9月12日(日) 2010 J2リーグ戦 第25節
鳥栖 1 - 2 甲府 (16:03/ベアスタ/12,301人)
得点者:81' 山瀬幸宏(鳥栖)、84' 山本英臣(甲府)、87' 松橋優(甲府)
スカパー!再放送 Ch185 9/13(月)後02:30〜
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「得意とする形を持っているチームは、相手がどう防ごうと愚直に繰り返せばチャンスは何回か訪れる」
「どんなに完璧に近い形で相手を抑えても、どこかで危ないシーンは訪れる」
それらの事が、試合終了残り10間の間に現実に起こったのが、第25節鳥栖対甲府の一戦である。
この日の鳥栖は、“甲府の攻撃の形”を見事に押さえ込んでいた。
高さのあるFWハーフナーマイクに入ってくるボールを簡単に処理させず、こぼれたボールはDFとボランチで拾い続けた。甲府も、“自分たちの形”にこだわり、長いボールでハーフナーマイクに合わせ続けていた。
しかし、90分間という試合時間は、確実に選手たちの走力を奪っていく。それに、72分に退場者を出して数的不利な状態に陥ったことが輪をかけた。
そんな逆境の中で、81分に鳥栖が先制点をあげた。MF下地奨からのパスを受けた山瀬幸宏が、左足でゴール隅に決めた見事なゴールだった。
鳥栖が好調時であれば、このゴールはチームに勢いを与え、勝点3を上積みできていただろう。数的不利な状態とはいえ、残り10分間を気力と集中力で守りきることもできただろう。しかし、今の鳥栖にはこの先制点を守りきる力は持っていなかった。
“甲府の攻撃の形”を押さえ込んでいた時間が長かったことで、チーム全体の体力はかなり消耗していた。甲府のボール回しに、FW豊田陽平と中盤との距離も次第に開いていき、奪ったボールを有効に攻撃に生かすことができなくなっていた。言い換えると、「狙い通りに守備はできた」(松本監督/鳥栖)のだが、“狙い通りの攻撃”は、単発でしか行えなかったことになる。
最後まで手を焼いた甲府も、早い時間で手を打ってきた。
53分にトップ下の位置にMF石原克哉を入れて、攻撃の起点を増やしてきた。MF藤田健と秋本倫孝が鳥栖の豊田陽平に入れたボールの処理に追われる時間が長くなり、3トップを有効に使うことができなかったからである。
この交代から、藤田健が本来の高い位置でプレーできるようになり、FWパウリーニョや柏好文が鳥栖のゴール前に姿を現す時間が増えてきていた。
とはいえ、81分に先制ゴールを奪われているのだから、残り10分間で2点を返さないと、昇格圏内の足場固めはできない。84分には、DF内山俊彦に代えてFW小池悠貴を入れて、ハーフナーマイクとの2トップを組ませた。
そしてその84分に、左サイドからのクロスに競ったハーフナーマイクがPKを得て同点となった。
こうなると、数的有利な状態に加え、追いついた方には勢いが付く。石原克哉の運動量も鳥栖にはボディブローのように利いていた。
87分には途中交代で入ったFW松橋優が、逆転弾となるシュートを右足で蹴り込んで試合を決めた。
「プラン通りに試合を運べることができた。選手は良く頑張ってくれた」と松本監督は試合後に振り返った。ここ数試合で見せていた怒りの会見ではなく、冷静に振り返って語ってくれた。敗れはしたが、現状の中で何かをおそらくつかんだのだろう。
それは、今季の残り試合に対してのものか、来季に向けてのものかはわからないが、「プラン通り」(松本監督/鳥栖)というフレーズは、敗者の将が使う言葉にはふさわしくはないが、あえてこの場で使用したことに期待を残したい。
次節は、累積警告と退場者の関係で大変な試合になることは間違いないが、「プラン通り」の試合運びで、忘れかけている“勝利”を味合わせて欲しいものだ。
甲府もけが人が多い中での戦いで最後まで良く頑張っていた。これが、昇格を争うチームの姿勢であり、この試合で得た勝点3は、今季の終了時点で大きな意味を持っているだろう。
試合の流れを見て53分に石原克哉を入れた内田一夫監督の決断は、試合を振り返るとこの試合のターニングポイントになっていたことに気づく。この英断が、終盤の逆転劇につながったと思う。この交代が、あと数分遅れていたら、結果は違ったものになっていたかもしれない。
これが、昇格争いをしているチームの実力なのだろう。
サッカーの試合で流れを変えるシーンはいくつかある。
選手は、球際に強く行くことで優位さを得ることができる。攻守の切り替えを素早く行うことで、相手のペースを乱すこともできる。それを90分間のうちにどれくらい行うことができるのか、日頃からの練習の質が問われるところである。
あと、もうひとつは、監督が行う選手交代である。
是非とも、今節の鳥栖対甲府の公式記録を見ながら試合を振り返っていただきたい。
選手交代と得点、警告・退場と選手の運動量、試合経過とシュートなどの相関的なサッカーの面白さを見ることができるからである。
サッカーは、ただボールを蹴って、ただボールを追いかけるだけのスポーツではない。そのプレーを引き起こした要因を探すことでも、十分に楽しめるスポーツである。
サッカーは、多くの構成要素を持ったスポーツである。そして、深いスポーツでもある。
以上
2010.09.13 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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