先発出場しながら地域リーグのチームを相手に苦闘。李は45分で交代、ナビスコカップ・G大阪戦では遠征メンバーからも外された。そんな彼個人にとって、佐藤寿人・山崎雅人という2人のストライカーの負傷離脱という「チームの危機」は、信頼回復だけでなく、広島移籍後最大のチャンスと言えた。
和田昌裕新監督が就任した神戸は、2トップを茂木弘人と吉田孝行、両サイドバックに石櫃洋祐と小林久晃、最近は前線で起用されていたボッティをボランチに下げるなど、ここ数試合とは布陣を変更。当然、どういうスタイルで試合に臨んでくるのか、広島側に情報は乏しい。だが李にとっての問題は神戸ではなく、自分自身がどう闘うかにあった。
キックオフから7分後、オーバーラップした森脇良太から、最高のクロスがあがった。マークについた北本久仁衛よりも早く、そして高く李忠成は飛ぶ。タイミングもピタリだ。
だが、シュートは枠の外。ピッチを叩いて、「決めなきゃいけないだろ」と自分を責める背番号9。その時、「イ・チュンソン!イ・チュンソン!」。サポーターの背中を支える声に助けられ、彼は身体を起こした。
29分、今度は高萩洋次郎のスルーパスに飛び出す。右サイド、フリーだ。李のマークは北本。1対1。またいで、かわして、シュート。だが北本のブロックに阻まれ、ゴールできない。
前半、神戸の守備は動きが固く、引いて守っているのに、広島にスペースを与えていた。そのため広島は試合を支配できたのだが、それでも得点できない。イヤな雰囲気が、31度を超える酷暑に包まれた広島ビッグアーチに漂った。
そろそろ前半終了かと思われた時、1本の縦パスがボッティの足下に入る。青山敏弘がプレスをかけるも、ボッティが必死に粘る。「ここでボールをとりきれなかったことが、試合を難しくしてしまった」と青山が振り返ったこのシーン。ボッティのパスが茂木につながり、ストヤノフのファウル、ポポの先制FKへとつながった。神戸先制。しかもキャプテン・森崎浩司が「熱疲労」(熱中症の一種で、熱射病の一歩手前の状態)に陥り、前半でプレー続行が不可能となった。広島、絶体絶命。
だが、後半から出場した高柳一誠が強いフィジカルを活かしたプレーを見せ、大崎淳矢が鋭い突破を見せて、広島は再び攻勢を強める。ただ神戸も守備を修正、人へのプレスを強め、決定機を創らせない。
76分、左サイドで高萩がキープ。中央に槙野智章、その向こう側に李が構えた。クロス。槙野が合わせる。この瞬間、神戸守備陣のマークが李から離れた。
「絶対に決める」
ヘッド、というよりも顔で合わせんがごとく、最後までボールを見据えたシュートは、ネットを豪快にゆさぶった。
李忠成、広島移籍後初のリーグ戦初ゴール。1年以上も待ち続けたサポーターは「イ・チュンソン」の大合唱。李はその声援に投げキッスで応えた。
ただ、この同点弾以降、消耗した広島の切り替えが遅くなり、カウンターから決定機が3度、神戸に訪れた。だがそのチャンスを神戸がモノにできなかったことは、広島にとっての「幸運」(ペトロヴィッチ監督)。試合は引き分けに終わった。

厳しい残留争いの中にいる神戸にとって、もちろん勝点3がベスト。だが新監督就任1試合目、アウェイ、酷暑という条件を考えれば、「1ポイントはポジティブ」(和田監督)。降格圏脱出を果たしたといっても、まだまだ楽観視はできないが、「攻守にわたって良くなった」というポポの実感を全員が共有できれば、残留への道筋は俄然明るくなる。
この1ポイントは、ボロボロの状態だった広島にとっても貴重だ。「34ポイントを獲得し、ナビスコカップでも勝ち残り、若手も成長。この状況では、信じがたい成果だ」とペトロヴィッチ監督も手応えを口にした。幸い、中島・山崎のケガは軽傷、森崎浩も大事には至らなかった。近いうちには森崎和幸とミキッチの復帰も見込める。
「寿人さんが、山崎さんがいないから、勝てないなんて、絶対に言わせたくない」
試合後の李忠成は、熱く宣言した。結果が出せず、苦しみを抱えている時の表情とはまさに別人。「1点」を特効薬に李忠成というストライカーが覚醒し、厳しくなったACL出場権獲得へ奇跡を起こすか。そんな希望を感じさせる広島の暑い、いや熱い1日だった。

以上

2010.09.19 Reported by 中野和也
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