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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第24節 東京V vs 岐阜】レポート:新星・阿部の2発で東京Vが連敗阻止!岐阜は敗れるも、十分な手応えを得る。(10.08.30)

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8月29日(日) 2010 J2リーグ戦 第24節
東京V 2 - 0 岐阜 (19:04/西が丘/3,982人)
得点者:75' 阿部拓馬(東京V)、81' 阿部拓馬(東京V)
スカパー!再放送 Ch183 8/30(月)後06:30〜
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「試合前に岐阜のジュニアユースの子が亡くなったという訃報を聞いて、選手には、そういう夢を持ってサッカーをやってきた少年、あるいは今日夏休み最後の日に集まってくれた少年、僕たちのチームを応援してくれる人たちを感動させる、本当に心を動かせるゲームをやろうと話しました。それは、ただ上手いだけじゃなく、速い、強い、激しい。どんなことでも、自分のストロングポイントを出して戦う。その上で、勝利を持ってくるのがプロフェッショナルだ」
ベンチ入り停止となった川勝良一監督に代わって指揮を執った冨樫剛一ヘッドコーチが、ゲーム前に選手たちへ送った指示だ。
その言葉を、選手たちはしっかりと体現していたのではないだろうか。

前節、9試合ぶりに敗戦を喫したため、絶対に連敗できない大事な一戦だったこともあるだろう。試合開始直後から、東京Vは圧倒的に攻めた。
特に目立ったのが、飯尾一慶の好調ぶりだった。「チビ(飯尾)が、前半だけでハットトリックしちゃうんじゃないか、というぐらいノッてた」と、平本一樹も絶賛したほどだ。
だが、15分すぎまで何度も得点機を作りながらも、枠に決め切れなかった現実に、飯尾本人は「自分的には全然ダメでした」と、表情は浮かなかった。

そして、結果的に、この完全に主導権を握った立ち上がり15分で先制できなかったことで、東京Vは苦しむことになってしまった。
「東京Vは速いから、始めは対応に苦労したけれど、だんだん慣れていった」という新井涼平の言葉が代表するように、岐阜は猛攻をしのぐと、徐々に自分たちのペースを作り出していった。
逆に、前半20分をすぎたあたりからは、「相手の時間帯になってしまった」(高橋祥平)。押谷祐樹のテクニック、佐藤洸一の高さなどから、チャンスを作られた。

「今日は、先制点がどちらに入るかというゲームだったと思います」と、倉田安治監督(岐阜)が話した通り、後半に入っても一進一退の状況は続いた。
「先制されると、ウチはつらい」(飯尾)東京Vは、平本一樹が果敢なドリブル突破を連発。さらに平本・飯尾のコンビネーション、河野広貴のドリブル、柴崎晃誠のミドルシュート、福田健介・高橋の両サイドからのクロスなど、多彩なアイデアでゴール前までの形は作るものの、ネットは揺れず。

徐々に焦れ始めた流れを一変させたのが、交代で入った阿部拓馬だった。
後半30分、柴崎晃が相手と競りながらつないだボールに、思い切り右足を振り抜いた。岐阜GK野田恭平も反応し手に当てたが、阿部のシュートの勢いが勝った。
さらに阿部は、6分後にもFKのこぼれ球を押し込んで加点。自身初の1試合2ゴールを達成した。
「途中から入って2点を決めるというのは、すごく難しいこと。素晴らしい」同じ攻撃選手として、平本は惜しみない賛辞を送った。

一方、もう1つ大きかったのは、守備だろう。前節こそ3失点と苦汁を嘗めたが、今節は再び無失点。この一週間できっちりと立て直し、堅守が東京V最大のストロングポイントであることを改めて証明した形となった。

東京Vは、この試合最も重要視した「連敗しないこと」と「自分のストロングポイントを出す」を見事に果たしたことで、チームの成長を示したのではないだろうか。
久しぶりに先発した高橋は「自分の持ち味が出せた」と話していたが、その陰には、試合前から「祥平が思い切り持ち味を出せるように、気持ちよくやらせてあげたい」という、GK土肥洋一、土屋征夫、富澤清太郎らベテラン選手の気遣いがあったからだろう。そしてこれは、今回の高橋だけに限ったことではない。中盤では佐伯直哉が、前線では平本や飯尾らと、どの位置でも年長選手が、新しい若い選手や、周りの選手がいかに個性を発揮しやすい状況を作ってあげようかと、常に気を遣っている。それが、今節の阿部、前節の南秀仁のゴールなど、新たな選手の活躍に大いに結びついているに違いない。そこにも、今の東京Vのチーム力の一面が見えるのではないだろうか。

岐阜も、敗れたとはいえ「我々は進歩していると思います。切り替えて、自信をもってやっていきたい」(倉田監督)十分手応えのある内容だったようだ。
前回の対戦で、大きく感じたという『力差』は、「ほとんど感じなかった」と押谷はきっぱり。ポゼッションを得意とする東京Vに対して、「崩されたとは思っていません」(押谷)。逆に、時間帯によっては、ビルドアップ、ポゼッションでも上回っていた時間帯もあったことは、自信につながったはずだ。
だが、この試合の前に倉田監督が語った「大事なのは、掴みかけている自信を掴んでしまうこと」を達成させてくれるのは、やはり『勝利』しかないのではないだろうか。次節こそ、内容と結果を伴って、自信を掴み取ってしまいたいところだ。

冒頭の冨樫ヘッドコーチの言葉は、恐らく岐阜の監督・選手・スタッフも同じ思いだろう。
この試合を観た多くの人の心が動いたことを期待したい。そして、急逝した少年選手にも、岐阜・東京Vの思いはきっと届いたと信じたい。

僭越ながら、他界された少年選手のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

以上

2010.08.30 Reported by 上岡真里江
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