8月22日(日) 2010 J2リーグ戦 第23節
熊本 3 - 2 東京V (19:05/熊本/7,574人)
得点者:6' 松橋章太(熊本)、75' ファビオ(熊本)、80' 矢野大輔(熊本)、81' 南秀仁(東京V)、86' 高橋祥平(東京V)
スカパー!再放送 Ch185 8/23(月)後03:00〜
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開始6分、2試合ぶりに先発した左サイドバックの堤俊輔が大きくサイドチェンジし、上がっていた右サイドバックの筑城和人が収めると、その裏を追い越した宇留野純へ。宇留野は囲まれながらもキープしてルックアップ。熊本はゴール前で数的優位を作れていたわけではなかったが、カレン・ロバートの動きを見てファーに入った松橋章太は、DFのマークを外してフリーの状態になっていた。「コースがちょっと怪しかった」と話した松橋のヘディングは、東京VのGK土肥洋一の手に触れたがゴール右隅に吸い込まれ、ホームの熊本が先制した。
あまりに早い時間帯の得点は、リードした方を浮き足立たせることがある。だが「東京Vというチームを選手達がよく理解して、何ができて何ができないのか、うまく理解した中で戦ってくれた」と高木琢也監督が話した通り、熊本は決してベタ引きするわけでもなく、最終ラインから前までをコンパクトに保って東京Vのポゼッションに対応した。
一方、前節の札幌戦と同じく早々にビハインドを負うことになった東京Vも、慌てることなく試合を運ぶ。しかしながら、「前半からしっかり作れているけど、最後の1/3のところでシュートは打ってない」と川勝良一監督が振り返っているように、ブロックを作った熊本の守備を崩すには至らない。中に絞った菊岡拓朗や高木善朗が中央でボールを受け、フリーでターンする場面も多く見られたが、両サイドバックも積極的にアタッキングゾーンに侵入し、ゴール前が密集した状態となって有効なスペースが生まれず、シュートに持ち込めるラストパスを送れない状態。加えてトップの平本一樹がいい形でボールを収めることができず、さらに熊本のボランチ、吉井孝輔と渡辺匠の2人がうまくスペースをケアしていたことで、セカンドボールを拾った厚みのある攻撃の形は作れていなかった。
前半のシュートはお互いに2本で、ハーフタイムに「シュートを打とう」と指示を受けた東京Vは、後半開始から前への圧力を増す。それでも、ここ数試合は相手に及ばなかった球際の激しさや運動量など、「強い気持ちで臨むということを確認して臨んだ」(宇留野)熊本は集中した守備を見せてしのぐ。そして75分、その5分前にピッチに入っていたファビオが宇留野のクロスに合わせて待望の追加点を挙げると、80分には左サイド深い位置でDFをかわした福王忠世のグラウンダーのクロスを矢野大輔が流し込んで3−0。
残りは10分。ほぼセーフティと思えるリードに7,000人を超えたスタンドの歓声と手拍子は一層大きくなったが、ゲームはこれで終わらなかった。
熊本の3点目の直後、81分に富澤清太郎のパスを受けた南秀仁がJ初ゴールを決めると、86分には柴崎晃誠のフリーキックを高橋祥平が頭で合わせ、川勝監督が切った2枚の交代カードが得点に結びつく形で東京Vがあっという間に1点差に。終盤にかけても圧倒的に押し込んだが、4分間のロスタイムを熊本が耐え、なんとか勝点3を手にする結果となった。
試合終了後にレフリーに駆け寄ってロスタイムが短いと抗議した川勝監督は退席処分となったが、宇留野も「もうちょっと時間があったらどうなっていたかわからない」と話していた。連勝は3、無敗記録は8で止まった東京Vだが、あわやドローかと思わせる展開に持ち込んだ底力は、称えられてしかるべきもの。順位は7位に下がったものの、選手達が最後まで見せた、試合を諦めずに得点を取りに行く姿勢と迫力は、浮上の大きな原動力となる。
一方の熊本。今季最多となる3ゴールを記録したものの、実際には放ったシュートはわずか5本に終わっている。試合前日の非公開練習で確認したと高木監督が明かした前線からの守備と、普段以上に意識したというクロスが結果につながったのは収穫だが、やはり終盤の2失点は問題。こうした点も含めて安定した戦いぶりを身につけたい。
とは言え、4試合ぶりの勝利でなんとか上位陣を追撃できる順位に戻した。次節は勝点差1で背後に迫る6位・栃木との対戦(8/28@栃木グ)だが、ゴール裏に掲げられた横断幕にあったサポーターのメッセージ通り、「下ではなく上を見て」食らいついていけるか。再び迎える正念場である。
以上
2010.08.23 Reported by 井芹貴志
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