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【第90回天皇杯2回戦 広島 vs 島根】レポート:若手を起用し4−0で勝利した広島だが、島根の頑張りに苦戦。「相手よりも走っていない」とペトロヴィッチ監督は激怒する(10.09.06)

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9月5日(日) 第90回天皇杯2回戦
広島 4 - 0 島根 (18:00/福山/4,573人)
得点者:41' 森脇 良太(広島)、45'+1 横竹 翔(広島)、53' 桑田 慎一朗(広島)、56' ミキッチ(広島)
チケット情報天皇杯特集
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試合前日の夕方に行われた広島の練習では、佐藤寿人も服部公太も青山敏弘も、試合出場組を意味する赤ビブスを着けていた。「コンディションを考えれば、天皇杯では主力を休ませざるをえない」と語っていたのは、ペトロヴィッチ監督自身だったのだが。

天皇杯でもベストメンバー規定は厳然と存在する。「直前5試合の先発メンバーを6人以上起用しなければいけない」というJリーグの規定ほど天皇杯では細かく規定されていないことも事実ではあるが、広島は昨年、このベストメンバー規定違反により制裁金を課せられている。その現実も鑑みて指揮官は当初の考えを軌道修正、森崎浩司と高萩洋次郎は休ませたものの、他は主力を起用しようと考えた。あとはできるだけ早く試合を決めて、岡本知剛ら若い選手を起用したい。そのようなコメントも、練習後に口にした。

だが試合当日に配布されたメンバー表の先発選手欄には、佐藤も服部も青山の名前もなかった。代わりに入ったのは、李忠成と清水航平、そして前日は途中起用を示唆していた岡本である。
佐藤・服部・青山の3人をどうしても休ませたい。岡本や李、清水の3人にプレーさせたい。2つの想いが交錯した結果、指揮官は決断する。広島はヤマザキナビスコカップ・G大阪戦( /jsgoal_archive/game/2010/20100020060420100901.html )と先発を6人、入れ替えた。それでもJリーグが定めるベストメンバー規定をしっかりと遵守している。
一方の島根は、天皇杯1回戦の勝利から中1日でJ1との対戦を迎えた。体力的にも不利な状況で格上と対戦する厳しさ。しかし彼らは、中国リーグきってのストライカーである平田翔太を1回戦では温存していた。しっかり守って、平田を中心とするカウンターに勝機を見い出す。それが、島根の戦略だった。

しかし3分、そんな想いが打ち砕かれそうなシーンが出現した。ミキッチの突破についていけず、クロスを許す。マイナス気味のボールの先には、山崎雅人がフリー。ヘッド。シュートは枠を捉えなかったが、完璧な形だった。
守備の人数が揃っているのにペナルティエリアの中で攻撃側がフリーになっている。このようなシーンに象徴されるように、局面における判断スピードや個人・グループ戦術、さらに個人技を含め、J1と地域リーグに存在するレベル差は、明らかだった。だが、そのレベル差を広島は「得点」という形で昇華できない。パスは回せるしボールも奪えるが、島根のブロックを突き崩すアイディアも、強引に突破する力強さも、正確なシュートも見せられない。「積極的にプレーできた選手もいれば、『探り探り』の選手もいた」とキャプテンを務めた中島浩司は指摘する。また、前半45分で交代した岡本知剛は「サテライトではできても、トップの中に入ると自分の力が出しきれない。それだけの力しかない、ということ」と唇を噛む。

広島がセットプレーから先制した直後の43分、島根にビッグチャンスが生まれた。カウンターからスルーパスが飛び出し、平田がGK西川周作との1対1を迎えたのだ。同点になれば、試合の雰囲気は激変する。福山市竹ケ端運動公園陸上競技場がもっとも緊迫した瞬間だった。
しかしここは、西川のレベルが島根の切り札を上回り、シュートを力強く弾き飛ばす。「正確さやスピードが違った」と平田は素直に語ったが、このシーンで西川がレベル通りの仕事をしてくれたことに、スタジアムにはホッとした空気が流れた。その後、島根は一度の決定機も創れなかった。

前半ロスタイムにまたもセットプレーから2点目を奪った広島は、後半から入った大崎淳矢と高柳一誠が機能し、リズムが一変。得点は前半同様2点のみだったが、高柳・山崎・桑田とワンタッチでつないだ結果の3点目に象徴されるように、多くの時間帯で広島らしいアイディアが表現されていた。
だが、ペトロヴィッチ監督は「後半良くなったといっても、全然足りない」と怒り心頭。「何より残念だったのは、誰よりも走らないといけない若い選手たちが、相手に走り負けていたこと」「水曜日(9/8@万博)のG大阪戦には主力が戻ってくる。若手? 水曜日に向けて、コメントの必要はない」と厳しい言葉を連発しながら、期待に応えてくれなかったことへの哀しみが、大きな瞳の奥に漂った。

「絶対に勝ってやろうと思っていた」という左サイドバック空山浩輝の言葉どおり、島根の選手たちは本当によく走り、闘った。ただ終盤、その熱さが空回りしてラフプレーを連発してしまったのは残念。熱さと荒さは違うことをもう一度認識し、来年の天皇杯で再び、Jクラブに挑戦してほしい。

以上


2010.09.06 Reported by 中野和也
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