9月5日（日） 第90回天皇杯2回戦
草津 1 - 3 北九州　（15:00／群馬サ／1,300人）
得点者：7' アレックス（草津）、41' ウェリントン（北九州）、45' オウンゴール（北九州）、76' 小森田 友明（北九州）
チケット情報 ｜天皇杯特集
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気温36.5度の猛暑の中で行われたデスマッチを制したのは、９０分間に渡りタフなハートを見せつけた北九州だった。北九州を群馬に迎えた草津は、ホームアドバンテージを活かすことができずにＪリーグ昇格後初めて天皇杯初戦で敗退となった。Ｊ昇格後初の天皇杯となった北九州は“今季２勝目”を挙げて３回戦へ駒を進めた。

北九州がリーグ戦と同じ攻撃陣で臨んだのに対して、草津は７月に加入したブラジル人ＦＷアレックスを初起用。ラフィーニャとの２トップで北九州と対峙した。ゲーム序盤はホーム草津が一方的にゲームを支配、パスワークを駆使したサイド攻撃で相手陣地を侵食していく。７分、高田保則が右サイドを突破し好クロス。ゴール前へ飛び込んだ熊林親吾をウェリントンが倒して草津にＰＫが与えられる。

キッカーとなったのはアレックスだった。エース・ラフィーニャの計らいでＰＫを任されたアレックスが公式戦初ゴールを確実に決めて、草津が先制に成功する。「ブラジルではいつも蹴っていたから自信はあった。来日初ゴールが決められて嬉しかった」（アレックス）。新戦力のゴールで草津は完全に勢いに乗った・・・はずだった。

だが２０分を過ぎたころから草津の雲行きが怪しくなってくる。序盤を支配したことからの油断も加わり、中途半端なプレーを連発。パスコースが作り出せない草津はラフィーニャを起点とするが、そこを北九州に狙われてショートカウンターを受け始める。「草津が守りに入ってくれたのでパスが回るようになった」（佐野裕哉）。暑さの中、不慣れな省エネサッカーを実行した草津は、ゲームの主導権を簡単に北九州へと渡してしまう。

そして４１分、草津は北九州のアーリーのクロスへの対応を誤りＭＦとＧＫがお見合い。その隙間に飛び込んできたウェリントンに同点ゴールを奪われる。さらにその５分後の前半ロスタイム、ルーズ過ぎる守備から左サイドの宮川大輔をフリーにすると宮川が渾身の力を込めたシュートがＤＦに当たってオウンゴールを献上。草津はあまりにもお粗末なプレーで５分間に２失点を喫して前半を折り返すことになってしまった。

１点を追う草津は後半、気合を入れ直して反撃を試みる。だが、北九州のブロックを崩すことができずにシュートまで持ち込めない。中盤でボールを保持するもののゴールへ向かうアクションが乏しく、サイドから手詰まりのクロスを上げるのが精一杯。７６分には、集中を欠いたプレーからＣＫを与えると小森田友明にダメ押しヘッドを決められて３失点目。ゲーム終盤の猛攻も空しく、力尽きた。松下裕樹は「もっとハードに戦わなければいけなかった」と、不甲斐ない戦いを悔やんだ。

北九州は開始１２分に重光貴葵が負傷退場、アクシデントで交代枠の１つを失うことになったが、チーム全員が最後まで走り抜いて勝利をつかみ取った。１点を先制されたものの慌てることなく草津対策を忠実に実行、チームの進化を結果で証明してみせた。「（暑さで）信じられないくらいキツかったけど最後まで闘うことができた」（小森田）。北九州は、１０月１１日に正田スタで行われる３回戦でＦＣ東京と対戦する。

草津にとっては痛恨の敗戦だ。群馬県サッカー協会は、今年初めて３回戦の試合会場として正田スタを確保、草津の勝ち上がりを想定して準備を進めていた。地域の期待に応えられなかった責任は軽くない。気持ちを切り替えることしかできないのは分かっているが、あまりにも悲しい結果だ。草津の天皇杯は終わった。

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2010.09.06 Reported by 伊藤寿学