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若きタレントが揃い、攻撃的な、つなぎのサッカーを特長とするＣ大阪と広島が、2年ぶりに大阪長居スタジアムで激突する。ともに一時はJ2での戦いを強いられながら、Ｃ大阪は今季から、広島は昨季から、それぞれJ1の舞台に復帰。そして、Ｃ大阪は現在2位と躍進中で、広島は2009シーズン4位に入り、今季も初のACL参戦やヤマザキナビスコカップ4強入りを果たすなど、両者ともにJ1昇格直後から好成績を残して旋風を巻き起こしている。さらに、Ｃ大阪はレヴィー クルピ監督での4季目、広島はペトロヴィッチ監督での5季目と、外国籍の指揮官が継続的にタクトを振るっている。このように、共通項の多いＣ大阪と広島の一戦は、至るところに見どころがありそうだ。
最近の両者の対戦は、J2での08年シーズン以来、2年ぶりの顔合わせとなった、今年7月14日。ACLの影響で、J1第11節延期分は、W杯中断明けに広島ビッグアーチで行われ、そのときにはＣ大阪が5-0と圧勝している。前半終了間際、相手に退場者が出たことで数的優位に立つと、家長昭博や高橋大輔の移籍後初得点などで広島を寄せ付けず。Ｃ大阪にとっては、その後の夏場の快進撃につながる意義深い試合となった。
もちろん、今回のホームゲームでも、前回の再現といきたいＣ大阪。しかし、「相手はリベンジを狙ってやってくるし、前と同じようにはいかない。しっかり強い気持ちで連勝できるよう、流れを止めないようやっていきたい」と高橋が言うように、チームにおごった気持ちは微塵もない。そして、レヴィー クルピ監督も「いつも広島とは互角の勝負になる。お互い攻撃的サッカーを志向しているチームであり、チャンスをモノにしたほうが勝つと思う」と、接戦を予想する。
それというのも、Ｃ大阪は2年前のJ2時代には3戦全敗した苦い過去がある。しかもそのうち2試合はホーム長居でのもので、先制点こそ挙げたものの、ミスなども重なって後手に回ると逆転を許してしまい、ともに1点差だったとはいえ、優勝街道を独走する広島に格の違いを見せつけられた。当時から選手は大幅に入れ替わっているＣ大阪だが、監督、フロント、サポーターには、今でもその悔しさが残っているだろう。なにしろ、Ｃ大阪は01年シーズン2ndステージ以降、長居では広島相手に1分4敗と勝ちがない。その悪しきデータを、ここで断ち切りたいという思いは、当然のごとく強い。
そこでやはりキーになるのは、Ｃ大阪が誇る1トップ3シャドーの選手たち。前回の広島戦しかり、夏場の戦いしかり、アドリアーノ、家長、乾貴士、清武弘嗣の4人が、コンスタントに得点に絡んだこと、そして、彼らが先制点を取ったことで、チームは波に乗ってきた。前線からの守備でも大きく貢献しているこのカルテットの活躍こそが、Ｃ大阪勝利の重要なファクターになるのは、明白だ。
一方の広島だが、こちらにとっては過密日程と主力のケガという2つの障壁が立ちはだかっている。ヤマザキナビスコカップの準々決勝を戦ったこともあって、チームは先週から今週にかけて、中3日、中2日での連戦が続き、日本代表DF槙野智章に至っては7日のグアテマラ戦（＠長居）、8日のＧ大阪戦（＠万博）とピッチに立つ強行軍を強いられた。また、ブルガリア代表のストヤノフも、3日と7日に行われたUEFA EURO 2012の予選2試合にフル出場しているなど、ベストのコンディションからは程遠いと思われる。そして、8日のヤマザキナビスコカップＧ大阪戦でも活躍した大黒柱の佐藤寿人が、その試合で右肩を負傷し、戦線離脱を余儀なくされたことも、大きな痛手だ。
それでも、Ｇ大阪を倒して、クラブ史上初のヤマザキナビスコカップ準決勝進出を勝ち取った広島のモチベーションが一層上がっているのは、容易に想像できる。槙野をはじめ、森脇良太、西川周作など、ただでさえ活きのいい若手が集うチームは、乗りだしたら止まらない。そして、前回のＣ大阪戦で退場処分を受けた高萩洋二郎も、2年前は2得点を取っているゲンのいい長居の地で、ゴールに意欲を燃やしているはず。また、佐藤が不在でも、山崎雅人や李忠成らも出番を待ちかまえており、「ほかのFWも、（佐藤）寿人クラスがあると思って、抑えなければならない」とＣ大阪DF茂庭照幸も警戒している。
長居でのリーグ戦のゲームは今年最後ということもあり、Ｃ大阪にとっては絶対に負けられない試合となる。そして、9位の広島も、ここで2位Ｃ大阪に勝って、上位争いに加わっていきたいところ。両者にとって大事な一戦となる今節は、15時にキックオフされる。9月に入っても酷暑が続く今、このスタート時間も、試合の行方を左右するかもしれない。どちらにしろ、攻撃的な両者の戦いだけに、ゴールラッシュを期待せずにはいられない。
以上
2010.09.10 Reported by 前田敏勝
