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【第90回天皇杯2回戦 名古屋 vs 中京大】レポート:猛暑の鈴鹿で見えたのはプロとアマの厳然たる実力差。中京大の大善戦も空しく、名古屋が順当勝ちで3回戦へ(10.09.06)

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9月5日(日) 第90回天皇杯2回戦
名古屋 3 - 0 中京大 (17:03/鈴鹿/4,807人)
得点者:22' ブルザノビッチ(名古屋)、25' マギヌン(名古屋)、40' 玉田 圭司(名古屋)
チケット情報天皇杯特集
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もしかすると、この日の鈴鹿スポーツガーデンに駆けつけた4807人の観客は、名古屋よりも中京大のプレーのほうが印象に残っているかもしれない。前後半ともにJ1首位のチームをシュート数で上回った大学生たちのアグレッシブで勇敢なプレーは、それだけの価値があったようにも思える。しかし結果は3−0で名古屋の勝利。そこにはプロとアマの間に横たわる、厳然たる実力の差があった。

立ち上がりは名古屋が試合を支配した。負傷のケネディと田中マルクス闘莉王、小川佳純のほか、日本代表で楢崎正剛を欠いた名古屋だったが、それ以外は現状のベストメンバーをピッチ上に並べてきた。相手は明らかな格下であったわけだが、アップセットの可能性を排除したい指揮官は「ベストチームを作って臨む」ことを選んだ。ケネディ不在の1トップを務めたのは、出身地である三重県での試合となった金崎夢生。ウイングの玉田圭司と流動的にポジションを入れ替え、前線でパスの受け手として縦横無尽に奔走した。

互いの手の内を探りながら進んだ試合が動いたのは22分のこと。明確なカウンター狙いの4−5−1でゴール前を固めた中京大の守備網を切り裂き、ペナルティエリア内でダニルソン、玉田とつないで最後はブルザノビッチが蹴り込んだ。久々のスタメン出場となった背番号9は、昨季の天皇杯初戦でも2ゴールを挙げた“天皇杯男”。その数分前にセットプレーなどであわやの場面を作られていただけに、学生たちの前へ出る気持ちを押し戻す一撃となった。
その3分後には右サイドで玉田と金崎のコンビが突破を図り、最後は中央のマギヌンがボレーで流し込み2点目。ケネディ不在を逆手に取るようなグラウンダーの見事なパスワークで、失点から立ち直ろうとする相手を突き放した。

しかし中京大はここで一歩も引かなかった。「気持ち的に後ろ向きにならないよう、システムと人をいじってもう一度立て直そうとした」(西ヶ谷隆之監督)。さらなる失点を恐れず、システムを4−2−3−1に変更し、あえて攻撃的な姿勢を強めることで抵抗へのモチベーションを維持したのである。35分には選手交代を絡めてアンカーを置く4−1−4−1に変更。直後に決定機を作るなど、指揮官の狙いは確実に効果を挙げていた。
そこで学生たちに立ちはだかったのが、プロの、しかも日本代表クラスの個人能力だった。40分、フォアチェックに行った玉田が前線でボールを奪うと、追いすがるDF2人をものともせずにペナルティエリアに侵入。角度のないところから左足でゴールに突き刺してみせた。玉田は「あれは僕の形ですから」と涼しい顔。だが、その難易度は決して低くはない。その2分後には中京大がこの日最大のチャンスを迎えたが、こちらがバーに阻まれてしまうあたり、決定力の差というのも感じられたところだった。

前半だけで3−0。疲れも出てくる後半は、名古屋の攻勢がさらに強まるものと誰もが思った。一体何点入るのか。だが、試合は思わぬ方向へと流れていくことになる。疲労から目に見えて活動量が落ちたのは、名古屋のほうだったのである。普段の夏のゲームは基本的にナイトゲームとなるプロにとって、強い西日が射す中での試合は想像以上に体力を消耗するものだった。序盤こそ2分、3分、8分と立て続けに決定機を作ったものの、10分以降は完全に足が止まった。
真夏の昼に試合をすることも珍しくない大学生たちは、初めて自分たちのアドバンテージを感じたことだろう。ここから中京大の大攻勢が始まった。前後に分断された名古屋の布陣の隙を突き、サイドを起点に次々とシュートチャンスを作っていく。それに押されるように、引いた位置からカウンターを狙うのは、いつしか名古屋のほうになっていた。

最終的には攻撃的な3−4−3にフォーメーションを変更し攻め立てた中京大だったが、名古屋の牙城は崩れなかった。これもまた能力の差である。明らかな数的不利の局面でも、名古屋の守備陣は決して焦らなかった。「最終的にセンターバックのところでコースを消してくれれば、そんなに怖くはない」(名古屋・高木義成)。捨てるところは捨て、一番危険な場面でのみ体を張る。10本のシュートを打たれた45分間だったが、枠を捉えたものはわずかに2本。プロの守備力の前に、学生の攻撃力は歯が立たなかったのだ。悪いなりに要所を抑えた名古屋は中京大の猛攻をしのぎきり、“順当に”3回戦へと駒を進めた。

「申し訳ないです。何か、やっていて寂しくなるような試合だったので」
名古屋の増川隆洋は試合後、自戒の念を込めて、あえて厳しい言葉を口にした。勝つことが最優先のトーナメント戦だが、それでも内容を度外視していては先がない。J1の優勝争いを牽引する立場にある今はなおさらだ。増川の言うとおり、緩慢なプレーが目立った後半は、見ていて目を覆うばかりだった。中京大の西ヶ谷監督は「これをいい経験に、来週からのリーグ戦につなげたい」と語ったが、それは名古屋も同じこと。次週以降のリーグ戦、そして10月9日に行われるJ2札幌との天皇杯3回戦(@瑞穂陸)で、彼らがどのような反応を見せてくれるか、注目したい。

以上


2010.09.06 Reported by 今井雄一朗
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