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【J2:第22節 甲府 vs 福岡】レポート:4位・福岡相手に王道の戦いならず。逆転して追いつかれた甲府と柏との差は4ポイントに開く。(10.08.16)

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8月15日(日) 2010 J2リーグ戦 第22節
甲府 2 - 2 福岡 (18:03/小瀬/12,879人)
得点者:3' 城後寿(福岡)、22' ハーフナーマイク(甲府)、24' ハーフナーマイク(甲府)、53' 城後寿(福岡)
スカパー!再放送 Ch183 8/16(月)後09:00〜
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「さぁ、どうなるかね」と思っているうちに甲府は先制点を許してしまう。福岡のGK・神山竜一が素晴らしく正確なパントキックを甲府陣内右サイドで張っていた岡本英也にビシッと通し、さらに岡本はダニエルにヘディングで競り勝った。素晴らしいのはここまでにして欲しかったが、そのボールは吉田豊がクリア出来ない高さに飛んでしまう。結果的にそのボールの高さに運があってクリアがバックヘッドのようになってしまい、城後寿への絶好のパスとなった。しかし、何事もなかったかのように「さあ行こうぜ〜俺らの甲府〜」と歌い続けていたので失点した気分にはならなかった。

開始3分の失点はなかったことにして仕切り直したかったが、どうもムードがおかしかった。ゲームがコントロール出来ていなかったからイライラの芽がスクスク育ちそうで、荒れるんじゃないかと心配していた。しかし、マイク・ハーフナーの同点ゴールがその芽を摘んだ。福岡のディフェンダーが自陣ペナルティエリア内でボールを失い、それを拾ったパウリーニョにシュートコースはなく、見つけた味方は何故かゴール前中央にいたボランチ・秋本倫孝。最近はセットプレー以外の得点感覚も身につけ、中盤でのボール捌きにも余裕が出ており、2年後にはごつい遠藤保仁になっているかも知れない逸材。パウリーニョが出したグラウンダーのパスを秋本は左足でシュート。J2リーグでナンバーワンの点取り屋ディフェンダーの7ゴール目になるはずだったが、見事にかすってしまう。だが、それがファーサイドにいたマイクへのパスになって、手刀で「心」の文字を書きたくなったかも知れない10ゴール目を決めた。2分後には、「紅白戦で似たような形があったからイメージできた」という養父雄仁が出した縦パスを福岡のディフェンダーが跳ね返せず、甲府の1失点目のようにバックヘッドになってしまい、マイクがゴール前中央でディフェンダーと絡まり倒れ込みながらのシュート(11ゴール目)を決めてあっさりと甲府が逆転した。クリアミスが入ったことでアシストは消えることになってしまったが、「あの(パス)1本は賭けたパス(養父)」という満足の1本だった。

3分間で2ゴールを決めるところは素晴らしかったが、その後は福岡タイム。3点目も奪える雰囲気はあったが、この流れを甲府は掴み損ねる。甲府は前半の終盤・約10分間は福岡に散々攻められるがGK・荒谷弘樹の好セーブと福岡のシュートミスのお陰で、無失点で切り抜けた。ゴール裏はホーム・甲府サポーターの「ヴァ〜ンフォーレ、ヴァ〜ンフォーレ」の声と福岡サポーターの「おいっさー、おいっさー」の声が押し合いになっていた。甲府サポーターの方が人数が多いから声は大きいが、城後、末吉隼也、永里源気が畳み掛けるように打ったシュートは福岡が4位にいる理由を充分に甲府サポーターに印象付けた。

後半になると摘み取ったはずのイライラの芽が大木になりそうなほど成長していたことに――特に甲府サポーターは――嫌でも気がつく。ゲームは更にコントロール出来なくなっていて、勝点や順位云々ではなく、目の前の相手に勝ちたいというお互いの気持ちがぶつかり合っているような雰囲気。開始直後の岡本のシュートを内山俊彦が身体で防ぐが、イライラが理由のラフプレーの花がチラホラと咲き始めていた。そして、53分にはカバーリングの能力は甲府最強のダニエルが先手を取ろうとしたが逆に後手を踏んでフリックを食らい、城後に裏をプレゼントして甲府はついに同点に追いつかれてしまう。イエローカード増産の匂いさえしてきたし、甲府がボール持つと記者席のテープルの下で足が勝手にトラップしたりパスをしたりするようになった。前半は甲府の中盤3枚がボールを貰いたい場所で貰えていたが、後半はこの場面が激減。運動量が落ちたことも理由だが、中盤の三角形を逆にした方がよかったのかも知れない。

後半でよかったことはイエローカードが増産されなかったこと。吉田豊はロスタイムに2枚目を貰って退場になったが、気の毒な面もあった。両チームのベテラン選手が「文句を言っても仕方がない」という態度で冷静だったから、映画「フォーリング・ダウン」のマイケル・ダグラスのような選手の出現は避けることが出来た。後半の残り半分は甲府に続いて福岡も足が止まり気味になり、お互いに選手交代で打開しようとするが先発メンバーより素晴らしい選手をベンチから探すことは難しかった。甲府は内田監督が珍しく先に交代カードを切って1枚目にマラニョンカードを出すが決定力が足りず、2枚目の藤田健カードは効いたがマラニョンカードとはコラボレーションしないことが判明して効果は半減。3枚目の石原克哉カードは総合的な戦闘力がありながらも足が止まりかけているチームは彼の戦闘力を活かすことが出来なかった。福岡も鈴木惇の左足に期待して投入したが、その精度を活かすことが出来なかった。

甲府が僅差で昇格を逃せば語り継がれるかも知れない幻のシーンもあったが、イライラの木が生えているピッチでも強いチームは勝つはず。甲府は心配していた福岡の攻め残りの選手に苦労したし、攻撃ではもう1本のパス、もう一手間掛けて崩すことが出来なかった部分は課題だった。相手よりも先に足が止まったことも問題。2−2で終わった瞬間に立ち上がれないほど動いた選手はいたのだろうか。もう過去は変えられないのだから、次のアウェイ柏戦に向けてやるしかない。福岡も5位・東京V特急に追突されそうな状況だけに勝点2ポイントを悔やんでいる暇はない。9月12日のホームでの千葉戦までに勝点差をどれだけ縮めることが出来るか勝負が続く。

以上

2010.08.16 Reported by 松尾潤
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