9月11日（土） 2010 J1リーグ戦 第22節
鹿島 1 - 0 仙台　（19:04／カシマ／16,869人）
得点者：40' 中田浩二（鹿島）
スカパー！再放送 Ch181 9/13（月）前07:00〜
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ともに水曜にナビスコ杯第2戦を戦ったチーム同士の対戦は、鹿島が仙台を1-0で下し、6試合ぶりの勝利をあげた。王手をかけたまま足踏みしていたJ1初の通算350勝もようやく達成。順位も3位にあげたが、表情に達成感を見せる選手は誰もいなかった。

ともにナビスコ杯敗退のショックを払拭する戦いでもあった。特に鹿島は2年連続で川崎Fの前に準々決勝で敗れるという痛手を負い、さらに退場処分を受けた小笠原満男を欠く布陣で臨まなければいけなかった。しかし、この状況で、ひとり、闘志を燃え上がらせる選手がいた。決勝点をあげることになる中田浩二だ。

今季は、序盤から好調を維持し完全復活を印象づけていた。しかし、左足首を痛めたことでC大阪と浦和の試合を欠場。無理をせず、厳しい戦いが予想されるナビスコ杯第2戦に照準を合わせて調整を続けることとなった。その直前の天皇杯2回戦が調整を兼ねた試合となるところまでは、予定どおりだったと言えるだろう。しかし、その天皇杯の試合で、3日後に控える天皇杯のために途中交代を命じられたのは青木剛。中田は「なぜ？」と手を横に広げるしかなかった。

ただ、その期間の青木のパフォーマンスもまた特筆すべきものだったことは事実。昨年途中までオリヴェイラサッカーの申し子とも言える激しいプレーで中盤を支えていた。一時期、精彩を欠いた時期があったが、青木もまた復活を遂げていた。前からボールを奪いにいくことを志向するオリヴェイラ監督には、その姿がまぶしく映っていたに違いない。

激しいポジション争いとプライドのぶつかり合いを背景にあったが、試合となれば話は別。青木とコンビを組んだ中田は、試合前日から「前に出る」ことを示唆していた。
「試合を見ていると青木が後ろでさばこうとする場面が多い。だから俺が前に出た方がいいと思う」
試合は実際にその通りの展開となった。自陣に引く仙台を相手に、中田はFWの位置まで飛び出すプレーを何度となく見せた。
「青木の特長を考えて俺が前に行こうと思った。二人とも後ろにいると攻撃は停滞するし、満男と組んでるときはあり得ないけどパートナーを考えてプレーした」

その積極的な姿勢が得点感覚を研ぎ澄ませたのかもしれない。攻めあぐねたまま前半を終えるのかと思われた40分、左CKをニアサイドに飛び込んだ興梠慎三がすらしてボールを流す。ゴール前を横切ったとことに反応したのは中田。倒れながら左足をボレーで合わせ、ゴールに蹴り込んだ。まさに意地の一撃といえる得点だった。

このゴールで肩の荷が下りた鹿島だったが、攻め急ぐ場面が多く、互いに攻めある忙しいサッカーを展開する。前半は1本に抑えていた仙台に、後半は8本ものシュートを見舞われるというらしくないゲーム展開を見せてしまった。
そのため、試合後の選手たちの表情に晴れやかな笑顔はなく、喜びも半減しているような様子だった。

だが、まったく勝てなかった8月も終わり、9月に入ってからは公式戦3勝1敗とようやく息を吹き返してきた。決勝ゴールをあげた中田は、「うちが勝てば名古屋にプレッシャーを与えられる」と、このまま勝ち続けていく重要性を説いた。それに加え、次戦からはまた、激しいレギュラー争いが待っている。息をついている暇はない。

仙台は16分に中原貴之がGKと1対1の決定機を迎えていただけに、そこをものにできなかったことで、試合を苦しくしてしまった。攻撃の選手に怪我人が続出する中で、やりくりしなければいけない厳しい状況に変わりはない。だが、次戦は絶対に負けられない陸奥ダービー。
「1回リフレッシュして陸奥ダービーから切り替えていきたいと思います」
手倉森誠監督は、次戦を契機することを誓いスタジアムを後にした。

以上

2010.09.12 Reported by 田中滋