9月18日(土) 2010 J1リーグ戦 第23節
磐田 2 - 1 F東京 (14:03/ヤマハ/11,056人)
得点者:18' ジウシーニョ(磐田)、34' 前田遼一(磐田)、60' 石川直宏(F東京)
スカパー!再放送 Ch183 9/20(月)前05:00〜
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自分たちの戦い方を辛抱強く貫いてきたことによって、ここにきてかなり成果が見えてきた磐田。一方、今の悪い流れを何とか打開するために、思いきってシステムを変えて臨んだF東京。少なくともこの試合に関しては、F東京の賭けよりも磐田の継続のほうが、明らかに吉と出ていた。
F東京の新システムは4-3-3。森重真人をアンカーに置き、4-1-2-3と並ぶ形だ。前節で初挑戦し、ケガ人が出たこともあって途中で4-4-2に戻したが、1週間の準備を経て再びトライしてきた。
磐田のほうは、今季初めてキャプテンの那須大亮(出場停止)を欠くゲームだったが、その代役を山本康裕が務め、前節で山本康が担当した左MFには船谷圭祐が入った。
立ち上がりは、アウェーのF東京も攻めの姿勢を見せたが、お互いに多少慎重な面もあり、比較的静かなスタート。F東京は、少しリトリートして守備の体制を整え、コンパクトに守れているときはあまり磐田にチャンスを与えることもなかった。「0-0の状況でチャンスがあったら点を取りに行くということで、どのタイミングでシステムの優位性を生かすスイッチを入れるのか」(城福監督)という意識で、できるだけ無失点の時間を長くしながら、勝負をかけにいくチャンスをうかがうゲームプランだった。
しかし、「気が急いでしまって早めに前に5人が押し出してしまい、後ろの5人と前の5人がはっきりしてしまっていた」(城福監督)というのが計算外の部分であり、指揮官がもっとも恐れていた問題でもあった。城福監督が「5-0-5」と表現したような2ラインになってしまう現象は、このシステムをやり始めたばかりのチームには非常に起こりやすいからだ。
そのため、少しでも悪い形でボールを失うと、中盤には大きなスペースが空き、磐田のカウンターを易々と受けてしまうというシーンが徐々に目立ち始めていた。そして18分、ロングキックのセカンドボールを拾った上田康太が、DFラインの裏に絶妙なフィードを送ると、船谷が左サイドに飛び出し、ライン際からクロス。それをファーサイドに走り込んだジウシーニョがダイレクトに押しこみ、F東京にはゲームプランが大きく崩れる、しかし磐田にとっては非常に大きな先制点が、予想よりも早い時間に決まった。
船谷とジウシーニョのランニングやキックの精度も素晴らしかったが、F東京が相手にスペースを与え、後手後手になって個の対応が甘くなっていたことも否めなかった。その現象は、2点目にも大きく影響し、34分には磐田のエース・前田遼一が2点目をゲット。中盤の甘い守備の中で磐田がパスをつなぎ、前田がスルーした縦パスを高い位置に上がっていた駒野友一がワンタッチでリターンすると、前田がドリブルで1人かわして左足で精度の高いシュートをゴール左に蹴り込んだ。
7/25以降のゲームで一度も2点目が取れていないF東京にとっては、この前半の2失点は非常に重くのしかかった。攻撃のほうでは、3トップの距離が離れて大黒が孤立し、彼にクサビが入ってもほとんどつぶされ、前線で起点が作れない状況。前での流動的かつ活発な動きも乏しく、なかなか攻めの糸口を見出せない状況が続いていた。
そこにセンターバックのキム・ヨングンが腰を痛めたことも重なり、その交代(41分)と同時に城福監督は4-3-3をあきらめて、従来の4-4-2に戻して反撃に出ていく。後半に入ると、バランスを回復したF東京のサイド攻撃に鋭さが出始め、チャンスの数を増やしていった。
しかし、今度は磐田の粘り強い守りが壁となって立ちはだかる。ゴール前で危険なシーンを作られても、磐田の選手たちはつねに身体を相手とゴールの間に投げ出し、F東京に自由にシュートを打たせなかった。F東京のシュート数が90分で10本(後半は4本)と少なかったのも、F東京がチャンスを作れなかったからではなく、磐田の選手たちがつねに身体を張ってシュートブロックに入っていたからだ(至近距離でブロックされると公式記録ではシュートとしてカウントされない)。
そのため、F東京が良い形でシュートを打つことができたのは、後半は2回だけ。そのうち15分の石川直宏が放った左足ミドルシュートは、ドライブがかかって曲がり落ち、豪快にゴールネットを揺らした。苦しい展開の中で何とか一矢報いた一発は、昨年のチーム内得点王であった石川にとって、待ちに待った今季初ゴール。チームにとっても、今後の希望になる1点だった。
しかし、もう1本の良い形であった26分の森重のシュートは、無情にも左ポストに当たってゴールならず。今回もF東京は2点目を取ることができなかった。ただ、新システムに関しては、初期段階で起こりがちな問題が出たという理由だけで、すぐに見切りをつけるのは早計かもしれない。
磐田のほうも、守るだけでなく後半もパスをつないで自分たちの時間を作り、F東京以上に多くの決定機を作ったが、3点目を決めきれなかったのは課題となる。しかし、那須がいなくても終盤まで落ち着いてゲームをコントロールできたことは大きな収穫であり、今回も最後は1点差を危なげなく守りきって今季2回目の2連勝。ホームでは公式戦5連勝で、勝点を30に伸ばした。
もちろん、本当なら3点目を取らなければいけないゲームだったが、船谷、上田、山本康らのユース出身者がこれまで以上に身体を張ったプレーを見せて、那須の不在をしっかりと補ったこと。前田とジウシーニョの2トップや日本代表の駒野が調子を上げてきたこと。そして古賀正紘とイ・ガンジンのセンターバックがさらに安定感を増してきたことなど、プラス要素は盛りだくさん。残留争いを気にするよりも、上位を追撃するムードが色濃く出てきたという意味でも、サポーターにとって本当にうれしい1勝となった。
以上
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