8月22日（日） 2010 J2リーグ戦 第23節
横浜FC 0 - 0 愛媛　（18:03／ニッパ球／4,211人）
スカパー！再放送 Ch181 8/23（月）前11:30〜
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ここ8試合で勝点17の横浜FCと勝点3の愛媛。試合前のチーム状況は対照的なものだった。横浜FC・岸野靖之監督は、練習取材の際に「先制点さえ取れれば、愛媛には『またうまくいかないのか』という感じが広がる」と、早目の先制点が勝負のポイントと語っていた。しかし、愛媛はセンターバックのアライールを出場停止で欠きながらも、代わりに入った小原章吾を中心に組織的守備を構築。肝となる先制点を横浜FCに許すことはなかった。

もちろん、90分間全てにおいて愛媛の守備が完璧だったわけではなかった。前半の中盤までは、横浜FCが積極的に先制点を狙っていた。これまで攻撃のアクセントになっていた寺田紳一を怪我で欠くものの、高地系治が絶妙なタイミングでバイタルエリアのスペースを使い、愛媛の組織を切り崩しに掛かる。しかし、愛媛が高地の動きに対応して中盤のスペースを消すことに成功すると、横浜FCを完全に守備の術中にハメてしまう。「FWが2人とサイドハーフも含めて高いところからプレッシャーを掛け、相手にロングボールを蹴らせるようにする」（愛媛・バルバリッチ監督）という狙いが成功。さらに、MFとDFの2ラインで構成したブロックが徐々に安定すると、横浜FCはポゼッションをするものの、その先の切り崩しができない状態に陥る。難波宏明で起点が作れず、カイオがボールを触りにボランチの位置まで下がるという場面が目立ったのは、象徴的なシーンと言っていい。カイオに2度訪れたゴールチャンスも決めることは出来ず、手詰まりを解消できないまま前半を終える。

「サイドにスペースを作って、もっと仕掛けること」（岸野監督）という指示のもと、後半、横浜FCはプレスを掛けられた後の背後にできるスペースを狙うが、愛媛の守備は後半も安定度を保ち、その狙いを見事にシャットアウトする。
そして「相手が疲れているときに、彼のフレッシュさ、力強さが生きる」（バルバリッチ監督）と、プラン通りに58分にジョジマールを投入すると、愛媛もジョジマールを起点とした守備一辺倒から攻撃への意識を徐々に強めていく。逆に、愛媛が攻撃に出た時のわずかな隙を突くべく、横浜FCも71分に八角剛史をエデルに代えて、高地をボランチに置く布陣にするが、愛媛の強固なブロックを破るまでには至らない。結局、横浜FCは、攻撃に大きな変化をつけるアイディアと得点への迫力を表に表すことなく90分間のゲームを終えてしまう。この試合のシュートは、横浜FCが6本に、愛媛が5本。試合後ニッパツ三ツ沢球技場に起こったブーイングは、様々な面での消化不良を象徴しているようだった。

横浜FCにとって、結果、内容ともに不満が残る試合となった。勝ち続けないといけない横浜FCにとっては、どんなに守ってくる相手に対してでも、泥臭くてもゴールを挙げないといけない状況。怪我やU-19日本代表選出などで試合メンバーの状況が完璧でないとしても、そのなかで勝ち切る強さが求められている。カイオの使い方を含めた連係不足が露呈した試合だったが、残りの14試合にクラブの総力を結集することが重要。次節は休みとなるだけに、好調東京Vと当たる9月12日（＠ニッパ球）までの3週間での修正が、今シーズンを左右すると言ってよいだろう。
一方の愛媛は、前回勝利した第14節大分戦以来9試合ぶりの無失点試合。好調だった序盤戦の戦い方に立ち戻るという意味では、大きな成果を挙げる内容だった。バルバリッチ監督も「DFのところでの消耗が大きく、ボールを持った後に前に行く力は不足していた」と述べるように、守備に集中した分、攻撃まで手を回すことができなかったが、悪い連鎖を断ちきるきっかけになることは間違いない。

今節の結果により、今年のJ2は3位以下の混戦がおもしろくなってきた。千葉が負けたからこそ、本当は勝点3を取ってプレッシャーを与えたかったところ。横浜FCには、今後、今節のような消化不良の試合をする余裕はないことは間違いない。この引き分けを良薬に出来るか、横浜FCの底力が試されることになるだろう。

以上

2010.08.23 Reported by 松尾真一郎