スカパー！生中継 Ch183 後03:50〜
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勝利で得られる勝点は“３”。上位との差を縮めるためには、直接対決で“勝利”を収めるしかない。残り試合がシーズン１／３となる中で、昇格のためには確実に勝点３を勝ち取っていくしかない。第２４節を終了した時点で、２位の甲府と９位の鳥栖の勝点差は１３。甲府が５連敗して、鳥栖が５連勝すれば追い抜く計算となる。この勝点差をどう見るかは、互いの立場により変わるだろうが、ここまで差が開いた経緯は無視できない。
第５節の甲府対鳥栖（４月４日小瀬）の試合は、０−２で鳥栖が勝利した。この時点での勝点差は鳥栖が“３”上回り、悲願の昇格のために上々のシーズン序盤となった。しかし、その後に残した互いの戦績が、現在の順位になる原因なのである。第６節から甲府は１２勝６分１敗で、鳥栖は６勝８分４敗と勝利数に大きな違いを見せる。第５節での敗戦が甲府に何かの弾みを与え、その後の進撃につながったとすれば、今節の勝敗が鳥栖に止め（とどめ）となるか、ラストスパートの合図になるのか、深い意味を持つ一戦となりそうだ。現在、鳥栖は５戦連続の引き分けと“勝ち切れず負けず”に済んでいる試合が続いている。甲府も３試合連続引き分け中と、終盤への弾みをつけきれずにいる。互いにスッキリと勝ちを収めて、鳥栖は追い上げの、甲府は３位以内の足場固めとしたい。
ポイントとなりそうなのは、ＦＷを中心とした攻撃の“形”にありそうだ。鳥栖は、ワールドカップ中断以降（第１８節〜）システムを４−２−３−１に変えてゴールへの起点を増えるように試みている。しかし、ＦＷの得点は第１８節（対徳島・鳴門大塚）の萬代宏樹までさかのぼる。ＭＦ藤田直之がトップ下でプレーをして２得点をあげているが、その他の得点も山瀬幸宏と早坂良太のＭＦによるものだ。中盤の攻撃参加で得点をあげてはいるが、その分のリスクも背負っているわけで、第１８節以降は５得点６失点と失点も多い。できるだけ、相手ゴールに近い位置にいるＦＷにフィニッシュの機会を求めたい。ここは、直近の勝利（第１７節栃木戦・ベアスタ）でゴールをあげたＦＷ豊田陽平や池田圭に期待したい。
対する甲府は、チーム総得点の１／３をあげているＦＷハーフナー・マイクにボールを集める形ができている。特に第１８節以降の７試合で７ゴールと好調さを見せている。昨季は鳥栖に在籍したハーフナー・マイクだが、昨年と大きな違いは、守備への負担が軽減したことではないだろうか。前線からの守備は行いつつも、味方が奪ったボールを少ないタッチでゴールへ向かう姿勢が常に見えている。高さに注目が集まりがちだが、足元でのボールコントロールは上手い選手であり、ポストプレーも無難にこなしている。だからこそ、３トップとその下の３ＭＦが、好機を見つけてはゴール前に飛び込んでくる。鳥栖が抑えるべきポイントのひとつではあるが、できれば彼にボールが入る前のところで食い止めたい。フィニッシュ前のワンプレーで寸断できるように、できる限り中盤でのプレスをかけ続けたい。
いずれにせよ、両者ともフィニッシュ前のワンプレーの精度にかかっている。その精度さえ上がれば、互いに目指す“攻撃の形”になるからである。残暑厳しいベストアメニティスタジアムでは、“攻撃の形”に持ち込む熱い攻防を見ることができそうだ。
今節は、『ブリヂストンデー』で多くのサポーターやサッカーを愛する人たちがスタジアムに集まってくる。多くの来場者の前で、無様な試合を見せるわけにはいかない。そこでは、プロフェッショナルとしての名誉や責任もプレーで表現しないといけない。そして、彼らのプレーを演出するために、スタジアムに訪れたすべての人は声援を送ろう。それが、サッカーを観るマナーであり、スタジアムでの特権だからである。
サッカーは、スーパープレーに酔いしれるだけでなく、観客の声援でスーパープレーを引き出すこともできるスポーツである。
以上
2010.09.11 Reported by サカクラゲン
