9月5日（日） 第90回天皇杯2回戦
大宮 4 - 1 讃岐　（17:00／ＮＡＣＫ／2,208人）
得点者：13' 李 天秀（大宮）、26' 金澤 慎（大宮）、39' 李 天秀（大宮）、84' ラファエル（大宮）、87' 岡本 秀雄（讃岐）
チケット情報 ｜天皇杯特集
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１回戦から中１日で行われた天皇杯２回戦。大宮は“ホーム”NACK５スタジアムに、１回戦で高知大学との激戦を勝ち抜いてきたカマタマーレ讃岐を迎えた。Ｊ１と地域リーグ、プロとアマチュアという実力的な差もさることながら、大宮は前の試合から１週間ほど開いているのに対し、讃岐は中１日での試合。それでも「アマチュアとの試合は難しいと思っていた」（李天秀）、「相手は厳しい条件の試合になれているから気をつけていこうと話していた」（北野貴之）と大宮は万端の準備で臨んだ。結果的には４−１と快勝。条件から考えても、実力から考えても当然の結果ではあるのだが、それでもノックアウト方式の大会で難しい初戦を乗り切っての勝利となった。

試合前から「（次節の）清水戦につながる戦いをしたい」と鈴木淳監督は口にしていた。そのリーグ戦で試したい、鈴木体制となってから本命ともいえる布陣がこの日お披露目された。シーズン途中に加入した李天秀、大宮の得点源と期待されるラファエル、そしてエースナンバーを背負う石原直樹の３人が初めて先発でそろい踏みしたのだ。布陣としては４−４−２ではあるのだが、フォワード３枚が同時に先発することで純粋に得点力が増すことを期待しての布陣。基本的にはラファエルが左サイドに入り、李天秀と石原が２トップを組むが、攻撃の際は３トップのような形となり、相手ゴールを脅かした。
一方の讃岐も４−４−２の布陣。１回戦と全く同じ先発メンバーとなった。ベンチメンバーもフルではなく５人のみ。１７時キックオフでもなお３１．７度を記録する中、苦しいスタートとなった。

この日、大宮の決定的なチャンスになったのは個人技から。まず、チームを楽にする１３分という早い時間帯の先制点は李天秀のドリブルから生れたもの。左サイドの鈴木規郎からゴール前の石原へパス、石原はこれをゴール前やや右にいた李天秀に落とすと、ディフェンダーを前にしながらドリブルでコースをあけそのままシュート。李天秀の公式戦初ゴールは鮮やかなものとなった。
続いて２６分には、鈴木から縦パスを受けた李天秀からの左クロスを中央で金澤慎が右足で叩き込み「自分でも照れるようなキレイな」シュートはネットをつきさした。
この時間帯になると、讃岐は連戦の影響が明らかに。「アグレッシブに戦ってくれた」と北野誠監督が振り返るとおりの戦いはみせるものの、どうしてもひとつひとつのプレーがスローに映る。さらに、個人技で得点されていることもあり、なかなかボールをとりにいくことが出来ずプレッシャーがかかりきらない状態。２失点目も、李天秀を警戒するあまり金澤への対応が遅れたことが原因となっていた。
こうなると大宮のペースで試合は進む。３９分にはまたも李天秀が、今度は石原とのワンツーからシュート。これが、いったんバーに跳ね返されながらも最終的にはラインを割る「運もあった」と本人も振り返るゴールとなった。

３−０で折り返した後半は、どちらも攻めきれない時間帯が続く。大宮は３点取った安堵感から、そして讃岐は明らかな疲労から。それでも８４分、中盤の底に位置する李浩のロングスルーパスに、ラファエルがゴール前に抜け出すと、前に出てきたＧＫをあざ笑うかのように頭上を越す技ありシュートで４−０に。ただ、この後讃岐は意地を見せる。８７分、カウンターから右クロスを岡本秀雄がダイレクトで叩き込んだのだ。大宮にしてみれば「無失点で終わりたかったが、課題が出た」（北野）と振り返る失点。終盤の時間帯での集中力欠如とも取れるような失点を喫し、試合は終了した。

「条件以前に実力差があった」と讃岐の北野監督は振り返った。それでも「選手たちはサッカーで飯を食っている大宮をみて、サッカーで飯を食いたいというきもちが強くなったはず」と精神的な奮起に期待した。一方の大宮は４発快勝。攻撃的布陣も明るい兆しを見せた。「ただ、これがリーグ戦で通用するかは別問題」（石原）と選手たちは冷静。次節清水戦へむけ、新たな手応えを感じて１週間トレーニングに臨むことになる。

ノックアウト方式の中で、普段は対戦しないチームとの対戦になったこの２回戦。軍配は大宮に上がったが、互いにとって今後につながる収穫を得た一戦となったのではないだろうか。

以上