9月5日に行なわれた第90回天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦、熊本は同じJ2の愛媛に勝って、3回戦へとコマを進めた。次の相手は鹿島アントラーズに決まり、クラブ史上初めて公式戦でJ1クラブと対決する。リーグでも現在5位と昇格争いに絡める位置にいることから、現在の力がどの程度通用するのかという点でも非常に楽しみな試合だ。
トップチームのそうした好調ぶりに刺激を受けてか、下部組織の子供達も頑張っている。春頃に行なったスペイン遠征についてもJ2日記で触れたが、その遠征に参加した選手達が中心となったU−15のチームが、トップチームよりも先に全国の舞台で“準優勝”を果たした。8月18日〜23日に福島県のJヴィレッジで開催された「日本クラブユース選手権(U−15)大会デベロップカップ2010」がそれ。クラブユース選手権=アディダスカップの出場権を逃したクラブチームに全国レベルの試合で経験を積ませるのと同時に、全国大会に出て来ないことで埋もれがちな才能を発掘しようという狙いで、今年から実験的に始まった大会だ。
16チームを4つのグループに分けた予選リーグを、熊本U−15は2勝1分の首位で勝ち抜け、準決勝では浜名JYCを4−0と降して決勝に進出。ファイナルでは千葉U−15に2−4で敗れたが、2点リードされた状態から一時は追いつくという粘りも見せた。残念ながら現地での取材はできなかったが、ツイッターで速報を確認しながら戦況に気をもんだ。クラブ初とも言える快挙は、サポーターにとっても喜ばしいニュースだったに違いない。
「もちろん、大宮や千葉といった関東のJクラブのユースチームとの試合で、緊張もせずに淡々とやれてるのは良かったし、決勝でも一度は追いついて、大会のMIP(5得点で得点ランク3位タイの嶋田慎太郎選手)も出した。ただ、PKで負けてアディダスカップの代表権を逃したからデベロップに回って、その決勝でも勝ちようはあったと思うんですけど結果的には負けた。何かが足りないということを、彼ら自身が掴めたんじゃないかと思います。この“少し足りない”というのを、これからどうするか」
アカデミーを預かる永尾健次ダイレクターは、選手達の成長ぶりを認めつつも、そう話す。熊本の育成のベースにあるのは、ピッチ外も含めた“生きる力”を養うということ。「どれだけ感じて、変わっていってくれるか。もちろん、環境を整備したり、的確なタイミングを見計らってコメント(声かけ)するといった手伝いは必要ですけど、ロアッソのユースに入ったってだけで上手くはならないし、自分自身で上手くなることを追求しないといけない」。
アカデミー創設から今年で5年目だが、「九州のクラブユースの中では、“熊本からはなかなかボールが取れない”という見方が定着してきた」と永尾氏は言う。プロクラブの下部組織として、育成年代で必要な技術と戦術を磨いているからなのはもちろんだが、そうした評価が高まりつつある背景には、指導スタンスに込められた大きな理念がある。
(後編へつづく)
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2010.09.10 Reported by 井芹貴志
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