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【J2:第25節 熊本 vs 水戸】レポート:狙い通りに試合を運んだ水戸を崩しきれず、勝ちきれなかった熊本。勝点1を加えたものの、6位に後退。(10.09.13)

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9月12日(日) 2010 J2リーグ戦 第25節
熊本 0 - 0 水戸 (16:03/熊本/5,607人)
スカパー!再放送 Ch182 9/13(月)後05:30〜
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 試合終了の笛が鳴ると、熊本の選手達は敗れたわけでもないのにバタバタと芝の上に膝をついた。つまりはそれだけ、勝たねばならない内容だったと自覚していたということだろう。公式記録を見ると熊本が12本、水戸が9本とシュート数に大きな差はないものの、終止押し気味に試合を進めていたのは明らかに熊本。この結果、勝点で並んだが得失点差で徳島に抜かれて6位となった。
 試合後の会見で木山隆之監督も話しているが、水戸は序盤から守備に重点を置き、サイドのスピードを生かしたカウンターを狙う戦い方を徹底。だが、「ここ数試合出ずっぱりで疲れがあったかもしれない」(木山監督)という小池純輝と島田祐輝のプレーにはなかなか輝きが見られず、また古巣との対戦で6試合ぶりの先発出場となった中山悟志には熊本の福王忠世と矢野大輔が身体を寄せ、うまくボールを収めさせなかったことで、立ち上りから熊本がボールを支配して主導権を握った。
 水戸戦にあたって焦点だったのは、ブロックを作った守備をいかに崩すかという点。これについては、「相手が4-1-4-1という形なので、アンカーの間をうまく通していくということと、サイドからのクロスも当然必要なので、そういうシーンが多かった」と高木琢也監督も話している通り、中央、サイドを使い分ける攻撃を展開。しかしながら、「簡単にボールを受けて前を向ける」(松橋章太)という、いささか予想外とも言える水戸のアプローチの緩さが影響したのか、攻撃時のサポートの動きや距離感が悪く、時にボールホルダーが1人よがりなプレーに走ってしまう場面も見られ、幾度か迎えたチャンスも決められずに折り返した。

 後半、熊本はそうした前半の距離感の悪さを修正。特に、平木良樹が中央のエリアでFWの2人と近いポジションを取り始めて積極的にボールに絡んだことで、熊本は水戸のDFラインにギャップを生じさせる前線での細かいパス交換からチャンスを量産。65分以降、高木監督が疲れの見え始めた堤俊輔に替えて片山奨典、さらにカレンに替えて西弘則を投入すると、片山のオーバーラップからのクロス、西のドリブルでの仕掛けと、前半にはなかったオプションも増えたが、水戸のGK本間幸司のセーブに阻まれるなど得点には至らない。
 逆に、「ある程度守備をしっかりして入って、相手が焦れた時に自分たちの流れに持って行ければいい」(木山監督)という流れを目論んでいた水戸は、押し込まれる時間が長くなることで、守備の集中が増して行ったと見ることができる。攻撃でも、中山に代わって入った常盤聡が左右に流れてスペースを作れば大橋正博と遠藤敬佑が飛び出し、前半はあまりチャンスに絡めなかった島田も左サイドで特徴を出し始めるなど、シンプルにタテを狙うカウンターで応戦した。
 熊本は藤田俊哉、水戸は片山真人と、いずれも85分に最後のカードを切って遅い先制点を狙いに出たが、お互いに中盤でのミスが目立つという雑な展開。それでも87分には藤田、西が絡んだ左右の揺さぶりから最後は松橋、ロスタイムに入った90+2分には再び松橋から西、そして90+4分には20m前後の距離で得た平木のFKと、次第に大きくなるスタンドの声援を受けた熊本が押し込んだが決められず。冒頭のシーンを迎えたわけである。
「粘り強くやれたのは次につながると思う」と大和田真史が言うように、90分間を通じて押し込まれていたことを考えれば、無失点に抑えた水戸にとっては価値ある1ポイントだと言える。ただ、「しっかりボールを握ってウチの時間帯を長くしていかないと、こういうゲームばかりだと苦しくなっていく」(本間)のも確か。「全員で守ることは今できているので、今度は全員で攻撃できるように」(大和田)するのが課題だ。
 熊本も勝点1を加えたが、内容的にはやはり3ポイント取らなければいけなかった試合。数多くのチャンスを作りながらゴールを奪えなかった以上、フィニッシュの精度に問題があったと言わざるを得ないが、気になるのは「攻撃のスイッチをどこで入れるか、共有できなかったかなと思う」というカレンの言葉である。
「水戸戦に対して狙いとするシーンもたくさん出してくれた」と高木監督が話した通り、長身のCBが揃った水戸のDFに対し、早い段階でクロスを入れたり、あるいは中央にクサビを打ち込み、テンポ良く動かしてズラしたりといった使い分けも含め、トレーニングで取り組んだ攻撃面の工夫は表現できた。ただ一方で、持っていいところで急ぎ、急ぐべきところで持つといった場面もあって、それらの判断が状況に応じた選択だったかについては、一考の余地がある。シーズンの2/3を終え残りは12試合となったが、そうした部分を改善する時間は、まだ十分あるはずだ。

以上

2010.09.13 Reported by 井芹貴志
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