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【第90回天皇杯2回戦 山形 vs 秋田】レポート:ポテンシャルを十二分に発揮した秋田に苦しみながら、着々と加点した山形が3-0と勝利!(10.09.06)

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9月5日(日) 第90回天皇杯2回戦
山形 3 - 0 秋田 (18:01/NDスタ/3,085人)
得点者:32' 増田 誓志(山形)、68' 太田 徹郎(山形)、89' オウンゴール(山形)
チケット情報天皇杯特集
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昨年は苦汁をなめた山形にとって、大会緒戦となる2回戦で勝利したという結果も、無失点での3-0というスコアも悪くはない。ただ、内容的には非常に厳しいものだった。チームのポテンシャルを十分に発揮した秋田が、J1山形を苦しめた。

「あまりいい入りができなかった」と山形・小林伸二監督。受けに回らないようにと立ち上がりから相手のバックラインにプレッシャーをかけると、クロスから田代有三がシュートを狙いコーナーキックを獲得したり、中央寄りにプレーした北村知隆が仕掛けた場面でもフリーキックを獲得。さらに北村が田代のスルーパスに飛び込むなど、攻め込むシーンは確かにあった。
しかし、一方で手薄になった中盤からディフェンスラインにかけては危うさも漂っていた。秋田・松ヶ枝泰介のグラウンダーのクロスには、左サイドから進入していた眞行寺和彦が甘いマークを外してシュートまでこぎ着け、眞行寺とサイドバックの伊藤健史でクロスにつなげるなど、予兆はサイドから始まっていた。

問題となったのは、1ボランチ佐藤健太郎の周囲のスペース。ふだんのリーグ戦であればまずはスペースを閉じる意識が強いが、この試合では前からプレッシャーをかけることで佐藤健の担当エリアが大きく広がり、担いきれないスペースを松田正俊や久保田圭一に狙われることになった。「うちらしいディフェンスの入り方ではなかったかなと思います。主導権を握ろうとしたために、多分思いっきり外されたと思う」(山形・清水健太)。26分にはプレッシャーのかかったボールを増田誓志がバックラインに預けたが、うまく抜け出せず、最後には山田拓巳がクリアボールを味方の西河翔吾にぶつけコーナーキックまで与えてしまう。守備の混乱がチーム全体のプレーに影響を与えていた。

中1日の日程的なハンディを最小限に抑えようと、2日前の1回戦で大幅なターンオーバーを図った秋田・横山博敏監督は、この一戦に温存していた主力を一気に起用してきた。ボランチ今井大悟が広い中盤を自由にプレーし、眞行寺や久保田などと絡んでモビリティ高い攻撃を展開。さらに高橋臣徳が相手のパスをカットして出て行くなど、完全に中盤を制圧していたが、好事魔多し。32分のコーナーキックから先制点を奪ったのは山形だった。

ビハインドに立たされたあとは今井がさらに高い位置を取るなど、秋田は1点を追いつくための微調整はするが、横山監督は「0-1といっても流れは悪くなかった」と後半も同様にゲームを動かしていく。しかし、守備に戻る足が止まり始めたところで山形・太田徹郎にプロ入り初となるゴールを割られ、68分に失点。「後半の2点目を取られて苦しくなった」(横山監督)と、このあとは山形がふだんどおりの守備のバランスを取り戻す。秋田はボールを保持する時間こそあるものの、ミスからカウンターを受けるシーンが一気に増えていった。87分、ともに途中出場の前山恭平のサイドチェンジを富樫豪が落として高橋のシュートがサイドネットを揺らし、さらにパスカットからシュートまで持ち込んだが、その直後、やはりカウンターでクロスからオウンゴールを喫して3失点目。天皇杯に勝ち上がることで全国と秋田県内にアピールしようという秋田の野望はここでピリオドを打った。

敗れたとはいえ、秋田が地元に持ち帰れるものは大きい。「前半、自分たちのパスサッカーを含めて運動量で崩すことができた」という攻撃面に加えて、「失点に関してもセットプレーとオウンゴール。ちょっとアンラッキーな失点だったので、完全に崩されてドスンとやられたわけではない」という守備面にも確かな手ごたえがあった。特に、高橋を除く3人の大卒が占めたディフェンスラインは、時折ギャップを突かれるシーンはあったものの、山形を相手に臆することがなかった。「その選手たちにとって、この1試合というのは彼らを成長させてくれると思います」と横山監督も今後の成長に期待を寄せた。
逆に山形は得点機以外に決定機やシュートシーンはあったが、そこで決めきれず、攻撃全体でもボール扱いが粗いプレーが目立った。小林監督は「今日の一番大事なことは、自分たちのメンタルをしっかりするということ。相手に合わせることなく、自分たちが持っているものをしっかりと出すことが一番大事なゲームになる」と話し、選手個々もそれを実践しようとはしていたが、組織力を武器にJ1に足場を築いてきたチームだけに、11人のベクトルが符号しなければいかに脆いか、その一端も垣間見せた。そうしたなか、「格下とやっているのでやられている感があるんですけど、サッカーはゲームなので、絶対ピンチもあるし、それを必要以上にネガティブに考えて自分たちで崩れるのは嫌だった」と答えた佐藤健。これも、昨年の“失敗”を経て導かれた、成長の跡だ。

以上


2010.09.06 Reported by 佐藤円
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