スカパー！生中継 Ch171 後05:50〜
☆新機能／試合速報一覧はここをクリック!!
☆クラブサポーター対抗totoリーグ投票受付中！
----------
勝点差１で追う６位・栃木ＳＣ、追われる５位・ロアッソ熊本という構図は、偶然にも３カ月前と全く同じ。後半戦に突入してからホームゲームでは２戦２勝の栃木。「ホームで勝てる雰囲気ができるのはいい」とは松田浩監督。昨季からホームでは分の悪い印象が強いが、気が付けばホームで残した成績（５勝３分３敗）が、アウェイの成績（４勝３分４敗）を逆転していた。さらにホームでの印象をより良くするために、トップグループを追撃するために、“目の上のこぶ”熊本との２度目の「決戦」で、栃木は２度目の下剋上を狙う。
「アウェイでの勝点１をネガティブに考える必要はない」と、パウリーニョは前節のコンサドーレ札幌戦を振り返る。天候とピッチコンディションが厳しく、細部の詰めが求められる状況で狂いが生じ、つまりラストパスとクロスの質が足りなかったことが、無得点という結果を引き起こした。栃木が作った決定機は後半ロスタイムの一度だけ。決定機は確かに少なかったが、一方でボールを奪う段階までの手応えはある。あとは、「もっと崩し方の選択肢が増えれば、チャンスも増える。個々がクリエイティブに、自分の良さを積極的に出せればいい」（大久保裕樹）。
松田監督は「守備的な感じがする」、「６‐２‐２に見える」と熊本を分析。両サイドバックも最終ラインに加わった熊本の守備陣形に、絶好調の東京ヴェルディは上手くはまってしまい、前節９試合ぶりに涙を呑んだ。６人に引いてスペースを埋められては、穴をあけるのは難しい。だが、松田監督には熊本攻略の具体的なイメージがある。
「（ペナルティ）ボックスに入ればファウルはできない。フリックやスルーなどのコンビネーションプレーは完全な狙い目」。
実際、栃木は前回の対戦時に高木和正、崔根植、リカルド ロボの鮮やかな連係で追加点を奪い取っている。今節はポストプレーと足技に長ける崔が出場停止だが、「ボックスの中ではガツガツ行きたい」と話す同タイプの林祐征は頭を丸め、今季初ゴールに燃えているだけに、崔と遜色ないプレーが期待できる。
攻撃面で物足りなさを残したものの、札幌の零封に成功したことからも守備力は回復傾向にあり、６試合連続無失点を記録した当時の状態に近付きつつある。「全体が意思統一され、最後まで体を張れている」と大久保が言うように、シュートは打たれてもコースはきっちりと切っているし、ＧＫ武田博行も持ち前の安定感を見せるなど、守備陣は研ぎ澄まされている。守備がいい状態にあれば、相乗効果で攻撃にも好影響が出るはずだ。札幌戦ではシュートを打ち切れなかったが、熊本戦ではより多くのシュート機会とチャンスを作り出し、ゴールに結び付けたい。
シュートに繋げる攻撃の精度を上げたいのは熊本も同じだ。「３点入ったことは良かったかもしれないが、もっとシュートを打たないといけない」と、ＭＦ吉井孝輔は前節の反省点を挙げた。シュート５本で３点は効率がいいが、常に高い決定力が維持される保証はない。堅守・東京Ｖから挙げた先制点のシーンのような、大きな展開からのサイドアタックを繰り返し、栃木の守備ブロックを打ち破るのが理想的。そして、チームの特長である激しさ、ハードワーク、積極性でも栃木を上回ることが勝利への条件となる。
個の対決に目を向けると、市立船橋高校の先輩・後輩の間柄である大久保とカレン ロバートの対決が興味深い。「京都とジュビロでも対戦したが、その時も周りが盛り上がっていただけ。やるべきことをやり、特長を消せるように、ひとつひとつのプレーを大事にしたい」と、先輩・大久保は後輩・カレンへの過剰な意識を働かせていない。だが、眼中にないわけではない。
「熊本に移籍して結果を出さないといけない状況なので、強い気持ちで臨んでくるはず。さらに強い気持ちを出せるようにしたい」。
栃木の守備陣を束ねる大久保と、熊本の攻撃陣をリードするカレンが激しく交錯すれば、上位対決という今節屈指の注目カードは、より一層の盛り上がりを見せるだろう。２０１４年ブラジル開催のワールドカップを狙える位置にいる両者のバトルからも目が離せない。
以上
2010.08.27 Reported by 大塚秀毅
