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【第90回天皇杯2回戦 佐川印 vs 京都】レポート:苦しみながらも京都、京都府代表・佐川印刷SCを下す。課題は残すも秋田体制初勝利を果たす(10.09.06)

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9月5日(日) 第90回天皇杯2回戦
佐川印 2 - 3 京都 (18:00/西京極/1,838人)
得点者:9' 塩沢 勝吾(佐川印)、31' 水本 裕貴(京都)、92' 葛島 崇繕(佐川印)、102' ディエゴ(京都)、105+1' 角田 誠(京都)
チケット情報天皇杯特集
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西京極での天皇杯2回戦は、京都が苦しみながらも勝利を収めた。5月30日のヤマザキナビスコカップ戦予選リーグ・名古屋戦以来の公式戦勝利、そして秋田体制での初勝利となった。

京都は「トレーニングで非常に良かった」(秋田豊監督)とチエゴをボランチで先発させた。試合は、キックオフ直後から佐川印刷SCの猛攻を受ける展開に。中盤、大槻紘士を中心に、吉木健一、櫛田一斗のワンタッチを織り交ぜながらのパス交換、そこからタイミング良くくさびを入れられ、走り込まれる。この一連の早い流れに京都は簡単に押し込まれた。押し込まれ、さらにそこから早くプレスに入られてしまい、流れを完全に相手に明け渡してしまう。
そして9分、右のCKから大槻、平井晋太郎とつながれ、最後は塩沢勝吾に頭で山なりの技ありシュートを決められ先制を許す。その後もゲームを落ちつけられない京都は、チエゴに代えて角田誠を投入。そして、相手が守備ブロックを形成するようになると、落ち着いてボールを散らし始める様になる。そして、31分。京都は、右サイドで得たFKから水本裕貴が落ち着いて流し込み同点に。

後半は、京都がボールを支配する展開に。ただ、ボールの取られた方が悪いと一気に佐川印刷SCのカウンターを受け、ゴール前まで運ばれるシーンもあり、気の抜けない戦いとなった。後半でスコアは動かず延長戦へ。延長前半2分。佐川印刷SCのカウンターから、左サイドで中野大輔にボールを持たれると、中央へクロスを送られる。これを駆け上がってきた葛島崇繕に頭で押し込まれ、佐川印刷SCに2−1と再びリードを許す。

だが京都もここから意地を見せる。延長前半12分、加藤弘堅から中の柳沢敦へ送られると、柳沢は縦へパスを出す。それをディエゴが右足で流し込み京都、2−2の同点。さらに延長前半ロスタイム1分、右サイドのFKからディエゴが入れたボールを角田が頭で合わせて京都、逆転。その後、安藤淳が2枚目の警告で退場したが、京都が粘り強く守って試合終了。およそ3カ月ぶりの公式戦勝利を果たした。

試合後、佐川印刷SCの中森大介監督は、ポイントとして「JリーグとJFLではプレッシャーのかけ方が違う」という点を指摘した。引いてブロックを作るJクラブの京都に対し、JFLの佐川印刷SCは「間で受けられる」と分析、「パスワークでワンタッチをアクセントに上手く使っていくと、相手も付いて来られない」とプランをたてた。これがゲーム序盤に一気にリズムをつかみ、さらに先取点までもたらした。

だが逆に、京都は角田誠が入ると、角田と安藤淳が高い位置からプレスをかけて、佐川印刷SCのパスミスを誘発、相手のリズムを狂わせた。このボランチ二人の判断は素晴らしかった。恐らく、21節の名古屋戦で、前半から高い位置でプレッシャーかけられなかった反省があり、今回その反省を生かしたのではないだろうか。この二人の判断が勝負の流れを変えたと言っても過言ではないだろう。

だが、さらなる課題も生んでいる。41分、安藤が警告を受ける。これはボランチが高い位置に入り、バイタルが空き、佐川印刷SCのFW塩沢が、そのスペースでボールを受けることで発生したファールによるもの。ボランチが高い位置でプレスをかけるとバイタルが空く。ここをどうするかは大きな課題となるだろう。例えば、鹿島やG大阪と対戦する場合、共にボランチにゲームメーカーがいて、バイタルを有効活用することをチーム戦術の柱に置いている。その対戦時に、この戦い方では難しいのではないか。ボランチが高い位置でプレスをかけるなら空いたバイタルをどうするか。逆に、ボランチがバイタルを締めて、前線に守備タスクを与え、相手DFまでバックパスをさせるという手もある。18節のC大阪戦の前半のイメージだ。安藤、角田の判断力、試合を見渡す感覚は今非常に伸びている。それが二人の理解だけでなく、チーム全体を動かせるようにもっと周りとコミュニケーションを取り、共通理解を深めるべきだろう。

試合の印象は、安藤が試合後にコメントを残した「もっと楽に勝てたゲームだと思う」に同感である。特に後半は7本シュートを放って、4本は決定機だった。守備ブロックを形成する相手にこれは、以前の京都からは考えられないほど成長していると言っていい。
守備ブロックに対してのポゼッションの好例を挙げると、前半40分。中盤で角田が持つと相手FW塩沢がアプローチをかける。角田の右スペースを水本が入り込みボールを受ける。水本は全体を観つつ、右サイドの渡邉大剛へ。そこから中央ドゥトラの決定機が生まれている。角田のマークに入ったのが、相手FWなので佐川印刷SCは全員が戻っていたことになる。そんな相手のブロックに対し、全く危なげなくアタッキングサードまでボールを運んでいるのである。
J1を見渡しても、センターバックがスペースをここまで使って、つないで、崩しているチームはそうはない。後半の決定機も見事なまでにつないで崩しているのである。(カウンターを受けた多くはサイドで、スペースを使う判断が遅く、相手に引っかけられたもの、という印象だ)
この点は、京都はもっと評価されて良いし、自信を持ってもいいはずだ。だが逆に早い攻めでフィニッシュまで持ち込めるようにも精進すべきだろう。

そんなゲームを苦しくさせたのがシュートミスである。シュートの中には相手GKを褒めるべき、というのもあるが、単純なミスもある。後半25分、安藤から裏の中村太亮に渡り中央、マイナスに送られたボールを大きく打ち上げたシュートがあった。19節の湘南戦でも中村太のクロスを中村充孝がスルーして2列目の選手が大きく打ち上げるという似た様なシーンがあった。同じ様なシュートミス。「二度あることは―」という言葉があるが、また繰り返すだろう。
シュートまでの崩しは、秋田監督が施している練習通り。だが、肝心のシュートに集中が見られるか否かは、個人の意識の問題である。
さらに言えば、延長に決められた2失点目は、19節の田原豊の同点弾のシーンと同様に、簡単に前に入られているもの。これも同じミスの繰り返しと言っていいだろう。
練習に対する姿勢、課題意識の問題ではないのか。残留か降格か、後3カ月。一期一会の心境で練習に、課題克服に取り組むべきではないのか。

これだけ決定機を外せば、まず勝てないものである。それを京都はものにしたのだ。「苦しみながらも勝ちというものを掴めたのはすごく大きかった」と秋田監督は試合後コメントした。その通りであろうし、やはり、流れが少し変わってきたという期待感が膨らんできている。何よりも、秋田体制での初勝利である。リーグ戦に向け、実りのあった試合と捉えるべきだろう。

以上

2010.09.06 Reported by 武田賢宗
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