9月8日（水） 2010 ヤマザキナビスコカップ
Ｇ大阪 1 - 2 広島　（19:04／万博／6,498人）
得点者：26' 佐藤寿人（広島）、56' 森崎浩司（広島）、82' ドド（Ｇ大阪）
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ガンバ大阪・MF遠藤保仁のケガによる離脱、日本代表MF橋本英郎が7日の日本代表vsグアテマラにフル出場を果たしたため欠場と、コンディションを考慮して予測できた２人の離脱に加え、予期せぬ新たなケガ人が出たのは前日練習でのことだった。中盤の要であるキャプテンMF明神智和が右太もも裏を負傷。これにより、またしても中盤を１コマ失った指揮官は、考慮の末にDF山口智を約８年ぶりにボランチで起用することを決める。
試合後の西野朗監督のコメントによれば、理由は２つ。『システムを変えたくない』ということ、そして『広島が攻撃的にくるのを予測した中で、バイタルエリアを狙ってくる相手に１ボランチで対応するのは難しい』と考えたから。実際、この起用が吉と出て、立ち上がりからペースを掴んだG大阪は、巧く相手の攻撃の勢いを消しつつ、攻撃に転じる時間が続く。

だが、17分。流れは一変してしまう。FW佐藤寿人の前線への突破を食い止めようとしたDF加地亮のプレーが『得点機会阻止』とみなされ一発退場になったのだ。早い
時間帯で数的不利を強いられたG大阪は、この状況に５バックを敷いて対応するが、完全に広島の攻撃を『受ける』ことになってしまう。しかも26分にはゴール前、広島のMF高萩洋次郎が頭で前線に送ったパスに合わせて、うまくFW佐藤が抜け出して先制点を手に。G大阪は、第１戦で手にしていたはずのアドバンテージをあっという間に失ってしまった。
それでも、まだ試合が振り出しに戻っただけだと考えれば、G大阪が焦る必要は決してなかったはずだが、数的不利な状況と『攻撃』への欲が心理的な焦りを生んだのだろう。後半に入って守備に関してはやや落ち着きを取り戻したものの攻撃ではチグハグさが目立ち、思うように前線にボールを運べない。これに対し広島も、数的優位な状況ではありながら、堅く敷かれたG大阪守備網をこじあけられない時間が続いた。だが56分、左サイドのMF横竹翔からFW佐藤へと繋ぎ、最後は後ろから詰めたMF森崎浩司が左足で豪快にネットを揺らす。広島にとっては第１戦目のG大阪を上回る、２つ目の『アウェイゴール』を奪う理想的な展開。逆にG大阪はこの失点によって、最低でもこの一戦を引き分けに持ち込まなければならない状況に追い込まれてしまう。

その状況に西野監督が動き、MF二川孝広に代えてFWチョ　ジェジンを投入。前線に高さのあるターゲットを据えることで、後半から右サイドハーフに据えられたMF佐々木勇人らが積極的にサイドからのクロスを送り込む回数が増えるが、今ひとつ精度を欠きゴールが遠い。これに対し広島も、G大阪の攻守のバランスが崩れたところを巧く突いてボールを奪い、効果的にチャンスを作り出すが 「チャンスに対するゴールの割合がまだまだ足りない」とのペドロヴィッチ監督の言葉通り、精度が低く、追加点を奪えず。リードを広げればそれだけ楽に試合を運べるにも関わらず、自ら試合を難しくしてしまう。
何とか攻撃の糸口を見出そうと、G大阪の西野朗監督が動き、78分にはDF中澤聡太を外してFWドドを投入。それに伴いシステムを４バックに戻して攻撃の枚数を増やし、更に『ゴール』への意欲を示す。実際、この交代は結果を生み、82分にはDF高木和道の縦へのクロスボールをFWチョが体勢を崩しながら広島DFと競ったボールがそのまま前線へ。このボールにFWドドが走り込み、左足でゴールを奪い１−２とする。
だが、先にも書いた通り、スコア的には第１戦目と合算して２−２にしても、『アウェイゴール』で下回るG大阪は、もう１点獲りにいかなければいけない。だからこそ、終盤もロスタイム４分を含めて、泥臭く『ゴール』を目指す姿勢を見せ続けた。しかし数的不利の状況で走り続けた個々の疲労は終盤にいくほど色濃くなり、攻撃の精度が今ひとつ上がらない。結果、あと１点が遠いまま、この試合を１−２で終えたG大阪は『アウェイゴール』に泣いて敗戦。対する広島は、クラブ史上初となるヤマザキナビスコカップ準決勝に駒を進めた。

以上

2010.09.09 Reported by 高村美砂