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【第90回天皇杯2回戦 甲府 vs 松本】レポート:甲府が手にしたものは3回戦の切符と課題の確認だけ。松本は3年連続のJ倒はならなかったが多くのサポーターにクラブの前進を印象づけた(10.09.06)

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9月5日(日) 第90回天皇杯2回戦
甲府 1 - 0 松本 (17:01/小瀬/4,562人)
得点者:47' 小池 悠貴(甲府)
チケット情報天皇杯特集
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記者会見場の椅子に座った松本山雅FC・吉澤英生監督はテキパキと誠実な態度で話した。試合中はベンチに椅子があることを知らなかったかのようにずっと前に出ていたが、会見ではサッパリとしているようにも見える表情だった。昨年までの甲府の監督・安間貴義氏(現・富山コーチ)がHondaFCの監督時代にコーチを務め、その後監督を引き継いだ。安間氏同様に賢さや器用さを売りにするタイプではないように見えたし、会見で話した言葉を書き起こしたノートを見ていて考え方に似ている部分を感じた。磐田と清水に挟まれた都田(浜松市)の名門・HondaFCは完全なアマチュア化に体制変更していったが、安間氏を含めて素晴らしい人材を輩出し続けていたんだと感じる。「先手を取られることはこれからのリーグ戦(JFL)でもあると思うが、劣勢を跳ね返すことが出来る選手の色分けが出来たと思う。試合内容がいいときは誰もがいいテンポ・リズムでプレーが出来ると思うが、(甲府戦では)劣勢を跳ね返すことが出来る選手の白黒がついた」と、松本の選手にとって怖い言葉もさらりと出す。安間氏同様に選手を細かい部分までしっかり見ている。

「(格下のチームと戦う)天皇杯の難しさ」という言葉はよく耳にする言葉だが、前半の甲府はそれ以前の問題だった。前節、大分戦でのブーイングはサポーターの冗談だと思っていたのだろうか。ハーフナー マイクを温存、3トップの頂点に小池悠貴を先発起用し、マラニョンを左、養父雄仁を右に置き、パウリーニョがトップ下という新しい組み合わせ・配置だった甲府。小池はリーグ戦で途中出場してポイントになるプレーを見せて評価が高まりつつある選手だが、ボールの収まりではまだまだ経験を積まないと難しい部分があるし、先発を張れる選手になるには経験を含めて足りないものは少なくない。これは、これからの課題なので大きな問題ではないが、小池、養父、マラニョンの3トップとパウリーニョのトップ下という組み合わせは、それぞれの良さを引き出すことは出来なかった。マイクが入るか、もう1回やれば改善できるのかどうかはわからないが、少なくとも松本戦の前半は攻撃陣が甲府のサッカーを引っ張ることは出来なかった。

「相手の状況に応じてオーガナイズを崩して相手を混乱させながら攻撃する時間帯と、シンプルにプレーしながらゲームをコントロールするという使い分けがポイントになる」と内田一夫監督は会見で話した。これは以前から目標、課題としている部分であるが、「王道」のサッカーであるだけに、それをやれる時間を少しずつでも増やしていくしかない。問題はその時間が増えているように感じられないことと、それが出来る組み合わせがなかなか見えてこないこと。今回は甲府のミスを松本がミスで助けてくれたが、リーグ戦で前半のような戦いをすれば2〜3点は献上していただろう。松本の吉澤監督は「チャンスがなかったわけじゃない。でも、それが経験の差。甲府の前半は悪かったと思うが、悪いなりに凌がれた。松本の選手は『やれる』気になって後半に臨んだが、『やれる』のではなく前半の甲府が悪かっただけ。自分たちはそのなかで何も出来ていなかった。その矢先の失点(47分、甲府・小池の得点)。後半に向けて選手を送り出すときに違った方法があったかもしれない」と、ハーフタイムの修正の方法を悔やむ。

47分の決勝ゴールについて小池は「流し込むだけだった」と謙遜するが、素晴らしいゴールだった。ワンチャンスを決めたことが本当に素晴らしい。彼自身にとっても自信となる価値あるゴール。「前半は動き出しの質やタイミングが悪く、無駄な動きが多くなって体力を消耗してしまった。いざというときに出られなかった場面もあった。(先発は)試合の入り方が難しいと思っていた。もっと動きにメリハリをつける必要がある」と、今後に向けて貴重な経験と自信を得ることが出来た69分間だった。
ただ、このゴールで手にした勝利以外に甲府が手にしたものは、課題が課題として積み上げられていることを確認できただけ。無失点だったが、松本の選手が甲府の選手との間合いや距離感で慌ててしまい、助けてくれた部分が大きい。選手間でもっとコミュニケーションを取って課題の改善に取り組まなければ、11月になっても内田監督に同じコメントを言わせることになるかもしれない。

「(Jクラブに勝てば)メディアに取り上げてもらえる天皇杯は、クラブとして重要視している」と話す吉澤監督。昨年の浦和戦の勝利は多くの人の興味を引き付けた。3年連続でJクラブを倒すことは出来なかったが、松本がクラブとして着実に前進していることを小瀬にいた人は充分に感じたはずだ。それは勝敗という目先の結果ではなく、地域の盛り上がりのすごさ。ゴール裏のサポーターの数は松本が上回っていたし、メインスタンドも緑のレプリカが目立った。これだけの支援を受けることが出来ているのだからJリーグ入りする下地は充分にあると言っていいだろう。アルウィンという素晴らしいスタジアムもある。隣県の松本山雅FCが1年でも早くJリーグの仲間入りすることを期待するし、楽しみに思う。JFL後期は残り11節。柿本倫明という素晴らしい選手がいる上、追い上げる立場の強みを発揮できれば、Jリーグ加入3つ目の椅子はまだまだ狙えるはずだ。

以上


2010.09.06 Reported by 松尾潤
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