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【J2日記】熊本:U−15、デベロップカップ準Vの背景にあるもの(後編)(10.09.13)

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(C)井芹貴志

アカデミーダイレクターの永尾健次氏。今後のアカデミーのあり方や、観客数を増やすことにつながる普及の方法についても思いを巡らせている

(C)井芹貴志

各年代に分かれてのトレーニングだが、コーチ陣は担当外の年代のトレーニングにも目を配る

前編はこちらから!

「ウチのサッカーはよく“遅い”とか“ボールを動かしている時間が長い”と言われることがあるんですけど、それは“観るトレーニング”をしているという意味もあるからなんです。ゲームをやる時は、相手のシステムと自分たちのシステムがあって、どこにスペースができてフリーになれるのか、ある程度の公式みたいなものがある。ここの部分に中学の3年間でじっくり時間をかけ、それができるようになってからスピードを上げる」。

今ボールがどこにあるのか、相手のポジショニングがどうなっているのか、どうボールを動かせばスペースができるのか…、観察することによってそういった情報をより多く集め、的確な判断につなげる。味方が考えたり動き直したりする時間を作る必要があるからこそ、ボールを「握る」(永尾健次アカデミーダイレクター)ことが大事になる。「何かを考えて判断するには、それに必要な情報を持たないといけない。それをピッチでプレーとして表現するには、技術を身につけざるを得ない」。それが結果として、「熊本からはなかなかボールが取れない」という評価を生んでいるのだろう。

的確な判断をするために、精度の高い情報をより多く集める訓練を積むこと。それはサッカーを離れた部分でも生かされるし、当然プレーヤーとしてレベルアップしていくことにつながる。とは言え、ユース所属の全選手がプロ選手としてトップチームと契約できるわけでもない。それでも、「そうやってフットボールの愉しみを知っている選手を増やしていくことも、Jクラブの影響力を発揮することだし、使命のひとつ」と永尾氏は言う。この春行なわれたセレクションの後で、選考に漏れた選手も含めた練習会を実施したのも、そうした思いがあるからだ。

アカデミーのスタッフにも同様の視点を求める。モチベーションを喚起するためには、子供達の性格を把握し、的確なタイミングで適切な言葉をかけるなど、やはり情報収集と正しい判断が欠かせない。加えて、「奥行きをもって考える」ことも必要。例えば県内各地で行なうサッカー教室等で接する子供達を、将来のお客さんとしてイメージできるかどうか。「彼らが大人になって起業して、スポンサーになってくださいとお願いしに行くことがあるかもしれない。その時に、“子供の頃に参加したサッカー教室で嫌な思いをしたから協力しません”って言われたら、やっぱり責任があるじゃないですか」と永尾氏は笑う。さらに、子供達にとって魅力ある人物、永尾氏曰く「エエ男」であること、サッカーだけでなく、1人の大人として中高生や子供達の人生に関われるかどうかも、育成のコーチとしては軽視できない要素だと言う。

クラブのためという限られた範囲でなく、地域のために汗を流し、ロアッソ熊本というキーワードを使って、サッカーをやっている子達や熊本県のサッカー界、ひいては熊本県全体をどう良くしていくか。「そうした大きな枠組みがないと、現場で子供達に接することも無駄になってしまいかねない。それがJリーグチームとしての存在意義だし、そこで働く意義だと思います」。

県民に元気を、子供達に夢を、熊本に活力を——。クラブ誕生の根底にあるその理念は、しっかりと根を下ろしつつある。水をやり栄養を与え、見守り、大きく育てて行くことは、その周辺で夢や希望や、元気をもらっている私達の役割でもある。

以上

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2010.09.13 Reported by 井芹貴志
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