8月29日(日)J1 第21節 清水 vs 川崎F(18:30KICK OFF/アウスタ)
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王者・鹿島を破って首位ターンした後、まさかの3連敗。例年通り夏場の快進撃を見せると思われた清水が、予想外の失速を見せている。しかし、昨年終盤の5連敗のときほど、チーム状態が低下しているわけではない。長谷川監督も、この3連敗が「魔の1週間だったと言えるようにしたい」と語っている通り、ここで踏みとどまることができれば、再び流れを取り戻せるという自信は持っている。
そうしたさまざまな意味で、清水にとってこの試合は、今季有数の正念場。ホームで絶対に勝たなければいけないゲームとなる。
ここまでの3連敗を簡単に振り返ってみると、ひとつめの横浜FM戦は、自分たちのサッカーができていなかったわけではない。ただ、中村俊輔の素晴らしいFKで2点目を奪われ、岩下敬輔の退場によって反撃が難しくなってしまった。次の新潟戦は、中2日で新潟への長距離移動があったことによるコンディション的な問題が最大の敗因。選手たちの動きが重く、今季もっとも清水らしい戦いができなかったゲームのひとつと言える。そして前節の静岡ダービーは、岩下と平岡康裕というセンターバック2人が出場停止で、小野伸二、兵働昭弘、本田拓也という中盤の3人が内転筋痛を抱えた状態。そのうち本田が欠場、小野がベンチスタートで、大幅なメンバー変更を余儀なくされた。そのため、システムも4-4-2に変えて、本来のサッカーができない部分があったとしても、我慢強く結果を出すことを求めたが、守備にミスがでてしまったことが痛かった。
しかし、今回は出場停止もなく、本田と小野も先発復帰できる見込み。鹿島戦や横浜FM戦と同じスタメンで臨める状況になりつつある。コンディション的にも、1週間のインターバルがある中で、2日間のオフをとり、リフレッシュに努めてきた。もちろん、ベストコンディションというわけにはいかないだろうが、それはどのチームも同じ。少なくとも、過去2試合に比べれば、かなり条件は整っている。
そんな中で、チーム全体の合い言葉は、相手がどうこうではなく「自分たちのサッカーを貫き通す」こと。キックオフ直後からアグレッシブにプレーして主導権を握り、先制点、追加点を奪って勝つ。そんな今年の清水らしい勝ち方をすることが、自信を取り戻すためのいちばんの薬になると考えているからだ。
「横浜FM戦までやれていたことをやればいいだけ。特別なプラスαのことをするというよりも、今までやれていたことを、もう一度みんなでしっかりやろうということ」と長谷川監督も語る。当然、トレーニングもその点を意識したものになっていた。したがって、「今まで通りのこと」ができるかどうかが、清水にとってこの試合最大の見どころとなる。
対する川崎Fは、再開後はかなり調子を上げてきており、とくにここ7試合は4勝2分1敗。その中で無失点試合が5つあり、守備の安定感がかなり高まってきた。攻撃のほうも、ケガから復帰したジュニーニョや、ヴィトール・ジュニオール、黒津勝らが調子を上げ、ここ7試合で11得点。チョン・テセが海外移籍して、レナチーニョは起用法に対する不満からチームを離れたが、その穴を感じさせない戦いができている。前節の新潟戦では、2点を奪われて敗れたが、中2日で新潟とのアウェイゲームというのは清水と同じ条件で、やはり川崎Fにもコンディションの問題が見られた。したがって、その敗戦を引きずるということはないだろう。ただ、センターバックに関しては、寺田周平に続いて井川祐輔もケガで離脱することになったのは痛いところ。菊地光将と佐原秀樹の2人も実績は十分だが、コンビネーションが成熟していない部分を、清水は突きたいところだ。
試合展開としては、どちらも攻撃的なチームなので、まずは激しい主導権の奪い合いになるだろう。それでも清水が本来の力を出せれば、主導権を握る時間は作れるだろうが、川崎Fにはカウンターという絶対的な武器がある。そのため清水としては、「川崎Fはショートカウンターの速さがあるから、中途半端なクサビを当ててボールを取られると危ない。もっとサイドをうまく使って攻められれば、チャンスを作れると思う」(本田)というあたりがポイントになりそうだ。サイドからの攻撃は、ここ2試合では少し影を潜めていたが、本来の攻め方でもある。
したがって、川崎Fのカウンターに十分注意を払いながら、自分たちのやり方で堅守の川崎Fからゴールを奪って勝つということが、選手たちに求められる最大のミッション。その難題をクリアできるかどうかは、清水が悲願の優勝を達成できるかどうかも大きく左右する可能性が高い。夏休み最後のホームゲームで、まさに“運命の一戦”が始まろうとしている。
以上
2010.08.28 Reported by 前島芳雄
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