8月28日(土)J1 第21節 浦和 vs 鹿島(18:00KICK OFF/埼玉)
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ここから仕切り直しといきたい。浦和はアウェイの湘南戦で実に5試合ぶりとなる勝利を収めた。しかも、エジミウソンのJ1通算100ゴールを含む大量4得点の快勝劇だっただけに、溜まりに溜まった溜飲を下げたサポーターも少なくないだろう。
これまでの試合から内容的にも改善が見られた。ポゼッション志向というスタイルが、停滞感を生む横パス多用に傾くことも少なくない浦和だが、湘南戦では中盤の低い位置から前線に縦パスを入れるシーンが多く見られた。それから、回数はまだまだ少ないものの、柏木陽介を中心にDFラインの裏を狙うプレーも増えてきている。そういったプレーからは、危機感を覚えた選手たちのコミュニケーションが活発になっていることが窺える。
ただ、失礼を承知で指摘させてもらえれば、湘南は降格圏に沈んでいるチームである。ここまでのリーグ戦でわずか3勝しか挙げておらず、浦和戦の前まで6試合連続勝利なしと不振に喘いでいたチームである。
サッカーは常に相対的であり、対戦相手によってチームの表情は変わる。それまで通用していたことでも、より強い相手と戦った時に通用しなくなるというのはよくあることだ。湘南戦でプレーの質が上がっていたからといって、それだけをもってチームのレベルが向上したとは断定できない。
その意味で鹿島戦は非常に重要な試合になる。鹿島は例年通り夏場に強くないところを見せており、現在は4試合勝利から見放されているものの、地力の高いチーム。前節のC大阪戦では力負けした部分もあったが、仕方のない面もあった。中田浩二、ジウトンを出場停止で欠き、マルキーニョスがケガ、小笠原満男も体調が万全でなく、相手のC大阪が現在リーグで最も勢いに乗っているチームであることを考慮すれば、むしろ善戦したとも言える。
浦和としては、鹿島相手にも湘南戦のように進歩しているところを見せることができれば、これまでの苦しい経験を糧にできていると言っていいだろう。浦和がここ10試合で勝てた相手は2チームのみ。湘南と、それからやはり苦境に陥っている最下位の京都だけだ。言わば、絶対に落とせない勝ち星を拾っただけに過ぎない。だが、ここで鹿島に対して好パフォーマンスを発揮することができれば、後半戦の巻き返しに向けて選手たちの自信も深まるはずだ。
厳しい試合になることは間違いない。浦和は鹿島との相性が非常に悪く、通算成績で9勝4分26敗と大きく負け越している。そして、現在リーグ戦では3連敗を喫しており、2008年を最後に鹿島には勝っていない。
陣容的にも苦しいやり繰りを強いられる。田中達也、山田直輝、鈴木啓太などケガ人が続出するなか、ここまで全試合出場の阿部勇樹がレスター移籍に向けて渡英しているため欠場が決定的。さらに、最近の試合でジョーカーとして存在感を増してきているエスクデロ セルヒオも累積警告で欠くことになる。バックアップの層が薄くなるのは否めず、猛暑のなかでも運動量を求める浦和にとっては厳しい状況だ。
一方の鹿島は中田浩二、ジウトンが出場停止から戻ってくる。ケガで戦列を離れているマルキーニョスも練習には合流しており、浦和戦で復帰する可能性もある。今季マルキーニョスが欠場した5試合は全て勝てていないだけに、エース復帰となればチームメイトも心強いだろう。
試合展開としては、浦和がポゼッションを高めて攻勢をかけ、鹿島がカウンターを狙うという形になる可能性が高い。
浦和攻略法は、もはやどのチームにも知れ渡っている。パスを回してサイドから攻めようとする浦和に対し、ブロックを築いてスペースを埋め、浦和が攻め手を欠いて運動量も減ってきたところで速攻を狙って仕留めるという流れだ。浦和は戦力で劣る相手にもこの形から何度も失点を喫している。試合巧者でカウンターもうまい鹿島が浦和の泣き所を見逃すわけはなく、ボールをある程度持たせて速攻からチャンスを作ってくるはずだ。
浦和は相手がそういう形を狙ってくることを承知の上で、現在のスタイルを貫いている。鹿島戦でも己の流儀を曲げることはないだろう。ならば、勝利のためにはカウンター対策をしっかりと練っておく必要がある。要注意人物は興梠慎三だ。ロングボールに俊足ストライカーを走らせるという鹿島がよく見せる速攻のパターンを、スピラノビッチ、山田暢久の両センターバックを中心とした守備陣が封じることができるかどうか。それが勝敗を分ける鍵の1つになりそうだ。
鹿島戦、チケットは完売だという。その夜、埼玉スタジアムは暑く、熱く、真っ赤に燃える。
以上
2010.08.27 Reported by 神谷正明
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